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417. 起業のやり方を教えてください PartII(私の考え)  ・・・ (2024/01/01) 


 まず自己紹介ですが、私の輸出事業、屋号をローガン・モーター・トレーディングといいますが、このローガンは「老眼鏡」から取ったものです。

 昨年秋、コロナで一旦中断していていた中古車輸出の仕事を再開するにあたり、以前から存じ上げている中古車オークション会場の責任者の方にご挨拶しました。「この仕事を再開するからには10年は続けたいのでよろしくお願いします」と。つまり83歳まで?やるつもりだと伝えておきました。
 相手は驚いていて「港区※※に住んでいるようなリッチな人が中古車の仕事をやるなんてイメージが繋がらないなぁと」笑いながらおっしゃっていました。
そこで私が「世の中では、※※に住んでいるお嬢さんのことをシロガネーゼなどと呼ぶようですが、私のようなオジイさんのことは「カネガネーゼ」と呼ぶんですよと言っておきました。

創業の動機 ・・・ まずは「目的を明確にすること」は大事かもしれません。

 順番としては、まず「what 何をやるか」次に「How to どのようにやるのか」そして最後が「why 何のためにそれをやるの?」 の3ステップに分けて考えると良いのかもしれません。特に、最後のWhy 何のためにそれをやるの?は、事業が困難に突き当たった時、道に迷った時にあらたな道を模索する際に必要となってくるはずです。

 さて、私はなぜ定年後も仕事をしたいと思ったのか?その前提として当時私が考えていたのはこうです。農家の人も、漁師さんも、体が動かなくなるまで働くことがあたりまえですよね。私も「元気なうちは働くのがあたりまえ」と考えたいと思っていたのです。

 ・・・その考えを肯定してくれたのが、作家、曽野綾子さんで、いわく、人類の歴史が始まって以来、死ぬまで働くのがあたりまえだった、と。

 余談ですが
 働くと元気になります。中古車オークション会場が私の自宅からだと2時間以上かかります。最寄り駅から電車に乗ってJRの熊谷駅へ、そこから秩父線に乗り換え6つ目の武川という駅まで行きます。さらにそこから中古車オークション会場まで20分かけて歩きます。ちなみに中古車オークション会場は東京ドーム並みの広さがありますので、そこを落札したいと思っている車両を見てまわるべく歩き回りますので、1日の歩数は1万歩を超えます。

 ある年齢になったら最も適した「運動」 は歩くことなんです。歩くと体重も維持でき血圧も安定します。そのためにも、何歳になっても元気なうちは仕事をした方がよいですね。

 さて、私は一般の方より多く転職を経験しています。特に40歳前に外資系IT企業に転職して以降、だいたい2〜3年たったところで知り合いの会社の社長から「今度はうちを手伝ってくれないかなぁ」と声がかかり転職していました。こうしていつも次が決まってから前職を辞めているもので「失業保険」を貰ったことがありませんでした。そこで定年になってまず最初にやったのが「初めての失業保険給付の申請」と「次の仕事を見つける」べくハローワークに行ったわけです。
 私の場合、もともとは”脱サラ”といったことを考えるタイプではありませんでした。それが、たまたま60歳の私を雇ってくれるところがなかったことから(もしくは、勤め先としてこんな仕事をさせて貰えるところは無いかな?と思えるようなものに出会えなかった?)という非積極的な理由からの創業でした。
 つまり、もし定年後も働きたいと思うならば「起業」という選択肢しか残っていなかったのです。結論としては「起業は働き方の選択肢の1つ」だった訳です。


まずは創業資金の用意を

 アメリカ留学時代の同級生がいるアフリカに行ってみようと思ってガーナに行ったことが、中古車輸出ビジネスをやろうと思ったことの”きっかけ”でした。つまり、ある程度のお金を持つことが背中を押してくれたことになります。

 ※ 大学を出て最初に勤めた会社を辞めて、アメリカに留学することを決めた時は社内預金に300万円ほどが
   貯まっていました。で、何に使おうか考えた結果「留学しよう!」となった訳です。
   つまり、まず資金ありきで、次が使う目的を考えよう、ということでした。

 手掛ける事業分野にもよるでしょうが、それなりの資金準備は必要でしょう。ちなみに私の場合では言えば、退職金の中から創業資金にと振り分ける限度額を300万円と想定しました。(家内にも相談した上で)

 実際に使ったのは、起業アイデアのもととなったのがガーナ・アフリカ旅行で50万円程度使いました。実際に中古車輸出を始めるにあたって(仕入れてもすぐに売れる訳ではなく、また売れてもすぐに入金する訳ではないので)それなりの投資資金が必要でした。ただ手離れの良い小型車を中心に買い付けたので100万円も必要なかったですね。

 余談ですが、青色申告事業者の場合、起業時にかかった費用は繰り延べ出来ます。一度、確認しておいてください。

 ※インターネットで見つけた情報
  開業費を繰延資産として計上し、開業後に5年の均等償却ができます。 一方で、任意償却も可能です。 任意償却であれば、償却する金額も自由に決められ、償却が5年を超えた場合の罰則などもありません。 例えば、開業初年度で赤字の見込みであれば償却をしない選択も可能です。

現在の経営状況と今後の課題


 創業後(60歳の時に)、最初に手掛けた最初が「アフリカ向け」それを5年ほど続けたのちに手がけたのが「ニュージーランド向け」。私の中古車輸出の最盛期はこの時期(2015年から4年ほど)でした。当時のニュージーランド向け輸出では「年間売上」が2,000万円を超えましたので。

 昨年(2023年)コロナ明けから中古車輸出を再開した訳ですが、過去と同じことを繰りかえす必要もないので、今回は「北米向け」に軽トラックを輸出することにしました。

 現状はと言うと売上ベースですと月50万〜100万円とたいして大きくはないですが「粗利益」が月当たり10万円〜20万円と少ない取り扱い台数のわりに高利益率なのが特徴です。(アフリカ時代は1台当たりの利益は数万円でしたから)

 ・・・リッチなアメリカ人購入者のお陰と、円安のお陰ですね。

 こんな規模のお仕事ですので「中古車輸出業事業」は副業で、「本業」は年金生活者と言っても良いかもしれません。体力に見合った仕事量に抑えているお陰もあって、楽しくお仕事が出来ている、という感じなんです。

 ※ 売り上げをMAXにするのと、利益をMAXにするのとでは、手掛ける仕事、またそのやり方で異なってくると思います。





これから創業を目指す方へのアドバイス

起業に特別な才能は必要ないのかも

 チャップリンの映画(ライムライトでしたか?)に出て来る言葉だそうですが、人生に必要なものは3つある「希望」「勇気」そして「いくばくかのお金」だそうです。創業も同じかと思います。


どんな業種で起業すべきか?・・・会社員時代と同じ業種がよいの?

 一例を紹介しますと、ゴルフ場で出会ったメンバーさんのお一人、ビジネスマン時代は田町駅近くの三菱自動車にお勤めだったのだとか(そう言えば、田町の駅のそばにありましたねぇ、三菱自動車が)

 この方に、私は外資系コンピュータ会社(ソフト)に勤めていましたが、定年後は以前からやってみたいと漠然と思っていた貿易をやることにしました。たまたまガーナ・アフリカへ行ったことからアイデアを得て”中古車輸出”を始めまたのですよ、というと「自分は自動車会社にいた人間ですので、本来そうした発想は私にこそあるべきアイデアでしたね」と言われていました。

 一般に、皆さん、勤め人時代の仕事の延長でしか考えていないようですね。私はへそ曲がりなのか、定年前とはまったく違う貿易で起業しましたが。そんな私にしてみれば創業したいと思いさえすれば、ネタはその返にころがっているような気がします。ポイントは、まずは「行動してみる」ということかと思います。


何で起業するかは「見つける」というよりは「決めれば」良いだけ

 最近読んだ本「起業のやり方を教えてください」によれば、やりたいことを「決めて」から実践し、もし方向性が違うとわかったら、進路を変更して、別の道を進んでいけばいいだけです、と。
 その通りだと私も思います。勤め人だったら、何度も転職をする人は”移り気なヤツ””こらえ性の無いヤツ”と思われがちですが、起業は試行錯誤OKだと私も思います。


創業にあったっての「課題」と「解決策」

 たとえば、人脈がないのだけれど大丈夫なのだろうか?と思う人がいたとします。
 私のように、勤め人時代は外資系IT企業、定年後はまったく分野の違う貿易、それも中古車、以前はそれなりの人脈もありましたが、新しい仕事にはまったく利用出来ませんよね。

 つまり「新しい事業」には「新しい人脈」が必要だということです。私が中古車輸出を始めた時は、自動車のこと、輸出のことをほとんど知りませんでした。まずは輸出のことを学びに東京都中小企業振興公社に行き、そこで「貿易実務」、「貿易英語」、「経理処理」などの基礎知識をここで学びました。(ほぼ半年かけたかと思います)

 また車そのものについては中古車オークションへ行き、沢山の車を見ることで覚えました。

 今となっては笑い話しの1つになりますが。ある日、プジョーという車を下見していたときのことです。エンジンフードの開け方が分からなかったのです。通常は運転席の右側にレバーがあってそれを引けばエンジンフートが半開きになるはず。それがレバーが無いのです。あとで分かったのですが、プジョーはフランス製なので、本来のハンドル位置は左側、つまりエンジンフードを開けるレバーも左、つまり日本に輸入したプジョーは助手席側についていたのです。
 分からないことはベテランの人に頭をさげて教えを請いました。幸い勤め人時代は営業職でしたので、誰にでも声をかけられるオープンさは備えていましたので。


これから創業を目指す方へのアドバイス

  まずは創業事業の規模感を決めておく

 私がこの仕事を始める際に、大学の同級生で中小企業の経営者からこんなアドバイスを貰いました。いわく「人は雇うな」「オフィスは借りるな」でした。

 人の問題: ゴルフ仲間で、田町で不動産事業を立ち上げている人がいますが、ある程度大きくなってくると支店を立ち上げたいと考えたようで、社員の中から探しているようですが、「帯に短したすきに長し」で、なかなかお眼鏡にかなう人が見つからないようです。
 こんな具合に、ある程度事業が大きくなると、人の問題が悩みの1つになるようですね。

 オフィスの問題: またオフィスを借りないというのは、今回のコロナ流行の時などは、固定費(月々の家賃)の負担に耐えられず倒産した会社が多かったようですね。負担する固定費が小さいというのは大事ですね。
 中古車輸出は、仕入れにかなりの労力が必要ですが、買い付けが出来てしまえば、販売はネット経由ですから(パターンとしてはメルカリなどと同じ)・・ただし、ネットビジネスですか?と問われれば、仕入れが成否を決めるので、ネットビジネスではありません、と答えていますが。
 いずれにしても、事業分野によって規模のスケール感が変わって来ますので、何をやるか決める時にあわせて考えておくといいですね。


 起業についての考え方を知る上で参考になりそうな本が前回のホームページで紹介したコレ、「起業のやり方を教えてください」という本です。この本は、恐らく30代で勤め人経験がある人を対象に書かれているという印象です。内容は、幾度かの「起業」を経験した、ある意味「起業のエキスパート」である著者(福山さん)が、起業前の人(堀田さん)と出会い、この人の試行錯誤を実例として紹介したものです。

 50代の方に、不足する視点をこのホームページで補足したつもりです。参考になれば幸いです。
 



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