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366  さあ、そろそろ重い腰をあげてコロナ時代を通り抜けなくては ・・・ (2022/05/01)


 物事は想像するよりも複合的に進んでいる気がします。中古車輸出を10年ちょっと続けてきて、何度か大きな転換点がありました。2011年、東北大震災(福島の原子力発電所の事故)があって(目には見えない)放射能に汚染していると指摘される車が出現。それが港での輸出直前の検査で汚染が指摘され輸出先を失った中古車が港に溢れてきました。困った輸出事業者の中は、汚染状況を告知することなく中古車オークションに再出品する人も現れました。つまり中古車オークション会場が、いわばババ抜きのようになり、買い手は見えないババを掴まされるリスクを負った訳です。この時ばかりは私もあぶなくて仕入れも出来ないので3ヶ月間ほど仕事を休止しました。

 悪い時には悪いことが重なるものですね。同じ時期、輸出で船積を待っていた私の車が事故に巻き込まれました。別に私が運転していたわけではないので、私自身はケガをした訳でもなんでもありませんで、港湾で働いていた人がハンドル操作を誤って、数台が玉突き事故になり、そのうちの1台が私が所有する車だったというわけです。
 港湾関係者が私のところに詫びに来てくれたのは良いのですが、被害を補償してくれるはずの保険会社があまりに横柄な対応。電話越しにどなりつけた1週間後、胸に違和感を感じ、夜中に救急車を呼び病院へ。診断結果は「心筋梗塞」でした。翌朝カテーテル手術をし「ステント 」を血管に入れて貰い落ち着きました。定年して丁度1年たったところで体重が増加気味(血圧も上昇していたはず)のところにストレスのパンチが効いたようです。
 10日ほど入院したのでゆっくり考える時間がありました。仕事のストレスが原因でこうなったのですが、この仕事を止めることはまったく考えませんでした。起きたことは起きたこと、それよりここから先をどうするのかと。結論は、それまでやってきた中古車輸出の作業の中でどの部分を効率化したらより利益が出るのかと。キーは、(オークションで仕入れ、輸出するまでの)車輌保管のマネジメントにありそうでした。


  2012年、放射能汚染問題が沈静化してきた中で、次の試練があらわれました。消費財における「楽天」のような役割の重要サイトTradecarview の1会員であったB社が、会費の値上げを求められたことに反発し自社のサイトを本格的に機能拡張してきたのです。
 中小零細の集まりのようなサイト(楽天スタイル)よりも、トップが方向を即断出来るB社(いわばアマゾン)とでは結果に大きな差が現れてきました。当時月に5000台もの中古車を集中してアフリカ東海岸の国々へ輸出するものですから市場は一気に飽和状態に。ここで私が名刺交換をしたことのある個人事業主30〜40人が中古車輸出の世界から撤退していきました。
 
 なんとかアフリカ市場以外に隘路を求められないものかと考えていましたら、その機会が相手からやってきてくれました。
 中国で中古車販売をしていた人が、ニュージーランドに移住し中古車販売をしたいと考えていました。ニュージーランドでは販売している中古車の多くが日本車だったことから日本から調達するルートを確保しようと考えたようです。
 当初は、日本に銀行口座を持ち、日本のオークション会社に加盟することで自社での商材調達を模索したようでしたが、それが叶わないと知ると私に肩代わりを頼めないか打診してきました。その第一号がニッサンGTR(550万円)と幸先の良いものでした。

 3年ほど彼の仕事の支援をしていましたが、現地に進出している日本の商社が彼にアプローチをし、私のような代理人を経由しなくともニュージーランドにいながらにしてインターネットで直接日本のオークション会場に注文が出せる方法を提示したようで、まもなく私との関係が終わりました。
 しかしその彼も、販売対象と期待していた中国からの富裕層の子弟(留学生)がコロナ流行で次々と帰国してしまい、あっさりと顧客層を失いました。結果、彼も移民することを一旦あきらめ、中国に帰国して行きました。


 こうした説明から気がついた方もおられたかもしれませんが、私は「人脈」を作り、その「人脈」を通じて仕事が成り立つ構造を作って行くタイプでした。2010年、中古車輸出ビジネスを始めた当初はアフリカ市場を手始めにし、その中でウガンダに現地代理店をしてくれる相手を育てていきました。続くビジネスはニュージーランド市場を相手にビジネスをする人との人脈で仕事をしてきた訳です。3段階目は、そもそもこの中古車輸出のきっかけを提供してくれたアフリカ・ガーナにいるかつての留学生仲間が支援してくれました。
 彼のいたガーナを訪問したのが2010年。これがきっかけに定年後起業のテーマを中古車輸出とした訳ですが、ガーナとは反対側の東アフリカ諸国(右ハンドル国)ばかりを輸出対象にしてきました。理由はシンプル、彼のいるガーナは左ハンドル国だったゆえ対応が難しかったのです。
 しかし8年たって、彼も仕事にゆとりが出来たのか(本業は、中国から輸入した建材をガーナで販売)、日本から輸入した車のハンドルを左右付け替えることを人件費の安いガーナで出来ないものかを調べてくれていたのです。結果、私は東アフリカの国々への輸出同様、単純に右ハンドル車をガーナに輸出すれば良いようにしてくれたのです。(同級生の彼に感謝!!)

 2019年「最後の砦」のごとくあてにしていた彼にトラブルが。一旦離婚が成立していたはずのアメリカ在住の元奥さんから再度慰謝料のことで訴えられたようでした。多分日本でも同じようなものなのでしょうが、こうした裁判・調停には時間がかかるもの。1年近く慰謝料裁判・調停で時間をムダしに、さらに税務署からの追い打ちが。というのも、彼、慰謝料を支払うために、手持ちの不動産(マンションの部屋をいくつも持っていた)を処分したため、それらに対しての税金が発生したようでした。(なんとまぁ****お気の毒に!!)

 そんなこんなで、ガーナ向け中古車輸出を続けたいと思っていた私はここで中断せざるを得ませんでした。かてて加えて2020年初頭からの日本でのコロナウイルスの流行。中古車オークション行きの送迎バスが休止になり、また、衛生管理に無頓着な若者世代が来場者に多いことも、私の足をオークションから遠ざける要素になっていました。



 前述のように「人脈」をベースに仕事を進めるタイプの私も、いくらなんでも「コロナウイルス流行」を理由にこれ以上長く輸出をお休みしている訳にもいきません。そんな時、「港区の創業セミナー」で知り合ったのがeBayで活躍するWさんでした。私よりも40才超若いだけあって、今流行のIT技術には精通、活用しています。聞けば、始めてヤフオクをやったのが小学生の時だったとは(驚き)。

 Wさん、e-Bayで小物を販売したりしていました 。そんなことから、中古車輸出の再開にはもう少し時間を掛けてからとして、まずは身近なもので「小商い」が出来ないか考えました。
 水は高いところから低いところに流れます。多少は人脈のある東アフリカと日本との間で水の流れるごとくの商品に何を扱おうが考え、ウガンダでFacebook繋がりの人にいろいろ聞いてみました。結果、扱う商品は日本とウガンダでの価格差が倍以上ある「USBメモリー」に決めました。まずは私がリスクを負ってサンプルを発送。現地でパートナーになるべき人の育成のためにと、売れたら原価+送料を私に送ってくれればいいよ、という形でスタートしました。

 この文章を書いている時点で、ウガンダの知人から Western Union 経由で送金した旨、連絡がありました。これでまずはトライヤルは成功しました。あとは彼(専門は経理)が、より大量の商品を扱えるよう技量があがるのを待つばかりです。
 現時点ではこれが大きなビジネスになるとは思っていませんが、コロナ流行を理由にして何もしてこなかったことから離脱するきっかけになればと考えた訳です。

 
 事前に現地と日本との価格差の大きいもの、しかも送料の安いものをとUSBメモリーの輸出をすることにしました。対象としてお値段そこそこ(中国製)、品質まずまずの製品を選びました。  UGANDAから知らせて貰い、一番利幅が確保出来そうなメモリー容量のものを実験的に取り扱ってみることにしました。




 ここへ来て、Wさんから面白い提案がありました。彼女の父親は二輪車の販売店をやっており、エンジンの付いた乗り物に親和性があるのだと言うのです。私がWさんの取扱品目からヒントを得て、USBメモリーの輸出を試みようとしているのに対し、Wさんは、私がやってきた中古車輸出をやってみたいのだそう。

 コロナ禍でそうそう直接会いずらいので、毎日のようにWさんからの質問に対し、長文メールを書いて返信しました。

・中古車の調達にはどんな方法があるの?
・オークションで仕入れた車を(在庫販売する場合)保管場所はどうしていたの?
・輸出のためのセールスにはどんなサイトがあるの?自分で作っている人もいるの?
・乙仲さんはどんなところと取引されてきたのですか?

 など、など。


 別な日、港区にある、4月にオープンしたばかりの施設、スタートアップ、起業家・フリーランスが活動拠点として利用出来るというので行ってみました。この場から、輸出販売サイトの中の1社(TCV)に、オンラインでの説明をお願いすることにしました。
 私がこの販売サイトの前身の利用を既にやめて6〜7年たっていますので、その後このサイトがどう変化しているのか知りたくて私も同席させて貰ったものです。

 その後、いろいろなことが分かってきたのですが、高額の創業時費用を請求してくるものの、ほとんどの人は儲かるビジネスにはならずに撤退しているようでした。(興味のある方は、ネットで検索してみてください)

 



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