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416. 「起業のやり方を教えてください」  福山敦士 著、明日香出版社 ・・・ (2023/12/24) 



 以前、この私のホームページに「「起業」のやり方を教えてください?」を書いた。これは"新聞広告"を見たことからであって、実際に本を読んだ訳ではなかった。

 今回あらためてこの本「起業のやり方を教えてください」 を読みました。内容は、幾度かの「起業」を経験した、ある意味起業のエキスパートの著者(福山さん)が、起業前の人(堀田さん)と出会い、この人の試行錯誤を実例として紹介したもの。

 話しは飛んで恐縮ですが、世の中には「ソリューション」という言葉が飛び交っているが、そのほとんどがまず解決策を自分が持っていて、それに当てはまる「不便」を探しているような傾向がある。本来ソリューションというからには、まず「困難」が存在して、それを解消するための「案」がソリューションだと思うのだが。

 その意味では、モデルとなった起業前の人「堀田さん」が持ち込む様々な「困難」に対して、「こうしてみては?」を提案するもの。このアプローチは、起業にともなう様々な困難をどう切り抜けていけばよいのかを説明する際の適切なアプローチと言えるだろう。

 この本は、恐らく30代で勤め人経験がある人を対象に書かれているという印象です。そこで今回私が「シニアの方」(恐らく30年以上もの勤め人経験を持つであろう人)に対象視点を移し、解説をこころみてみました。



こちらは、出版社のこの本について説明が出ているページです。

目次
第1章 起業のイメージをアップデートしよう
第2章 起業を決断してスタートダッシュせよ
第3章 刺さる自己紹介、効果的な目標設定を
第4章 新商品・サービスのつくり方
第5章 新商品・サービスの値づけと売り方
第6章 会社を組織化して成長させる
第7章 上場をするか、M&Aをするか

キーワードがいくつか紹介されてます。例えば、

・起業は誰にでも門戸が開かれている働き方の選択肢です。
・起業は「一世一代の大勝負」じゃない
 上昇志向があればどうにかなる
 起業はギャンブルではない
 起業は「1つのプロジェクト」くらい気楽に


 とまあ、起業は難しいと考えるであろう一般の方にむけて、実際に幾度かの起業を経験した著者からしてみれば、構えてやるほどの大事でもないのですよ、とここで説明しているのです。

● この本にあった「起業の目的を明確にしよう」は大事ですよね。

 私自身、定年後に「起業」しているのですが、60歳の私を雇ってくれるところがなかった(もしくは、こんな仕事をしてみたい、と思えるようなものが無かった?)

 さらに、私の考え方のベースとして、農家の人が、漁師さんが、体が動かなくなるまで働くことを当然と思っているように、私も「元気なうちは働くのが自然」と考えていたもので、何かしなくては!何をしようか?を考えた末に到達したのが「起業」でした。
 繰り返して言えば、雇ってくれる人がいないなら、自分でやるしかないじゃない!ということでしたね。

 74歳を目前とした私にとっての現状は、本業「年金生活者」、副業「中古車輸出業者」という感じです(笑)


起業に特別な才能なんて必要ない
 「時間があるだけで立派な才能」は面白い表現ですね。定年退職者はまさにこれに該当しますから(笑)


どんな業種で起業すべきかアドバイスをください。
 会社員時代と同じ業種がよい?


 私がゴルフ場で出会ったシニア(定年退職者)と会話をしてみて感じたのは、皆さん、定年後に仕事を始めるにしても、勤め人時代の仕事の延長 でしか考えていないようですね。ゆえに、「同じ仕事はもうイイヨ」つまり定年になってまで同じ仕事をしたいとは思わなかった、ということかも?

 具体例で言うと、ゴルフ場で出会ったメンバーさんのお一人、ビジネスマン時代は田町駅近くの三菱自動車にお勤めだったのだとか(そう言えば、田町の駅のそばにありましたねぇ、三菱自動車が、)

 この方に、「私は外資系コンピュータ会社(ソフト)に勤めていましたが、定年後は以前からやってみたいと漠然と思っていた貿易をやることにしました。たまたまガーナ・アフリカへ行ったことからアイデアを得て”中古車輸出”を始めました」、というと、「自分は自動車会社にいた人間ですのでそうした発想は私にあるべきアイデアでしたね」と言われていました。

 定年前のビジネスマン時代の経験を活かしたければ、この方の場合は、私がやっている中古車の輸出、も選択肢に入れて良かったのでしょうね。


何で起業するかは「見つける」のではなく「決める」

 この本によれば、やりたいことを「決めて」から実践し、もし方向性が違うとわかったら、進路を変更して、別の道を進んでいけばいいだけです。

 その通りだと私も思います。勤め人だったら、何度も転職をする人は”移り気なヤツ””こらえ性の無いヤツ”と思われがちですが、起業は試行錯誤OKだと思います。


新しいことへの挑戦はPDCAよりYKKが有効

 YKKとは「Y:やって」「K:感じて」「K:考える」だそうです。これは面白い視点ですね。組織でまわりの人間にも現状を伝え、理解してもらうにはPDCAが良いかもしれませんが、個人で事業を行うのであれば「Y:やって」「K:感じて」「K:考える」の方が直感的で有効だという気がします。

 多分、アメリカ大リーグで活躍している大谷選手も同じだと思います。球団には属していてもあくまで「個」の考え方、行動が大事ですので、このYKKでやっているのだろうと思います。


起業に貯金は必要ない

 このあたりには私は(シニア起業を考えると)異論があります。

 定年して退職金もあるでしょうから、また若い世代ではないので、体一つで稼ぐには(手掛ける事業分野にもよるでしょうが)体力的にも無理があるでしょう。それなりの資金準備は必要だと思います。ちなみに私の場合では言えば、定年後起業に投資可能な金額の限度額を300万円と想定しました。

 実際に使ったのは、起業アイデアのもととなったのがガーナ・アフリカ旅行でしたので、ここで50万円程度使いました。実際に中古車輸出を始めてからは買い付け(仕入れてもすぐに売れる訳ではなく、また売れてもすぐに入金する訳ではないので)それなりの投資資金が必要です。それでも100万円も必要なかったですね。

 余談ですが、青色申告事業者の場合、起業時にかかった費用は繰り延べ出来るはずです。確認してみてください。

 ※インターネットで見つけた情報
  開業費を繰延資産として計上し、開業後に5年の均等償却ができます。 一方で、任意償却も可能です。 任意償却であれば、償却する金額も自由に決められ、償却が5年を超えた場合の罰則などもありません。 例えば、開業初年度で赤字の見込みであれば償却をしない選択も可能です。



人脈がほとんどないのですが大丈夫?

 私のように、勤め人時代は外資系IT企業、定年後はまったく分野の違う貿易(中古車輸出)です。以前はそれなりの人脈もありましたが、新しい仕事には利用出来ませんよね。

 つまり新しい事業をやるには新しい人脈が必要だということです。私が中古車輸出を始めた時は、自動車のこと、輸出のことをほとんど知りませんでした。まずは東京都中小企業振興公社(https://www.tokyo-kosha.or.jp/)で貿易実務、貿易英語、経理処理などの基礎知識をここで学びました。

 また車そのものについては中古車オークションなどで出会う人に丁寧に教えを請いました。幸い勤め人時代は営業職でしたので、誰にでも声をかけられるオープンさは備えていましたので幸いしました(笑顔)



 ここまででこの本の1/3程度なのですが、あとの部分は、どちらかというと(起業前に考えることというよりは)起業後のHowtoの部分ですので、ここでは割愛します。定年後に起業を考えている方、興味を持たれた方はこの本を実際に読んでみることをお薦めします。




 


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