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  エンジェルフライト 国際霊柩送還士・・ (2023/05/07)

                   佐々涼子 著 (集英社文庫 ) 


 下の左の写真は、一時期アマゾンが「当社のプライムビデオで見れますよ」という宣伝をテレビでも流していたので、目にされている方もおられるかと思います。この映画は、下の右の写真にある本がベースとなっています。


 さて、現代のように人の移動が国を超えている時代にあっては、葬儀の対象とするご遺体を、海外から日本へ連れて帰るケースもあるのだろう。ただ、こうしたことは、一部の有名人でもない限り、話題に上らないだけの話しなのだろうが、実際にはかなり多くのケースが存在するのかもしれない。

 この本を読んで見て感じたのは、日本人のご遺体に対する考え方で、これはどうやら西欧人とはかなり違うらしい。

 知床遊覧船沈没事故は2022年4月23日に起きたので、かれこれ1年がたつ。現在もこの事故の犠牲者のご遺体がすべて見つかった訳ではなく、節目、節目に捜索が行われている。これなども日本人がご遺体を回収した上でご葬儀がなりたつことと考えているからだろう。
  しかし、聞いてみると、日本で事故に遭われてなくなった家族の方が来日し、「ご遺体はどうしますか?」と問うと、「すでに魂は故郷に帰っているので、残った遺体にさしたる意味はないので、そちらで適当に処分してください」と言われたのだとか。これが事実だとするのなら、かなり日本人と西欧人のご遺体に対する対応が違うということを印象づけることになる。

 

 アマゾンプライム

 エンジェルフライト(国際霊柩送還士)
集英社(現在は文庫本有り)


 この本を読んでみると、羽田空港の片隅にこの会社の出先事務所があり、海外から戻ってくる遺体は、まずは処置室に持ち込まれるのだそうだ。

 海外で亡くなった方も、それぞれの国で対応がかなり違うようで、アメリカの場合などは、葬儀の時に立派な棺桶にご遺体を寝かせ、親族、友人が故人との別れを惜しむ。この場合にそなえて、アメリカの葬儀社には、ご遺体を防腐処理する専門家がいて、死化粧までほどこしてくれるのだそうだ。

 かたや、発展途上国で人が亡くなった場合、それも事故で亡くなった人などの場合には、事故の状況のままでビニールの遺体袋にいれられ日本に送り返されてくるようだ。こうした時に、この特種な葬儀社の出番となる。事故などで変形したご遺体を、顔や体が、少なくとも遺族が見てもショックを受けないレベルまで修復し、ご対面を用意してくれる。こうした状況に遭遇した親族でないと、この時の心情はわからないかもしれないが、どんなに救われることだろうか。


 我々夫婦のようなシニアが海外に出る時には、まずは旅行者保険の「死亡」に対する保証を受けられるようにしておくべきだろう。なぜなら、遺体を海外から飛行機で運んで貰うにはそれ相当の費用がかかるのだからだ。また、身内の人に、万が一の場合、旅行者保険はかけてあるにしても、どう対応して欲しいのかを伝えておいた方が良さそうだ。

 私などは、遺体を飛行機で運ぶのは大変だろうから、息子にでも現地まで来て貰って、現地で荼毘にふして貰うと良いのかな?と考えたりする。ところが、宗教に寄っては、遺体を火葬する習慣の無い国もあるのだそうだから、なんとしても持って帰らざるをえない場合もありそうだ。いずれにしても、そうした時にこそ、こうした専門家達の出番で、「どうしたいのか」だけはっきりさせておけば、その希望に添ってなんとかして貰えそうだ。


 今回の「国際霊柩送還士」なるお仕事、この国際化の時代には、誰かがやってくれないと困るお仕事ですね。感謝!!

 


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