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 ひらけ!オフグリッド  サトウチカ著  ・・・ (2023/09/24)

   ※ ソーラーパネルの電力だけで生活してみたらこんな具合だった、という体験談です



 2011年3月11日東北大震災、そして原発事故による停電。遠く離れた東京でも電気が消え、街には暗闇の中を徒歩で帰路につこうとする人の列が出来こと。著者自身、これらを経験した一人で、それに触発されてこの考え(ソーラーパネルの電力だけで生活出来ないものだろうか)がスタートしたそうです。

 多くの人が同様の経験をしたでしょうが、著者は、あの日ようやく自宅へ帰ってきても、なんとマンションは自動ドアが開かなかったのだそうです。ようやく管理人が来て正面ドアを開けてくれても、今度はエレベータが止まったままだった。こうした現状を経験した著者の中で、大きく価値観が変わったようです。つまり、「ケーブルで配電してもらう電気に依存せずに人は生きていけないものだろうか」と。


・結論を先に言ってしまうと、夫婦ふたりの生活するレべルの電力使用量ならば太陽光パネル8枚で賄えるということ。

・ただし、設備に係った費用、さらにバッテリーの保守などの手間を考えると、従来の電気を継続していた方が楽なようです。(自動車にバッテリー保守と同様、たまに電気量/比重のチェックをした方が良いし、液を補充することも必要となるそうです)

 もう少し設備についてこの本から紹介しますと、太陽光パネルはパナソニックのHIT240という型番だそうで1時間に240w/hの発電が可能だそうです。(技術革新は進んでいますので、今はもっと高高率な太陽光パネルが発売されているでしょうね)

 鉛バッテリーは24本使っているのだそうですが、すべてフォークリフトに使われていた再生中古品だそうです。それでも器材一式で220万円かかったのだそうで、ここから考えると結論的には東京電力の電気を使わず太陽光パネルによる自家発電は、ペイしない、となんとも正直な意見でした。(ならば、太陽光パネルだけで電気をまかなうということは、経済的なメリットもさることながら、より環境にやさしいエネルギーのあり方を考える人のためにあるもの、ということになりますね)

 著者が自家発電で作った電気を使ってみて気が付くことがいくつかあったようです。1つは我々が何気なく使っている便座。こうしたものが使う「待機電力」というものがくせもののようでした。
 また別な視点では、十分な発電が出来ている時の余剰分は、むしろ家電を動かし消費すると発電量として換算される。つまり家電を動かせば動かすほど発電量が上がる、というのです。面白いですね。

 本を読んでみて感じますが、思い切って東京電力からの電灯線を切ってしまって、なんとしても自前の発電だけでやるのだ!と決めたからこそ見えてきた世界があったようです。

 著者のこの方、その後、太陽光によるクッキングを試みたり、自宅の庭で野菜を育ててみたことから、人間とお日様とのかかわり、人間と土とのかかわり、雑草や売られている野菜の「種」などについていろいろ学んだようです。それらすべては、電気をすべて自前のソーラーパネルだけでまかなってみよう、と決めたことで始まったこと、そしてそこから日頃気がつくこともなかった様々なことに気がついたようです。





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