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400.もはや未経験者が、いきなり中古車の輸出など始められる時代ではない(Part II) ・・・ (2023/06/25)   

  もはや「未経験者が中古車輸出を始められる時代ではない」とはCarFromJapan社長のイナムさんの言葉。確かに、この業界の「柱」でもある中古車オークション会場でも、例えば加盟勧誘キャンペーンなどがありました(実際、私がお一人ご紹介してトヨタ・オート・オークション(TAA)に加盟させたら、お礼にと機内持ち込み可能なサイズの「キャリー・ケース」をプレゼントしてくれたのです)

 最近はとんとこうした話を聞くことがありません。コロナウイルス流行が原因かな?と最初は思ったのですが、必ずしもコロナだけが理由ではないようです。どうやら「中古車オークション」加盟希望者にも、俗にいう「素人さん」が実態を知らないまま問い合わせをしてくる煩わしさがあるのではないかと思います。(オークション加盟には、古物商ライセンスが必要だし、また保証人も必要となってきますので、言葉で言うほど簡単ではない)

  それにしてもです、「もはや未経験者が、いきなり中古車の輸出など始められる時代ではない」は本当にそうなのでしょうか?確かに、最大の市場である東アフリカ市場がビィフォアードに席捲されていて、輸出先対象市場として魅力的ではないことは確かのようです。しかし、それでも私には納得がいかないのです。

 私が定年になった時、自動車のことなど何も知らなかった私に出来たこと。東アフリカに中古車輸出を始めてみて最初に戸惑ったのが、一番売れ筋であるトヨタ車の名称(例えばトヨタ・イプサムとかトヨタ・ラウムとか)すら知らなかったのた。そんなド素人の私が出来たことで、私より若い世代に出来ないとは、よく分からないのです。


 ※ 先日、CarFromJapan社長のイナムさんとランチを一緒して、いろいろ意見交換をしましたが、彼は経営者。儲かることには熱心ですが、(加盟店を増やすために)未経験者を育てる、といった手間の掛かること、効率の悪いこと、に手を出すことはなさそうです。つまり、中古車輸出ビジネスをやりたければ、あなたご自身の力で開業するしかなさそうですね。





 そこであらためて考えてみました。何か未経験者が中古車輸出を始めるためのヒント、方法はないものなのだろうか?と。 まずは自分自身の経験を遡ってトレースしてみました。

 2010年、定年になって、まずはアフリカのガーナに旅行し、日本のトラック道端に停車しているのを発見し、そこから中古車輸出のアイデアを思いつきました。それまでの仕事は車とはまったく関係の無い(定年以前の仕事は外資系コンピュータソフト企業でしたので)分野の仕事でした。つまり、私は中古車の分野に対しては、まったくの素人であり、未経験者でした。
 思いつきで中古車輸出を始めようとする人たちと、違う素質(?)があったとすれば、私には@会社勤めを40年ほどやってきた経験と人脈と資金があったこと。A留学経験があり、英語が話せたということかもしれません。まがいなりにも貿易をやろうというのですから英語なんて出来なくても問題ないはず、と思うのは間違いだと、今でも思っています。

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さて、中古車輸出を始めるための基本は、

@「古物商ライセンスの取得」、最寄の警察署に聞いてみてください。基本、犯罪歴がなければ取得出来るようです。

次は日本中あちこちにある
A「中古車オークションへの加盟」ちなみに私が加盟しているのは、TAA、CAA、USS、アライ、MIRIVEです。
 中古車オークション会社によっては、古物商ライセンスを取得してから1年以上経過していないと加盟出来ない、と規定してある会社もあるようです。

 また、保証人も、1名の場合と、2名必要とされるケースもあるようです。最悪、保証人協会に依頼する方法もあるようですが、初回の支払いだけでOKなケースと、保証した加盟が続いている間ずっと支払いを求めるケースなどがあるようです(私自身は、保証人協会に頼んだことはないので、条件はご自身で確認されてください)

B ネット入札システムに加盟
 こちらは、オークション会社が運営しているもの(ほとんどが有償、一部無償のものもあります)と、オークション会場とは独立して競りへの出品車両検索、ネット入札をやっている会社(例えばASNETやアイオークなど)があります。

C 起業資金
 どんな事業も同じですが、起業の初期段階では、お金が出て行くばかりで売上がありません。しばらくして収入が発生しても、過去の投資額を超え「損益分岐点」を超えるまでには、さらに時間が必要でしょう。そこまで耐える財力が起業には必要となります。分野によっても違うでしょうが、”生活費とは別枠で”事業の目的のために使えるお金が最低100万、出来れば300万くらい、といったところでしょうか。

 さて、ここまでは、中古車輸出ビジネスをしたいのであれば、あってあたりまえ、というものです。1つでも欠ければビジネスはスタート出来ません。





 ◎ ここからが、私の体験に基づく、起業の本質部分です。

 このホームページにも書きましたが、中古車輸出ビジネスでは、「仕入れが(成功の要因の)9割」 です。これは、この世界で何年もやってきた方でも、当然こう言うと思います。

 初めての方、特に若い世代の方が一番勘違いするのが、中古車輸出ビジネスを「ネットビジネスと勘違いすること」ではないかと思います。たしかに、インターネットを通じて車を販売するのですが、仕入れは、もともとは整備工場のオヤジさんなどが必要で始めたものですので、案外泥臭い部分なのです。

 たとえば、古い歴史のあるオークション会場に入会の為の下見に行った時です、案内してくれた営業さんが、階段状の座席正面、スクリーンの手前にちょっとした横長のスペースがあったのを指さして「かつては、あのスペースに車を実際に走らせて競りに参加する人にお披露目し、競り合って貰っていたのですよ」と。

 現在は、下見からして、会場へ行かずに「ネットで参照し」さらには「ネットからでも競りに参加出来ます」。
 しかしです、当初から、「すべてネットでやればいいんでしょ?」が間違いなのだろうと思います。まずは初心者は、頻繁に中古車オークションに通ってください。私は、お話ししたように、定年まで外資系のIT企業にいましたので、車のことは何も知りませんでした。それがきちんと仕入れが出来るようになったのは「車のことは車自身に教えて貰う」という謙虚さを持って仕事に臨んだからだと今でも思っています。最初の段階だけは、泥臭い、アナログ的な行動が必要なのだと思います。

 私がやってみたことはこんなこと。

 このビジネスを始めた当初は、東アフリカ向け車両を扱っていましたので製造から10年以上たった古い車を、広〜い中古車オークションで見て回りました(競りに参加する前の下見)。

 熊谷にあるMIRIVEオークション会場です

 また、競りで上手く落札出来たあとは、1台づつ掃除をし、そのあと1台につき30枚程度の写真を撮影していました。車の下回りの錆の状態から、エンジンルームを見てオイル漏れがないか、などもです。また、時々トランクルームに雨水が貯まっていたりします。これはゴムのシールが劣化して雨水が滲み込んだものかと思います。
 こんな具合に、沢山の車を見てから落札し、さらに写真撮影時に車の各部分の状態を入念に見る、ということを最初の数年は繰り返してきました。
 慣れてくれば、オークション会場が用意してくれた「出品票」だけでもある程度の判断が出来るようになるかと思いますが、そのためには(文章でいうところの)行間が読める、鑑識眼をまずは育てる必要があるのです。

 いかがですか、こうした部分はネットビジネスとは無縁の泥臭い仕事です。しかし、この中古車整備工場のオヤジさんたちは、もともとプロであっても、またプロであればこそ、地道に車を見極めてきているはずです。この世界が仕入れとして必須ならば、ネットビジネスの視点からではなく、泥臭いアナログの世界を極めてみよう、という覚悟と行動が必要なのだと思います。

 もしこんな泥臭いことをやるのはイヤだ、という方は、中古車輸出ビジネスには向かないのかもしれませんね。


D 最後がマーケティング情報です。
 どこの国に、どんな車が売れるのかを越境ECサイトの運営者から聞き出してください。例えば、今だと個人で輸出出来そうな分野とすると、アメリカ向けの軽トラックでしょう。(購入者がまだ個人ばかりで、ディーラーさんはあまり育っていないので、大手中古車輸出事業者には、参入しずらいようです)

 アメリカは、基本日本からの中古車の輸入を認めていません。例外が、製造から25年以上経過しているものです。恐らくは、この年式となると、ほぼクラシックカーのカテゴリーとなるからでしょう。

 私が実際に中古軽トラックを輸出してみての印象ですが、まったく馴染の無い軽自動車分野での車探し(オークションで仕入れ)は、前述の過去の泥臭い作業で培った鑑識眼があったので、よしんば未体験の車種でも、さほどの戸惑いはありませんでした。
 ちなみに、東アフリカ市場、ニュージーランド市場、いずれへも軽自動車は(一部の例外、例えばパジェロ・ミニとかを除けば)輸出の対象にしたことがなかったもので。


 繰り返しになりますが、自動車を見極める「目」さえあれば、外車だろうが、軽自動車であろうば、きちんと勉強さえすればあなたにも扱える商材になります。なぜなら、いずれも「車」なのですから。



◎まとめ

・中古車輸出ビジネスは、販売にインターネットを使うからといって、ネットビジネスと捉えない方が良い。

・地道に中古車オークション会場に通い、車自体からいろいろなことを学び取ることが出来れば、まったく車など扱われたことのない人にでも中古車ビジネスは出来ます。(余談ですが、オークション会場では、ランチが無料で食べられます。独身の人には便利かもしれませんね)

・その上で必要なのは、マーケット情報。どこの国に、どんな車が売れているのか、しっかりと情報を掴んでおきましょう。これがないと、せっかくの積み上げた「仕入れ経験」も活かすことが出来ませんから。

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補足: 英語力について、

・英語が出来ないと、海外の人との商談は、ひたすら値引きをするだけの交渉になってしまい、価格なりの価値がある車であることの説明がおざなりになりますから。
(英語が苦手という人は、海外との交渉をECサイトの運営者に任せてしまうという手もありますが)

・Google翻訳があるから問題ない、と思うのも間違いです。日本語と英語は文法構造が違うので、英語に訳するのに適した日本語を書かないと、きちんとした英語には変換されないのです。一番の典型が主語でしょう。日本人は主語を省略しがちですが、それがない日本文にはGoogleが勝手に英文に主語を入れてしまいます。そして時には、相手と自分の立場を逆にして訳してしまいがちなのです。

 英語が不得意という人がGoogle翻訳を使う時には、一旦「日本語→英語」で試して、改めて出て来たその英文を今度は「英語→日本語」にしてみてください。最初に入力した日本語と寸分違わぬ日本語が出てくればOKです。ほとんどのケースは、予期しなかった結果になるかと思いますが(苦笑)。

 私はアメリカに留学した経験を持ちますので、英語をマスターすることが、いかに大変かは私自身が身をもって体感しています。英語が分からないのであれば、分からないのだということに謙虚であるべきでしょう。




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