ホーム目 次 / 前ページ次ページ  


340. 自分を他人と単純比較しない  ・・・ (2021/05/23)


 以前何かの本で読んだことがある。同窓会に出るのは「同級生たちがその後どうしているのか?」を知るためだという。もっと具体的に言えば、自分より上なのか、そうでないのかを見届けたいからだとのこと。確かに、あいつは出世した、とかあいつは離婚したとかの話題を酒の肴にするのも楽しいかもしれない。しかし私のように70代の人間ともなれば、「そんなの関係ねぇ!」というところだろう。というのも勝敗はすでについているからだ。もう1つは、単なる勝った負けたではない部分も見えてくるからだろう。

 例として適当かどうか分からないが、こんな例えでどうだろうか。家内と私は中学校の同級生。当時クラス委員は成績が良い人が選ばれるのが一般的。彼女は勉強が出来たものでクラス委員をしていた。勉強が出来た家内はその後、国立大学(数学専攻)に進学したので、中学卒業後には私との接点などなかった。それがたまたま20代後半に実施したクラス会で再会したのだ。聞けば中学校で算数を教えていて、まだ独身だという。そこから付き合いが始まり、その後結婚した。


 話し変わって最近の話し。私の知人に天才プログラマーがいて、Javaというコンピュータ言語を使って数字パズル「スウドク」の問題を”自動生成”するソフトを開発した。日頃出版社にデータを提供したりして楽しんでいたようだが、ある時、畳一畳サイズの「スウドク」パズルを作ってみた。それがミシュランに登録されたのだそうで「スウドク」好きの私の奥さんにとある日わざわざ拙宅まで届けに来てくれた。

 その日から家内は食事の終わった食卓にこの畳一畳サイズの「スウドク」を広げで解き始めた。数学好きと数学キライの違いは、こうしたなかなか解き明かせない問題を快感と思って解こうとするかどうかだろう。私などは、難しそう、と思った瞬間にもう手を出す気がなくなる。
 2週間くらいたってからだったと思う。消しゴムが大活躍し、試行錯誤ののちに完成した。家内のしてみれば、かなり手ごたえのあるパズルでとても楽しかったようだ。天才プログラマーに「いただいたスウドク、なんとか解けたそうですよ」と伝えると、「えっ、奥さん、もう解いちゃったの?」と驚いていた。
 こんな家内でも、40年以上も一緒に暮らしていると「この人、アホちゃうか?」と思うことがあるのも分かった。本人の名誉のために、どんなアホなことなのかはここには書かないことにするが(笑)。


 我々の世代ともなると、財産の高といった部分では勝敗はついてくる。しかし反対に、人望・趣味の多さ、人生の楽しみ方の上手さなどでは周りの誰もが彼/彼女には勝てないという部分も見えてくる。そう、我々夫婦の違いのようにだ。

 最近、昔の同級生から、前回私が書いた「安い床屋を選んでいるが、けしてお金が(蓄えが)無いからではない」と書いたことに対して「蓄えがあることを自慢するなんぞイヤミだ」と言われた。
 私の住まいの周りには数千万円クラスのスーパーカーを所有している家が何軒かある中で、自分を金持ちだと思ったことがない私にしてみれば、こうした反応をする人がいるのだということ自体が驚きだった。(その後掲載内容は修正しました)

 思ったのは(この同級生に限らず)ある年代になったら、自分と他人とを単純比較などしないことだ。”自分は自分”というものを持ち、素直に生きるのが一番という気がするのだが。



ホーム目 次 / 前ページ次ページ     
 

inserted by FC2 system