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 マニュアルで行動パターンを規定するのは非人間的方法なの?  ・・ (2023/07/16)


 その昔、留学から帰国した一時期、専門学校の教務主任をしていたことがある。それと関係するのかどうか分からないが、時々依頼されるのが、各種資格試験の試験監督。

 試験監督なんて壇上から受験生を見守っていれば良いだけ、と思うかもしれませんが、国家試験の試験監督ともなると時計の秒針まで正確性を求められ、前夜に時刻合わせをしなくてはいけません。これは全国で統一的に実施するために、開始時刻に誤差がないように、とのことからです。

 試験監督にも大きく分けで2つに分類されます。1つは前述の国家試験、もう一つは民間の資格認定試験です。両方のお仕事をやってみると、事前に、良く読んでおくようと指示・配布されるマニュアルの厚さに違いがあります。国家試験は、それはそれは詳細に、やるべきことが規定されています。試験会場での受験生に対しての事前説明も、何を説明しておかなくてはいけないのか、細かく規定されており、その原稿をそのまま読むようにと指示されます。
 かたや、民間の資格試験は、そこまでの正確さは求められません。

 一般の認識では、ゆるやかな規定の民間の資格試験の方が監督する意味では楽?と思われるかもしれません。しかし両方やってみて感じるのは、もし規定する必要があるのであれば、むしろ詳細に規定してある方が実施は楽なのです。


 


 まったく別な次元の話しですが、以前、聞いたことのあるマクドナルドのマニュアル。ご存じのように、店舗で働く人のほとんどはアルバイト。これは日本だけでなく、アメリカでも同様なこと。

 日本人は、まだ個人差によるバラつきは少ないようですが、アメリカの場合は、移民がいたりで、民族も、学歴もさまざま。たとえイレギュラーな事例に出くわしても”そこは常識で判断して!”と言われたとしても、その前提となる常識にかなりバラツキがあるようですので、現場は混乱しかねません。
 結果、個人差によるバラつきをなくすために細かく規定したマニュアルを用意し、それに従うよう指導するとのことです。

 なんとなく非人間的な人の使い方?と思うかもしれませんが、むしろアメリカのマクドナルドで働く彼らには、まんがいち対応に迷った場合には、原点となるマニュアルがあり、それに沿えば良いという安心感があるということ。つまり、働く側にしれみれば、しっかりしたマニュアルがあるがお陰で、仕事の実施では迷わなくて良い訳です。精神的な負担感も減る、という訳です。


 私自身、試験監督のお仕事をお受けし始めた当初は、若干窮屈感も感じましたが、長くこのお仕事をやりだすと、しっかりしたマニュアルがある方がむしろ仕事が楽と感じるようになりました。働く側の受け止め方としては、マクドナルドの店員さんと同じなようですね。

 




 



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