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407.「起業」のやり方を教えてください? ・・・ (2023/08/27) 





起業のやり方を教えてください!

 日経新聞の本の広告の1つにこれがあった。私が若かった頃は「脱サラ」という言葉があったので、会社勤めを辞めて自分独自の仕事を始める(起業)という概念は、古くて新しいものなのだろう。

 私は60歳までは会社勤めをしていた。ただし、幾度かの転職も経験している。つまり勤め人ではあっても、自ら環境変化を作り出した経験がある。振り返って考えてみると、定年起業の下地作りがこの時代に出来ていたのかもしれないと思っている。 ちなみに私は当時でも自分のことを「社畜」だなどと思ったことはない。

 ちなみにこの本にある方(想定する対象イメージ?)、典型的な「社畜」だそうなので、まだ定年まで間がある方なのでしょう。

 さて、私の意見を言わせて貰うなら、もしあなたが扶養家族を持っているならば、自分で事業を始めても、会社勤め程「安定収入」が望める可能性はさほど大きくはないでしょう。もし起業を目指すとしても、私のように会社を定年になってからの起業であれば(子供も大きくなっていて、かつ住宅ローンの返済も完了しているので)自由に羽ばたけるはず、と言いたい。

 「社畜」はイヤ、と言っておられるが、「社畜」の時間を有効に使い、それをバネと出来るよう溜め込んでおけばよいと私は思う。 





 
・起業のテーマはどう決める?

 何をやるかであるが、あまり固定的に考えない方が良いかもしれない。私自身、定年になるまで中古車輸出をやるとは考えていなかった。もっと言えば、定年起業することすら考えていなかったのだから。

 それがなぜ中古車輸出で、しかも起業したのかと言えば、出会いである。具体的には、定年後にアフリカ・ガーナにいたアメリカ留学時代の同級生を訪ねてガーナに行ったことからなのです。
 現地ガーナで、荷台の横っ腹に「〇〇定置(網)」と日本語で書かれたトラックを見たのが発端だった。日本の車が地球の反対側にあるガーナにまで送られてきていることに感動したのです。

 という具合に、出会いは(起業アイデアの源泉)どこにあるか分からな い。分からない出会いを作り、起業に繋げた要因は「行動・Action」だ。プラスの要因としては、自分で自由になるお金が300万円程度なら、夫婦の老後に不安定要素を作ることなく支出出来るという見通しもあったからだ。


・起業に先立つものはお金(起業資金)


 いくら必要なのか?それはあなたが起業しようとする分野にも寄るだろう。私の専門外だが、もしあなたがラーメン好きで、ラーメン店を開店したいと思ったとする。素人の私から見ても、最低500万円はかかるだろうし、都心の好立地に店舗を構えるとすれば1000万円以上必要なのかもしれない。
 つまり、自分の持つ元手資金と相談して、起業分野を決めるのが正攻法のような気がする。起業しようというからには、その裏付けとなる資金があってのことだろう。手ぶらでは何も出来ないだろうから「社畜」はいやだ、独立してやる、というのであれば資金くらいは先に用意すべきだろう。


・個人事業主か株式会社か


 この本の広告にある個人事業主か株式会社か、という選択だが、私はこう考えている。まずは何をやるかを先に決めることだ。たとえ話で言えば、料理とお皿の関係と思えば良いのかもしれない。料理の内容が決まれば、それに合ったお皿が決まってくる。例えて言えば、あなたがカレーを作るとした場合、どんなお皿を食器棚から取り出しますか?ということ。

 人に寄っては、株式会社でないと事業体ではない、と考える人もいるようだ。以前にも私のこのホームページで書いたが、私が出会ったシニア(定年退職者)の場合。船舶保険会社主催のセミナーに参加していて、たまたま同世代と思うような参加者が私しかいなかったからだろうか、終了後に私に声をかけてきた。セミナー終了後に彼の方から挨拶に来られたその名刺を見ると、株式会社 となっていた。しかしだ、この方とその後メールのやりとりをする中で、中古車輸出は考えているテーマの1つであって、これをやろうというとこまで決心が出来ていないという。ちょっと待てよ、本来、会社を立ち上げるには、事業テーマがあらかじめ決まっているはずだが、この方は法人を立ち上げたのに、まだ決めきれていなかったのだろうか?

 冒頭の料理とお皿の関係で言えば、料理・メニューも決まっていないのにお皿(組織の形態)だけ先に決めてしまったケースだった。1年後にこの方から電話がかかってきた。あるECサイト(今で言う越境ECサイト)に加盟して中古車輸出を始めたが、売れないのだと。どの世界もそうだろうが、ビジネスの流れ(流行?)がある。この方が1年もかけて迷っている間に流れが変わって、中古車輸出で利益を出すのは難しい時代になってきていたのだった。

 ちなみに中古車輸出の分野では、私が個人事業主であることで不便を感じたことはありませんでした。またニュージーランド向け輸出をしていた時代に売上が大きくなったので法人成り(株式会社化すること)を考えてはみたものの、特段のメリットを感じなかったもので、そのまま個人事業として現在も続けています。結論としては、この分野では、株式会社でないことからの差別(区別?)されたこともなく、株式会社である必要はこと中古車輸出分野では、まったく感じませんでした。(ただし、個人事業者でも取引相手から信頼を得るために、支払は迅速に行うなどの努力はしていたが)


・現役時代の仕事の延長でないと可能性はないの?

 最後に。私が定年後に中古車輸出をしている、というと皆さん「あなたは、現役時代は車関係のお仕事をしていたのですか?」と。いいえ、私は自動車とは無縁で、自動車・中古車については、すべて起業し始めてから覚えたことなのです。

 たまたま最近ゴルフ場で知り合ったメンバーの方、現役時代は三菱自動車にお勤めされていたという。その方いわく、自分には定年後に中古車輸出をやろうという発想そのものがなかったが、こうして〇〇さんのように外資系IT企業におられた方が中古車輸出を始められ、しかも10年以上も続けてこられたお話を聞くと、いまさらですが、定年時に私もそうしたアイデアを持つべきだったと思いますね、と。


 標題のこの本のタイトルは、一般的なあこがれチックな起業家を想定しているのかもしれないが、あまりに人に頼りすぎ、という感じがする。まずは自分で「アクションを起こしていく」 ことだと思う。

 たとえ話で言えば、目の前にある丘を越えてみることだ。丘の向こうの景色は超えた人には見えるが、超えることを躊躇う人には、どんなに高学歴だろうがどんな重要ポジションにいる人だろうが、見えてはこない。
 アインシュタインはピクニックに行った時に、草むらに寝転んで空をみあげ、そこで「相対性理論」を考えついたという。これはアインシュタインが天才だから出来たこと。天才ではないあなたは、小さなアクションを積み上げてみることしかないような気がする。
 繰り返しますが、まずは自分でアクションを起こしていくことだと思う。


最後に!

・自分を”肯定”出来ない人は、何をやってもダメ

 あなたが自身のことを「社畜」といった感覚でとらえているならば、それだけで起業家には向かないという気がする。起業をするような人は、「社畜」状態である自分に満足せず、さっさと転職するだろうからだ。外から来た変化にはとまどう自分がいても、自分で起こした変化ならば、適応できるだろう。

 私が40代だった時代、ヘッドハンティング会社から何件も声がかかった。その際はこう伝えた。「以前は転職したいと思っていた時期もあったが、今はとりあえず現状に満足出来ていて、転職する気はないです」と。
 すると相手は、「現状が嫌だ、辞めたいと思っている人に転職をお誘いしても上手くいかないケースが多いのです。反対に、あなたのように現状を楽しんで仕事をしていると輝きが違うのです。私としては、そんな人にこそ転職を薦めたいのです」 と。

  外資系企業にいた時に、人事の担当者にこの経験談を話したことがある。私の場合で言えば、現状に不満で、いやだ、辞めたい、と思った時にはなかなか次が決まらなかった。それが、とにもかくにも現在この会社に籍を置いているのだから、まずは仕事を楽しもう。そうこうして成績も上がってきたところでヘッドハンティング会社から声がかかった。なんとも皮肉なものですね、と。


 人事担当者は笑いながらこう言った。○○さんのいうとおりです。今の仕事がイヤだと思っていそうな人は顔にそれが出ているので、面接してもすぐに分かります。

   ※ 百人一首にある 「しのぶれど 色に出でにけり 我が恋は 物や思ふと 人の問ふまで」みたいなものかもしれませんね。
    (他人には気付かれないように恋しい思いを耐え忍んできたけれど、私の恋は顔色に出てしまっている、という意味)

 ですので、そうした人は一切採用しません。反対に、自分の持っている仕事を、とにもかくにも楽しんでいて、それなりに成果も出ている人とは、面談してみてもすぐに分かるものですよ、と。 




 


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