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351.  人類は有史以来死ぬまで働くのがあたりまえだった   ・・・ (2021/10/31)


 「人類は有史以来死ぬまで働くのがあたりまえだった」とは作家、曾野綾子さんの言葉。第一次産業の、農業、漁業ならば規模を縮小すれば可能なのかもしれないが、勤め人だった人にはどうなのだろうか。


 昨年のコロナ流行以前に10年続けてきた中古車輸出ビジネスが休眠状態に入った。1つにはリスク(負担)の大きい在庫販売を止めていること。また人脈で仕事をしてきた私だが、相手の事情で先方からの発注が停まっている。相手の都合もあることゆえ、なんとかしてとお願いしてもそれは難しい。そんなこんなで時間はたっぷりある。ならば、サラリーマンの定年退職後の夢でもある「ゴルフ三昧」というのでも良いのかもしれない。もっとも私の印象では、週日働いていたからこそ、週末のゴルフがいとおしく、また楽しかったということを。つまりお腹が減っているから食事が美味しいのと同じなのかも?いつでも出来るゴルフというのは案外楽しさが減るのかもしれない。


 そんな中、家内から「こんな仕事を募集しているわよ」と教えて貰った。面接を受け、それをパスし、派遣されて資格試験の試験監督のお手伝いをすることになった。派遣先によって謝礼は若干違うようだが、基本は朝から夕方までお手伝いをしてほぼ1万円というところ。海外、たとえばアメリカなどの事情は知らないが、恐らくは日本人は特に資格取得が好きな人種のではないかと。ゆえに、日本では年がら年中どこかで資格試験を実施しているようだ。そんなだから、月に1〜2回はご依頼があるようだ。


 試験監督というと、会場となった教室内をただ見ていれば良いのでしょ?という人もいるが、実際にやってみると、結構大変、というか気も使う。当然のことだが、受験した人の答案回収の枚数不足は許されない(というのも、試験の出来が悪いという人が解答用紙を持ち帰ってしまうことがあるため)。確認しながら回収し、回収しながら枚数確認は怠れ無い。
 慣れた試験監督は、主催者から受け取った問題用紙、解答用紙を、これまた事前に貰った受験会場(教室)のレイアウトを見ながら、列ごとに枚数を別けて付箋を付けておき、現場(教室)に入ったら列ごとに過不足が無いように配布していく。また回収した答案は番号順にしながらテキパキと枚数を確認していく。
 また今の時代、時期だからこその手間もある。まずスマホの扱いがシビアだ。どこの会場でも同じだと思うが、電源を切って会場が用意した封筒に入れさせ、さらにそれをカバンに入れて、椅子の下に置くようにと指示・お願いをする。またマスクは必須だが、本人確認には、独り一人、マスクを下げて顔の確認をすることになるので、平時に比べて余計な手間が増えている。


 初回をなんとか無難にこなしたあと、家内から「どう、新しいお仕事、続けられそう?」と聞かれた。やることはシンプルなのであとは場数を踏んで慣れるだけだろう。ただ、私は別なことを考えていた。こうしたことをやりたいのか、どうかがあるのだ。

 事前に派遣元から説明があり、丁寧なマニュアルも渡され、その中で、ああして、と指示がある。マニュアルがあるというのは必ずしも非人間的なのではなく、行動する側からすると対応に迷うという曖昧さが消えるので助かる。問題は(やれるかどうかではなく)、自分がやりたいと思えることなのかどうかだ。というのも、60歳定年後に自分で起業した。自分が事業者として活動(働く)すると、誰も、ああしろ、こうしろ、とは言わない。自分で何をやるのかを決め、実行し、そしてそこから派生したことの、すべての責任を自分で負うことになる。事業の大変さはここにあり、また事業の面白さもここにあるからだ。


 都知事などは「コロナは無くなったわけではありません」と発言し、注意喚起は怠らないが、現在10月末時点で、コロナ流行も一段落したかに見えている。しかし、海外への旅行などはまだ回復に半年、1年はかかるだろう。貿易(中古車輸出)ビジネスも以前に戻るにはまだまだ時間はかかるだろう。
 今、与えられた仕事を一生懸命やりつつ、時がくるのを待ちたいと思う。


*正直言うと、71歳の私なら、な〜んにもしない毎日でも、許されるとも思ったりするのだが(笑)



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