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375  70歳が老化の別れ道 和田英樹 著 (Part I) ・・・ (2022/09/04)



 自分のことはあまり正確には分析しずらいもの。今回、さほど期待せずして取り寄せたこの本ですが、読んでみて、この本ほど自分の過去をきちんと分析させてくれる本はないかもしれないと感じました。

 何が?かを複数回にわけで、項目別に説明したいと思います。




 70代に身につける「習慣」が、その後の人生を救う (P41)

 70代にとって重要なのは、身体機能も脳機能もいまもっているものを使い続けることです。70代の時期に意図的に使い続けていれば、80代、90代になって要介護となる時期を遅らせることが出来ます。

 まずは、活動レベルを落とさないよう、「意欲の低下」を避け、前頭葉と男性ホルモンの活性化を促す必要があります。そして、意欲レベルの維持と同時に、70代にとっては、使い続ける「習慣づくり」が大切になります。なぜ70代にとって「習慣づくり」が大事かというと、多くの人が70代前後で仕事からリタイアするからです。働いているときであれば、ルーティンがあるので、必然的に活動せざるを得ませんが、リタイアをしてしまうと、これといって身体を動かしたり、頭を使ったりする理由がなくなってしまいます。つまり、この時期から、意図的に身体を動かそう、脳を使おうと習慣化しないと、運動機能も脳機能も使い続けることはできないということです。

 また、もう1つ、70代の習慣つづくが大事な理由があります。それは70代で始めた習慣は80代以降も生涯にわたって続くということです。よく、会社勤めをしていたときはゴルフをしていたが、定年をしたら自腹では行けないのでやめようと考えている人もいますが、そういった身体を動かすよい習慣がすでにあるのなら、それは70代になってもできるだけ続けた方がいいのです。


 何事においても「引退」などしてはいけない(P46)

 70代に一気に老け込む人の典型は、仕事をリタイアしたときから、一切の活動をいっぺんにやめてしまうというケースです。これまで懸命に働いてきたのだから、退職したらもう何もせず家でゴロゴロ過ごしたいと、指折り退職の日を待っている人もいます。しかし、70歳まで現役で仕事をしていた人が、退職後の生活に何をやるのかを考えることもなくリタイアすると、一気に老け込んでしまうことが多いのです。
 特に、前頭葉の老化が一気に進んでしまいます。ここが老化すると、何事にも意欲がなくなり、活動することがおっくうになって、運動機能の低下と脳の老化にさらに拍車がかかります。見た目の印象でも、はつらつとしたところが失われた、元気のない老人に変貌してしまうのです。

 そうならないためにも、退職を迎えたら、これまでの仕事の代りに次に何をやるのか、準備をしておくことが大切です。退職して、しばらくゆっくりしてから次のことを考えようなどと思っていると、いつの間にか、ダラダラと過ごす生活に流されて、それが習慣になってしまうということもあります。意識して退職後の活動を決めておくことが大切です。




<私の感想>
 この本では、タイトルが70歳が境目というテーマで解説していますが、これは私の世代のように、定年が60歳であれば、本中にある70歳を60歳と読み替えれば良いのかと思います。

 私は定年直後は、特に、具体的な仕事の構想はありませんでした。ただ、定年したとしても働くことは止めないことが自然とは思っていました。私にとって定年とは、義務教育(家族の生活のために働くことが当然)を終えた転換点だと思っていました。作家、曾野綾子さんが著書に書いているように「人類は有史以来、死ぬまで働くのがあたりまえ」ということが頭にあり、定年になった、さて次は何をしようか、という感じでした。

 50代は、たまたま外資系中小規模IT企業の中で、それなりの評判を得ていたもので、なんと3度も転職(つまり4社経験)しました。いずれも相手企業のトップから「一仕事が終わったら、次は当社に来て手伝って!」という感じでした。しかし、私自身の感覚では、もう同じ世界(外資系IT企業)の仕事は十分やってきたので、別な世界の仕事がしたいと思っていました。
 まずは、いままで貰ったことのなかった「失業保険」なるものを貰うべくハローワークに通いました。そこでは、ある種、次の仕事探しが義務づけられているので、ハローワークのデータベースの中から、希望に合うものを探しましたが、希望に合うモノはありませんでした。

 たまたま思い付きで、アメリカ留学時代の同級生(ガーナ人)がアメリカから母国、ガーナに戻っていることを聞いたもので、彼を訪問して良いか尋ねました。その結果、10日ほどのアフリカ(ガーナ)旅行でしたが、見るモノ聞くもの、カルチャーショックでした。というのも、私が小学生時代(昭和30年代)と共通する景色があったからなのです。そう、ちょうど映画「ALWAYS 三丁目の夕日」のように、です。
 この旅行で得た感動から、帰国してから構想を作り始めたのが「貿易」、具体的には、「中古車を仕入れてアフリカに輸出する」でした。なれない仕事ゆえ大変でしたが、とても面白い世界でした。


 さて、今回読んだこの本によれば「一気に老け込む人の典型は、仕事をリタイアしたときから、一切の活動をいっぺんにやめてしまうというケースです」とありました。そういう意味では、私の場合、定年になって直ぐに次の行動を開始し、ガーナ旅行からおよそ半年後に輸出事業のスタートをしたのでした。

 この本の通りなのであれば、たまたまやってきた私の行動が、老化を防ぐための1stステップだったわけです。どうやら一般には、「定年したらしばらくのんびりしてから次を考えよう」というのでは次が始まらず、やるならば、定年になった勢いそのままで次のステップへと進めるのが良いのだ、ということになります。

 これは、これから定年を迎えようという人にとって、大いに参考になる著者(精神科医)のアドバイスですね。




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