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  中古車輸出をしていると見えてくる世界(ロシア)  ・・・ (2022/05/22)


 もとより貿易とは日本から世界に向けてのビジネス。よしんば私のように定年後に始めたような「個人・中古車輸出事業者」であっても、そこからは世界が見えてくるのです。


1.世界中の船の動きが分かる、マリン・トラフィック・ドットコム(http://www.marinetraffic.com/

2.SWIFT(国際銀行間通信協会)のネットから閉め出すとはどういうこと?

3.ロシア向け中古車輸出の現状 (業界新聞より)





 たとえばこちら、5月12日付けの日本経済新聞に掲載された記事の1つ。米国、EUそして日本が対応しているロシア向けの経済封鎖に関連したロシアの動きについてです。この記事によれば、目的地を明示せずに航海するロシアの原油タンカーが増えているという。では、何を持って目的地不明というのかというとこちら。

 私も使っているのが、このマリン・トラフィック・ドットコム。これは船から現在位置を示す信号が発信されていればこそ地図上に明示されるのだが、日経新聞にあった記事から推測すると、ロシアタンカーはこの信号発信をせずに航海をしているようだ。


 上がマリン・トラフィック・ドットコム(http://www.marinetraffic.com/)の画面に、横浜・大黒ふ頭あたりを表示してみたもの。私が輸出を依頼した中古車について、乙仲さんから、船名の連絡が来るので、それを「キー」に検索すると、その船が具体的にどこを航海しているのかがこの地図上に表示されます。

 アフリカのお客さん指定の港(例えばケニアのMombasa港)に到着するまでに3週間から1月程度かかる。既にお金を払っているお客さんは車が到着するまでは心配になります。そんなお客さんの不安を和らげるために「あなたの車は船名XXXでMombasa港に向かっていますよ」ということをネット上の地図に示して安心させるよう心がけています。

 報道によれば、ロシアへの経済制裁のトップにあがってきたのが、ロシアの銀行をSWIFT(国際銀行間通信協会)の”ネットから閉め出す”というもの。海外との送金のやりとりをする際に(受け取る際に)必要なのがこのSWIFTコード。これを繋げて貰えないということは、海外からの送金が受けられないということになる。

 左は、私が中古車の代金を受け取る際に利用しているSMBC信託銀行(もとはシティバンク)の場合の説明。

 「受取銀行」という項目3行目にSWIFT Code というのがあり、SMTCJPJT  というのがそれです。これがあっても使えないということは、”あなたは他国との送金やりとりが出来ませんよ”ということ。

画像をクリックすると試読できます → 

 こちらは俗に言う「業界新聞」で中古車輸出に関する情報が掲載されている。5/11に行ったJAA葛西オークションで入手した5月1日号。

 これによれば、

 日本政府は3月25日、ロシアへの中古車輸出に関して、4月5日から全面禁止とする輸出貿易管理令の一部改正を閣議決定したのだと。これによって1980年から33年間継続されていたロシアへの輸出がついに停止されるかと思われた。しかし、

 とまあこんな感じの書き出しだったが、ロシアによるウクライナ侵略前に戻りつつあるのだそう。

 文面に”しかし”、とあるその要因として
・暴落していたルーブル(ロシアの通貨)が回復してきていること、
・SWIFTから除外されていない極東地域の地方銀行から送金が出来ていること、
・3月に中旬に日本からの自動車専用運搬船は停まっているが、ロシアをはじめとする外国の船会社の配船により、輸送数は侵攻前レベルに戻っているのだそう。

 ただ海上保険が紛争地では適応除外されることや、ロシアに輸出していることで自社の評判が落ちることなどの問題が残っていて、しばらくは綱渡り状態が続くようだ。



 貿易と名が付く以上、(法人でなく)個人事業者であったとしても、1つ1つのやりとりは世界と繋がっている感じがします。このあたりが小なりと言え貿易をやっていて面白さの1つかもしれませんね。



 


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