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93.体験その2 ・・・ 入院10日間で感じたこと ・・・ (2011/11/25)


最初の3日間は集中治療室へ、一般病棟へ入った初日は個室、次の日から4人部屋へと移った。暇なこともあり、人間観察をして過ごした中で、気がついたことをいくつか。

(話しが急に変わりますが)まずは1つお尋ねします。アメリカの住宅をご覧になったこと、ありますか?家の周りが芝生で囲まれていて、隣との境には塀もありません。アメリカの住宅は塀はなく、家そのもので守ろうとします。そのため、ドアの鍵は二重であったりと、あれやこれやの安産策が取られています。かたや日本はというと、狭い敷地に家が建ち、その周りを塀で囲ってあるのが一般的かと思います。


 米国の一般的な家はこんな感じ。ちなみにこの家は、スティーブ・ジョブスとウォズニアックがアップルコンピュータを創業した時のガレージのある家です。


これは日本人の生活パターンで、同じことが病室で過ごす患者さんの生活にも出てきます。4人部屋に4つベットがあるのですが、プライバシーを保つべく、ベットを囲むようにカーテンをひくことが出来ます。日本家屋同様、ここに入院する方々は、一日中カーテンの中に閉じこもっています。新聞などを差し上げて会話をし始めると、快く会話を受け入れてくれるのですが、見た目は接触を拒否するかのようにカーテンは閉めっぱなしでした。

私はというと、病院そのものがシェルターのようなものですので、また各フロアの要としてスタッフコーナーがあり、常に看護師が待機してくれています。ですので、安全という意味あいでは塀やカーテンは不要と感じました。なにせ、入院したとたんに、丸裸にされ、おしっこはチューブでベットサイドのビニールパックに取られていました。こんなですから、自分の寝姿などというものは、守るべきプライバシーとは感じませんでした。


プライバシーに関する感覚も私とは多少違うようです。ほかの患者さんにご家族の方が見舞いにこられるのですが、病室に来られると、ベットの横の折りたたみ椅子を利用しておしゃべりを始められます。そこで話すことは夫婦の会話であったり、親子の会話であったりする訳です。まあ同室の方がいるのはご存知ですから、それなりに配慮はされているのでしょうが、なにせカーテンで仕切られた空間ですから、まあ言えば、「まる聞こえ」なわけです。このあたりは歌舞伎の世界の黒子ではないけれど、いても、いないふりをするのが日本式ということなのかもしれない。

私はというと、夫婦での会話はあまり周りの方には聞かせたくないと思いました。けして聞かれて困る話しをする訳ではないのですが、夫婦の関係、家族の関係なども推測出来てしまう内容ですから談話室などを利用すべきと思いました。また、患者さんによっては、ご家族の方がお見舞いに来れない場合もあるでしょう。さみしさを感じさせない、という意味で配慮してあげたいと思いました。

今回の同室の方、入れ替わりで、3人×2回転=計6人の方と時間を共有しましたが、皆さん、年代的には私よりも上の方々でした。その中のお一人、Kさんは、体つきも細くて、年齢的にも病気への対応が大変そうに見えました。耳が遠いようで、ご夫婦の会話もぎくしゃくしていました。見舞いに来て貰ったこと、嬉しくないはずはないのですが、奥さんが話されていることが聞き取れないらしく、何度も聞きなおしていました。そのうち癇癪を起こして、「おまえなんて居ても何も役に立たないんだから、もう帰れ」と、けんもほろろに言っていました。奥さんが帰る際に少しだけ私が言葉を交わした感じでは、とてもだんなさんを大事にしている奥さんと感じました。日本人の男性、特に私より上の世代の特徴なのかもしれませんが、言葉で感謝の気持ちをうまく伝えることが、案外へたなのかもしれませんね。そんな気がしました。


私が他の方と少し違う見方をしたのは、海外生活(アメリカ)を経験したことと関係があるのかもしれません。というのも、自分からオープンにしていかないと、誰も相手などしてくれませんから。ちなみに、人間には他人を受け入れますという雰囲気をかもし出している「オープン」の人と、自分を放っておいてくれ、といった感じの「クローズ」の人がいます。自分がどちらのタイプかを見分ける簡単な判別方法は、人に道などを聞かれることがあるかどうかで判別つくと思います。相手は、あなたのことを道を聞くべき相手かどうか瞬時に見分けますから。

以上はいずれも、良いとか悪いとかではなく、あくまで私の入院生活における印象として書きました。


最後に。入院中、感動したのは、青い空の美しさ、病院の裏手にある小さな公園の木々が紅葉しているのが綺麗だったのが印象的でした。恐らく入院でもしなかったら、こうして自然をめでて感動するなどということもなかっただろうと思いますね。


心にも時間にもゆとりがあるからか、病院から見た外の景色の美しさに心奪われた(携帯電話で撮影)






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