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92.まさかPartII(心筋梗塞で入院 ・ 体験その1) ・・・ (2011/11/24)

前回入院したのが41歳の時、胆嚢摘出手術ででした。そして今回20年ぶりに(61歳で)人生2度目の入院、しかも生まれて初めての”救急車での入院”とあいなりました。貴重な体験でしたので、体験談を紹介します。


定期的に健康診断は受けていたし、9月の検診で心電図も検査項目に入っていた。それが11月14日早朝(正確に言えば前夜から)、胸の締め付けられるような痛みに病院へ行き、心筋梗塞と診断され、入院することとなった。

61年も生きていると、だいたい自分のアキレス腱(身体的な弱点)は分かってくるものだ。私の場合で言えば消化器系。若い頃は仕事のストレスから神経性胃炎も経験し、また41歳の時には胆石が見つかり、胆嚢ごと摘出している。そんなことで消化器系を疑うことはあっても、心臓疾患は疑ったことも、疑われたこともなかった。

なので、みぞおちの少し上あたりに絞り込まれるような鈍い痛みを感じた時は(以前、逆流性食道炎を指摘されたこともあったもので)てっきり急性食道炎かなにか?を想像した。土曜から何か得体の知れないことが起き、それは消化器系だと思い込んだ私は日曜日は朝食、昼食を抜いてみた。なんとなく収まってきた気がしたもので、軽く夕飯を食べたが、その後、痛みがぶりかえした。一旦、就寝したものの、横になると胸が圧迫される感じで寝ずらい。ならばと、しばらく椅子に座ってパソコンをやるなどして気を紛らわしていた。しかし午前3時になっても収まる気配がない。パソコンで調べてみたら、#7119という救急相談センターというのがあって、救急車を呼ぶべきかどうかのアドバイスをしてくれるそうなので、まずはそこに電話してみた。痛みが6時間以上も続いていることなどを話すと、やはり救急車を呼んだほうがいいでしょう、ということになった。

胆石のような七転八倒するような痛みという訳ではなかったので、自分で救急車を呼び、外に出て到着を待った。家内には、まだ夜が明ける前ということもあり、心配しなくていいから家で待機するように言って、一人で病院に向かうことにした。そこからが生まれて始めての救急車搭乗だった。
救急車に乗ると、まずは病状の確認から始まった。正確を期する意味もあってか、状態、症状について繰り返し説明を求められた。その間、救急車は停まったままである。救急隊員が病状、特徴、経緯などを理解すると、次に病院選びとなる。幸い自宅の近くには大病院が複数存在する。その中から、母の通院に付き添った時の印象の良かった大病院に急患受け入れが出来ないか聞いて貰った。ほどなく了解が取れ、さて、いよいよ救急車出発である。

救急車に乗る時は自分の足で乗車し、しばらく座って問診を受けるなど、急患にしては元気そうにしていたが、移動する時点からは(いちおう急患なので?)ベッドにベルト固定された。走る寝台列車で寝た経験はあるが、自動車(救急車)は初めてだった。救急隊員が「揺れますよ」と言ってくれた割には滑らかに走ってくれた。早朝ということもあり道路も空いていたのか、およそ5分程で病院に到着した。救急車から降りるのも、ストレッチャー?(例の脚の出し入れが出来るやつ)のまま直接救急医療室に運ばれる。待機していた医師に救急隊員が病状を説明するが、ここでも、再度病院の医師から病状の説明を求められる。


一通りの説明が終わると、血液検査とレントゲン撮影となった。夜明け前の静かな病院内を指示されたレントゲン室までトコトコ歩いて行き、立位、仰臥位で1枚ずつ撮影した。しばらくして検査結果が出たが、どうも(お医者さんの反応を見る限りでは)病状ははっきりしない様子。結局、血液検査を繰り返して、告げられた診断結果が「心筋梗塞」だった。ここに至るまでが小一時間かかったかと思う。(心筋梗塞を患うと、血液検査項目にある酵素の数値が跳ね上がるので分かるのだとか?)

さて問題の在りかが消化器ではなく循環器だということが判明したところで担当医師が交代した。それとともに、見かけはどうであれ(たとえ元気そうに見えたとしても)ことは心臓疾患ゆえに、そこから一気に重病人として扱われた。まず着ているものを全部(全部です)脱がされ病院のパジャマに着替えさせられた。パンツは脱がされ越中ふんどし状のT字帯に交換し、尿道にビニールチューブを挿入され尿は用意されビニールバックへと垂れ流し状態になる。(パックに保存された尿は検査対象となる) また応急措置として、錠剤を何錠か渡され、噛みくだいて水で飲み下すよう指示された。説明はして貰ったと思うのだが、何の薬だったかは失念しました。

その後ストレッチャーに乗せられたままエレベータに乗り5階の集中治療室へ運ばれる。天井を眺めていると、昔見た医者が主人公のTV番組「ベン・ケーシー」を思い出した(あれって心臓外科でしたっけ、それとも脳外科でしたっけ?)。 さて集中治療室へ入りましたが(集中治療室というと一般にはICU、Intensive Care Unitをイメージされるかと思います。今回のCCUはCoronary Care Unit、冠状動脈疾患管理室と呼ばれ、まさに私のような心筋梗塞などの冠状動脈疾患の急性危機状態の患者を収容し、厳重な監視モニター下で持続的に管理する部門のことです)、あとで、写真を撮っておけばよかったかと思うくらい装備が充実していました。10畳くらいの部屋の真ん中にベッドが置かれていて、心電図のケーブルが走り、点滴が3種、鼻に酸素チューブ、尿もパックに取り、検査にまわせる状態でした。


さて、この時点では応急措置はほどこされているものの、まだ治療はされていないので胸の痛みは継続している。病院に到着した時は朝も早く、まだ暗かったわけですが、その時点では窓の外が明るくなったのが分かりましたが、既に私は”まな板の鯉”(観念した状態?)でした。午前中の手術へ家族の承諾が必要な為に病院に家内も来ていた。二人揃ったところで医者からカテーテルという方式で手術をすること、危険の度合いなどの説明があった。私の場合、心臓に行っている血管の一部が括れて細くなっているので、それを補修するのだそうだ。カテーテルによる手術は以前テレビで見たこともあったので、概略は分かっていた。1点違ったのは、テレビで見た時は、太ももからカテーテルを入れる方式だったが、今回私の場合は手首(脈を測るポイント)から通すのだとか。さて手術の準備にと看護師さんたちがあわただしく動きまわる。予備的に太ももからのカテーテル挿入も想定して、内股の毛も剃ることに。


さて、確か9時頃からだったと思う。手術室に入って、右腕を固定される。消毒薬をカテーテルを挿入する手首、予備として内股にも塗っていく。麻酔は局部麻酔なのでカテーテルが腕の中を通っていくのも感じることができた(別に痛くはない)。手術は、心臓の裏側にある細くなった血管(冠状動脈)にカテーテルという、いわば煙突掃除の際のワイヤーのようなものを通していく。問題の箇所が特定出来たら、ステントと呼ばれるネット状のものに風船をセットしたものを送り込み、患部でステントごと膨らます。こうしておけば風船状のものをへこましてもステント(金属製のネット)は膨らんだまま血管の直径を保持する。位置確認はレントゲンで確認しながら行っていた(最新式のものでカラーで3D動画で見えるのだとか)。この手術のお陰で、今までの胸を絞り込むような痛みが嘘のように消えた。ちなみにトータル2時間ほどだったかと思います。




参考: 「こちら」 は私が入院した先の病院ではないのですが、ステント治療について詳しく書かれていますので紹介しておきます。


手術後、再びストレッチャーに乗せられて5階の集中治療室/CCUへ戻る。ここから昼夜の区別無く三交代制で働く看護師さんが部屋へ出入りし、病状変化確認にと、点滴のチェック、心電図のチェック、採血、血圧測定、血液中酸素濃度のチェック(映画ETのように指先が赤く透けて見える)、それらを部屋の隅にあるパソコンに記録していく(ディスプレイは3台あった)。この病院では安全確認の一環として、患者の腕に巻いたバーコード付きバンドと、点滴に付いているバーコードとをチェック、照合。さらに、本人のフルネームと生年月日を患者に呼びかけ、確認していく。それらは夜中も続き、3時間置きに繰り返される。三交代なので毎回看護師さんから、こんばん担当の○○です、とかおはようございます担当の××です、と挨拶を貰う。とてもじゃないが、睡眠不足(前夜から寝ていない)で朦朧とした頭では名前は覚えられそうにない。(ハハハ)


一般病棟に移る前に、超音波で術後の確認も行った。健康診断でも超音波検査機が使われるが、心臓に使うのはこれが始めてだった。聞けば、基本は一緒なのだそうで、違うのはセンサー部分にそれようのものが用意されているのだそうだ(幅が幾分狭い)。検査担当者が見ている画面を横からちらりと覗くと、画面に私の心臓の画像が映っていて、心臓弁が開いたり、閉じたりするのが分かる。今回使用したものは2Dだったが、最新式のものは3Dカラーで見れるのだとか。心筋梗塞は、心臓に達する血液の流れが阻害されていたわけだが、それによって心臓の筋肉細胞がどこまでダメージを被っているのかを、こんな具合に慎重に確認していく。

集中治療室へ来て最初の頃は横向きに寝ることも許されなかったが、検査結果を見ながら2日の間(月、火)に、横向きOK、次にベッドに座ることOK、最後にベッドの周りを歩くことで問題が無いことが確認され、集中治療室から一般病室に移動(水曜)とあいなった。集中治療室から出た最初の部屋は個室。鼻の酸素チューブ、おしっこチューブは外して貰えたものの、肝心の点滴が付いている。昨今の点滴は、マイクロプロセッサ制御付き、つまり電源コードがついてくる(万が一コンセントが抜けても大丈夫なように充電池を内臓している)。こんなひも付き状態なので、トイレに行くにもドアが閉まらない。でもまあ、個室なので、閉める必要もないのだが。(ちなみに一泊、2万円、暖かい病人食が3食付きます)


個室には一泊した後、点滴も外して貰え、また大部屋が空いたというのですぐ近くの4人部屋に移動となった(木)。ここからはリハビリのステージに入ります。メニューは日替わりで、病棟の廊下を200m歩行、次が500m歩行、そしてシャワー利用、入浴、などと負荷テスト(病院ではこう呼んでいました)を進めていきます。毎回のテスト、常に、始める前と終わってからと心電図を取り、何か異常が出ていないか確認してくれた。私の場合、心臓細胞への深刻なダメージは無かったようで、ちゃくちゃくと退院に向けてのステップを歩むことが出来た。とは言っても、なにせ救急車で来院した”曰く因縁付き”の患者ですので直ぐには退院はさせて貰えないのですが。(苦笑) で、肝心な費用ですが、カテーテル治療には高額な用具が使われるようで、健康保険適用でも 47万円かかりました。

退院後についての説明で、まずは2週間たったところで通院し、術後の状況の確認をして貰うようにと。その後の通院は、徐々にインターバルを長めにとりながら重ねていくことになるようです。また服用すべき薬は、朝飲むものが6種類、夜だけ飲むものが1種類ですが、どうやら(どの薬かは不明ですが)死ぬまで飲み続けなければいけないようです。


今回、何の前触れも無く、それも一月前に健康診断で心電図も取っているにもかかわらず兆候が見抜けなかった。担当医にそのことを質問してみると、今回のように心臓の裏側の血管に問題が出た場合には、心電図では見つけにくいのだとか。(聞き忘れたが、それって心電図センサーを、背中ではなく、胸に付けるからかしら?)ある年代になると、どうしてもコレステロールが溜まってきたり、血管が硬く、もろくなってくるので、ある頻度で健康診断を受診していても、こうした疾患は避けにくいのかもしれない。


まあ、そんなことを想定した訳ではないが、(このホームページでもご紹介してきたように)仕事を中断した今のうちに、ということで心臓や膝に負担の来にくいノルディックウォーキングの講習も受け、ポールも購入していた(安いものですとこれ位の値段で買えます)。また区営のスポーツジムにも通い始めたところだった(インストラクターから、年齢と五十肩後遺症に配慮した、負担の少ないメニューを考えて貰っていた)。スポーツジムにはちょうど2回通ったところだったが、看護師さんとの談笑で、「スタートがもう少し早かったら良かったのかもね」と。


リハビリ担当の医師によれば、心筋梗塞を患った人は、発作が再発するのを恐れて何もしなくなる人もいるが、それは返って逆効果だそうだ。つまり、今後とも、定期的に”適度”の運動を続けることが予防になるという。確かに、病院にいると味気なく思うほど減塩が徹底された料理が出てくるが、帰宅すると基本、家族と同じ食事。カロリーも塩分濃度も病院とは大きく違ってくる。それでいて発作が怖いからと言って運度量を減らしたら、元の木阿弥、リバウンドで体重増(当然のことながら、コレステロール、中性脂肪も同様に増加)は間違いないだろう。

さて、この”適度な運動”というのがどんなものなのだろうか。私としては、発病前にやっていたことは、心臓への負担度合いを確認しながら全て再開しようと思う(勿論ゴルフも)。また、発病前にはやっていなかったこと(例えばジョギングといったもの)を新たに始めることは、やめておこうと思う。



退院、1年後の様子は「こちら」に




以下はこのページをご覧になった方からのご質問へのお答えです。(私自身は患者ではあっても医者ではありませんので、医学的な見解についてはかかりつけのお医者さんにご相談ください)・・・ shiroganex@ybb.ne.jp


Q: 尿道にチューブを挿入すると痛いのでは?

A: 多少粘膜が傷つくのか、チューブを抜いたあとも、1〜2日、排尿時にしみる感じがありました。



Q: 退院直後からジムに通い始めていますが大丈夫ですか?

A: 入院された時点の、心臓へのダメージの程度によるのかと思います。幸い私の場合は、入院中の負荷テストの結果からみて大きなダメージはなかったようです。それでもジムへ通いを始めても、どこかおっかなびっくり(心臓を気遣いながら)で、ストレッチを中心に、軽い運動から初めています。どこまでやってよいのかは、自分の体のことですので、自分で(血圧、脈拍などを)確かめながら段階を踏んで進めてみています。方向性としては、でぱったお腹をへこます(中性脂肪を減らす)ことを考えています。ですので、食事の量と質の改善を平行して実施しています。



Q:治療費が高額のようですが、何か補助は得られるのですか?

A:まず、治療費について調べてみました。こちらは「日本心臓財団」のホームページですが、心臓関連の手術は軒並み100万円超のようです。私の場合も、保険適用前の治療費内訳を見てみますと、バルーンカテーテル手術代は90万円でした。(実際に支払ったのは47万円弱)

これ以外に(既に会社勤めはしていませんので)国民健康保険からも高額療養費として支給されるようです。私の居住する地区の「役所に問い合わせ」てみたところ、こちらは個々人から申請しなくても、役所のほうで、医療機関から請求された診療報酬明細書(レセプト)をもとに、診療の月から3〜4ヶ月後に、該当世帯に申請書を郵送してくれるそうです。あとはそれに沿って申請すれば良いようです。

あとこれは個々人が加盟している生命保険の契約内容によって異なるかと思いますが、私の加入している生命保険では、入院は20日以上でないと保険が出ない(私の場合の入院期間は10日間でした)のですが、手術の方は支給の対象となるそうですので、病院に診断書作成を依頼するなど現在準備中です。(私のかかった病院では、診断書作成料は5000円だそうです)

皆さん、それぞれに適応出来る保険等があると思うので、確認して漏れのないようにされると良いですね。




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