365. 創業寺子屋塾(2022年2月開催) もうお一方の講演者、TAPROOM 社長 平松美幸さん
・・・ (2022/03/06)
講演の中でご本人も言われていましたが「飲食店経営の経験が無い人間」が、しかもこのコロナ禍の中でここまでやれたということは、私の印象としては特質すべきことだと思う。
まずお話しをお聞きしていて感じた「経営者にとっての最初の壁」は、資金の制約の中でやむをえなかったようだが、最初のお店が路面店(道を歩く方がふと立ち寄れるような1階にあるお店)ではなかったということ。私の友人で、ネット不動産を始めた人が、たまたま同じビルの1階にお店が開いた機会を逃さず契約した。結果、路面店とビル上階のお店でこんなにも来店者数が違うのかと、その違いに驚いたという。特に飲食店は路面店がどうかで成否が別れる可能性が高い、とのことでした。(しかし路面店でなくとも、現在までお店を継続出来ている)
2015年初旬に創業準備をし始め11月にお店(PDX TAPROOM、PDXは空港コードでポートランドを意味し、TAPは水道の蛇口のようなビール注ぎ口を示す)を渋谷にオープンした。
2016年11月に開店1周年のイベントを開催し、3日間で194人が来店してくれたというのも前職でマーケティング担当だった経験が役に立ったのだろう。さらに路面店ではないというハンディを持ちながら、平均来店者数が月平均1000人に達したのだという。路面店のように、店の体裁を整え、待ってさえいれば来店者が期待出来る路面店と違って、並大抵の努力ではなかったのではないかと思う。
面白かったのは、酒税を取り扱う税務署では、通常、酒を販売する側と、酒を提供する側、を別けている。これはどうやら酒販売店の利害を守る仕組みのようだ。平松さんは、ポートランドビールを広く日本の人に知って貰いたい、味わって貰いたいという考えから税務署と交渉をかさね、ポートランドビールを「飲ませる店」であると同時にポートランドビールの「販売も行える」ようにした。この話しなどは、彼女の粘り勝ちという印象。
恐らくは、ようやく渋谷の1店舗が起動に乗ったであろうタイミングで(2020年より)コロナ対策で振り回されることになったのは、なんと不運なことだったであろう。
平松さんの資料によれば、そこで取り組んだ対策は以下だそうである
1.融資
2.助成金、補助金の活用
3.テイクアウト対策
4.従業員の雇用確保
この中でテイクアウト対策にデリバリー用の自転車を買ったそうである。しかし1号店の立地がビジネス街だったからか、デリバリーのリクエストは無く、自転車はその用途に使われることはなかった、そうでした。
講演を聴いて、平松さんの精神力と行動力、そして高い能力(どんな助成、補助があるかを調べ、大変だったろうと思われる書類作りを行えたこと)に感心させられることになった。
まずは店をしっかりと維持するために、
コロナ特別融資を受けるべく準備を進めた
・4月
1日申込み → 5月20日実行 新型コロナウイルス感染症特別貸し付け
・4月27日申込み → 6月22日実行 緊急経営支援特別資金(新型コロナウイルス感染症対応)
・生命保険の契約者貸し付け
助成金、補助金の活用
・東京都感染拡大防止協力金
・業態転換支援事業(新型コロナウイルス感染症緊急対策)
・小規模事業者持続化補助金<コロナ特別対応型>
・家賃支援給付金
従業員の雇用確保
・雇用調整助成金・緊急雇用安定助成金
→ 新型コロナウイルス感染症に係る休業などの支援事業(専門家派遣)
→ 申請4月4日 決定通知4月30日
ご本人の説明によれば、こうした助成金、補助金の申請の中には、かなり専門的な知識を必要とするものもあったようだ。そこで平松さんは役所にいろいろ相談をし、一定回数限定ながら複雑な書類作成の手伝いとして得られた司法書士の支援だった。(一般的なレストラン経営者の多くは、複雑な書類を目にして書類提出を諦めてしまったのではないかと思う)
こうした融資、補助を得ることが出来たわけだが、平松さんのさらなる凄さは、まだコロナが収まっていない2021年10月に2号店を「茗荷谷」にオープンしたことだった。1店目の苦労から、2店目(ウェッジ
ボトルショップ&ピザ)は路面店でオープンしたことは言うまでもない。
(まとめ) 以上はご本人の講演レジュメと、当日のお話しを元にまとめたものです。印象としては、一般的には男性はここまでがんばれないのではないかと思ったこと。あらためて女性のねばり強さが強く印象に残りました。あらためて、創業寺子屋塾のコーディネーターの方と、実際の活躍を拝見すべく私もお伺いすることにしています。今から楽しみにしています。