ご年配の方はご存じと思うが、タイトルは、並木路子さんが歌って昭和21年(1946年)にヒットした「リンゴの唄」の歌詞の一部です。
. | 赤いリンゴに くちびる寄せて だまって見ている 青い空 リンゴは何にも いわないけれど リンゴの気持ちは よくわかる リンゴ可愛や 可愛いやリンゴ |
日本人によくある勘違い
私がアメリカ留学から帰国して最初に勤めたのが語学の専門学校でした。そこで知り合ったのが日系アメリカ人のマリアン・岡田さんでした。当時彼女は英字新聞に「異文化間コミュニケーション」のコラムを持っていました。ある日その彼女にこう言われたのです。
日本人って勘違いをしていません?「言わなくても(相手は)分かっているはず」と勝手に思ってません?私も日系人なので、なんとなく推測出来るけど「それって単なる美しき誤解」かもしれませんよ。
だって、言葉できちんと伝えても正しく伝わらないことがあるのですよ、まして言葉で伝えなくて、どうして相手に理解されていると思うのですかねぇ?
さすが「異文化間コミュニケーション」を研究している人ならではの言葉だと思います。
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湾岸戦争が勃発していた時期に、私はハワイ関連の仕事をしていました。その時知り合ったのが、ハワイ大学で「スピーチコミュニケーション」の講座を持っている西山教授でした。
西山先生が私に、「日本人は言葉を大事にしていない」と。先生に言わせると、アメリカでは高校に「スピーチ」の講座が必ずあり、大学には「ディベート」講座があるが、日本にはないでしょ?と。
更に私にこう聞きました。「聖書」の最初のページになんと書いてあるかご存じですか?「はじめに言葉ありき」と書いてあるのですよ。この国、アメリカでは、クロをシロと言い含めることが出来ればそれはシロになるのですよ、と。
*当時アメリカでは、超有名フットボール選手(OJシンプソン)が元奥さんを殺害した容疑で逮捕されたのですが、優秀な弁護士のお陰で(?)彼は無罪になったのでした。
多民族が暮らすアメリカにいる西山先生の言葉だけに、説得力がありました。
*本来の「はじめに言葉ありき」は、この世
は 神の言葉 によって 作られた ということ を 意味するもののようです。
日本語に以心伝心という言葉がありますが、これは「暗黙の相互理解による対人コミュニケーションの一形態」を意味するそうです。しかし私はマリアン岡田さんが言われた、「最終的には言葉で伝えない限り、相手には伝わらない」のだと思いますが正しいありかたですね。