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368  堀江貴文著、「破戒のススメ」 ・・・ (2022/05/29)

 
 「破戒のススメ」  我慢の奴隷から脱出する44の行動哲学  堀江 貴文 著

 本のタイトルの「破戒」とは戒律を破ること、モノをぶっ壊せということではない。この本出版のタイミングからして”不要不急”は止めてくれというコロナに関連しての政府の言葉に「従順に従うことはないのだ」と言いたいらしい。

 翻って、自分の周りで自分自身が作ってきた枠があり、それを壊すべきと、まずは堀江氏自身が取り払ってきた枠を紹介している。恐らくは、彼が収監されて自由を奪われた時代を通じて、あらためて人間にとって、何が必要で、何が必要でないのかを客観的に見等れる用になったのではないと想像している。


 
 堀江氏、若い頃はモノへの執着が強かったそうだ。それがライブドア事件で長野刑務所に収監される際に、それまで買い集めた、車、バイク、ゴルフ道具などをすべて処分したのだそうだ。その時あらためて感じたのは"喪失感"ではなく「身軽になった〜」という"爽快感"だそうだ。お金があったから買えただけで、1つ1つものに、差ほどの思い入れはなかったのかもしれない。

 堀江氏と私とでは、世代も背景もまったく違う私だが。私の場合は、90歳を過ぎていた母が亡くなった頃からモノへの執着が消えた。理由はこうだ。父が残してくれた家、耐震度が不安な築50年の家をどうしたものか考えた。すでに川崎に家を持っていた息子が、オレが建て直すので同居(フロアは別々)してもいいか?と聞いてきた。ならばとまずは古い家に残っている両親のモノ、そしてすでに巣立った3人の子供達の子供時代のモノ(絵や子供時代の持ち物)をどう処分したものか考えた。あたらしい家を建てるまで時間があったので、片っ端からフリマアプリで処分した。売れそうなものはメルカリで。カサの張るもの(例えばベッドなど)はジモティで。それでも処分出来ないものは、自宅まえに箱を置いて”自由にお持ちください”と書いて並べておいた。余談だが、この自由にお持ち下さいには、近くの小学校の生徒さんたちが常連客となってくれ、毎日放課後に遊びに来てくれた。
 話しがそれたが、半年がかりで処分したものの中には、母が使っていた冷蔵庫、二槽式の洗濯機、ガス乾燥機、ガス台から換気扇まであった。1つ1つ掃除をし、貰い先をみつけ処分していくその時間経過が自分がかつて持っていたモノに対するこだわりを取り去ってくれたような気がする。

 新しい3階建て家の1階が我々夫婦だけのスペースだか、以前の家に比べると収納スペースも少なく、何かを買ったら、何かを捨てなければいけない状態となった。不自由かと問われれば、今はむしろこのルールの方がスッキリした感がある。モノを増やさないという生活スタイルが定着してきたからだろうか。

 ※ たまたまスーパーで見つけたコールマンのスポーツサンダル。買って帰ったら、なんと昨年新しく買い換えたものが下駄箱に保管してあった。別にフリマアプリで売るつもりで買ったものではなかったが、新しいサンダルの方はPayPayフリマで売ることにした。買った際に複数の値引き特典が得られていたので、他の人が提示している金額よりも安い金額を提示し、3日目に売れた。2000円程度手元に差益が出たが、別に2000円がどうというよりも、72歳のシニア男性が、PayPayフリマで売った、買ったが出来るだけでも(しかも損をしないだけでも)面白い年寄りになれていると思える。


 お金の収集に意味はない

 繰り返すが、堀江氏とは世代も状況も違う。また彼は独身だが、私は愛妻がいる。彼女に不自由を感じさせない程度の蓄えはある。(よしんば、蓄えがなくとも、不自由など感じそうにない性格の女性だが。笑) 氏いわく、「身軽であるほど、価値ある人生が楽しめる」と。なるほど!

 また、こうも言っている。お金があればあるだけ安心、という認識は完全な間違いではないけれど、不安の対処のために使うのはいけない。本当に必要なモノだけを買い、あとは動き出しにすべてを使う!コロナ禍でも、お金の正しい利用法は変わらないのだ。

 私の場合、60歳で定年になっても何らかしらの仕事は続けるつもりだった。例えで言えば、義務教育の中学を卒業したら次は高校へ行くだろう。それと同じように、勤め人を終えたなら、自分で何かをやるのが私にとって自然なことと思っていた。老後の資金の中から、個人事業の立ちあげ(起業)に300万を使いたいと家内に伝えた。反対に300万を使い果たしても芽の出ない場合は、それ以上深入りしないことも宣言していた。結果、このホームページにあるように、個人事業として「中古車輸出」を始めた。
 子育てが終わって、またダンナからも手が離れた家内はシルバー人材センターが紹介してくれる仕事に熱心になった。私も自分で仕事を立ち上げた2010年からの5年くらいはかなり充実した時間を過ごしていた。お互い多忙ゆえに、あまり旅行をしたいとか言わなかった。お互いの仕事が落ちつきだした60代半ばから、時々私が海外旅行を設定して、彼女を家から引っ張り出すようにした。こんなサイクルで仕事と食事、国内・海外旅行などをしている夫婦関係をとても良い状態だと感じている。


 人を弱らせる最大の毒は暇

 堀江氏いわく、ヒマとは魅力的なものではなく、実は「毒」なのである、と。

 この本で堀江氏が語っていることと、私の視点とは少々違うが、私の考えはこんなだ。「小人閑居して不善を為す」という言葉があるが、私は「老人閑居して不善を為す」だと思っている。私の考えは、シニアのお仕事は(損さえしなければ)儲けなくても構わないと思っている。では何のためにやるのか?それは「楽しさ」のため、だ。次回ご紹介するが、Facebookで知り合ったウガンダの男性に「小商い」をやってみて貰って、個人事業の楽しさを知って欲しいと思っている。

 世の中のシニアには、定年後にやることが見つからないという。ソフトバンクの孫さん流に言えば、「頭がちぎれる程考えろ!」と言うところかも。まあそこまでしなくとも見つかるような気がするが。ようは本人が見つけようとしていないだけと思う。いつも、何かを求めてさえいれば、自分の周りに小商いのネタは転がっていると思う。たとえば昨今普及しているフリマアプリによる中古品販売なども出来るはず。ジモティだっていいし、PayPayフリマだっていい。(メルカリは手数料が高く、しかも現金回収しずらいので私は今はやっていない)
 もしかしたら企業に勤めていた時は数千万、数億円という単位のお金を動かしていたかもしれない。しかしそれは組織というバックがあればこそ出来たこと。シニアになって家族を養うために、稼がなくてはならないという優先順位は下がったはず。私にしてみれば、定年後自分だけで稼いだ10万円は、企業勤め時代の100万円と単純比較しても、価値が低い、などとは考えない。


 開業資金が集められなければ売上も無理

 堀江氏によれば、「はっきり言って、やる前から出来ない理由を考えたがる人は、ビジネスには向かない!最初から1万円のリターンを他人に提示できないような人間が、仕事で1万円以上の利益を挙げられるはずがないだろう」とこの本の中で書いている。


 いまを楽しむのにお金を出し惜しむな

 堀江氏が言っているレベルと、私が考えているレベルとはあまりに違う。違うが、楽しむために何かしてみろ!という点では同じだと思っている。堀江氏が書いている例えが面白かった。いわく、400円くらいの吉野家の牛丼と、4万円の「すきやばし次郎 」のランチ寿司を比べて、寿司の方が牛丼より100倍美味しいだろうか。そんなことはない。実際の出費と、受け取る楽しみは、比例するわけではないのだ、と。私も同感である!

 私自身でいえば、30歳代知り合ったロシア人とのハーフの男性からキャビア ベルーガを仕事のお礼にと頻繁に貰った。また、仕事を通じて(客人を連れて)高級料亭や高級寿司屋への幾度となく行ったが、今、それを再現したいとは思わない。70歳を過ぎた我々夫婦。寿司は回転寿司でも十分美味しいと思っている。

 ただ、コロナが落ちつくであろう来春に向けて今、イタリア語を勉強している。家内を連れてイタリアに行き、いろいろ美味しいものを私がイタリア語で注文し、家内に食べさせてあげたいと思っている。そんな目的のあるイタリア語学習はとても楽しい。


 とまあ、この本の最初の部分を読んだだけでも、堀江氏の言っていることに共感出来ることが多々ある。違うのは、富士登山に例えれば、彼が登ったルートと、私が登ったルートが違うこと(私は刑務所に収監されたことがない)。そこに到達したルートは違っていたとしても、それを通じて得た感想には、共通するもが多いようだ。



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