ホーム目 次 / 前ページ次ページ  


334. この11年の変化に即応するために、常に事業の見直しをしてきた  ・・・ (2021/03/21)

 2010年に定年退職をし、その年の秋から「中古車輸出」のビジネスを始めた。現在に至るまでに、いくつもの大きな環境変化を経験した。事業を始めた頃に、いろいろな同業者との集まりで知り合った方々と名刺交換をしたが、そうした場で頂戴してきた名刺の数はゆうに40枚を越えるだろう。その名刺の中で、今でも中古車輸出を事業としてやっておられる方は(私の知る範囲ですが)たった一人だけです。なにゆえ自分が「中古車輸出」のビジネスを続けてこられたのか振り返ってみた。続けられた要因は1つだった。常に自分のやっている事業を見直し、修正を続けて来たからだった

 これは小さな一例ですが。自分で事業を始めてから出来た習慣かもしれない。一例をあげると、私から車を買ってくれた海外の人に「輸出証明書」を送るのに使う国際郵便。これもいろいろな委託先があって、UPS(ユナイテッド・パーセル)、DHL、EMS(郵便局から発送)などの中で、例え数百円の違いであっても、その時点で少しでも安い業者に乗り換えることを続けたのは事業としてはあたりまえのことだと思ってきた。

  ********

 一般の方にも分かりやすい別な例でお話ししてみましょう。

 世の中の男性の中には、かつて勤めていた会社近くの行きつけの床屋さん、かつて住んでいた家の近くの床屋さん、そういった場所に、その後会社を辞めたり引っ越ししたりしたとしても、30分、40分かけて電車に乗って馴染みの床屋さんに通っている人もいる。恐らくは、知らない人に顔や頭をさわられることに違和感を感じる人たちなのだろう。しかし私にはそんなこだわりはない。

 世の中の人でシニア男性である私の頭の恰好など気にする人はいない。私の住んでいる地区だと(カット、洗髪、髭剃りで)4000円。ところがシルバーパスを貰って(都内の移動がタダになると)バスであちこちに買い物に出かけるようになり、そこで見つけた床屋さんは平日限定でシルバー世代向けは3000円だったのだ。1000円も安い床屋さんを見つけたのだから、30分以内で行ける場所ではもうこれ以上は安くならないだろうと思っていた。そんなある日、たまたま、同じく隣の区にある行きつけ大手スーパー近くの路地で、例の床屋さんのクルクル回る看板を見つけた。なんとそこの店先に"シルバー料金1850円"とあった。実際にその床屋さんに入って散髪をして貰ったが、店主が個性的な人という以外、クオリティにはまったく問題はなかった。

 昨今のコロナ禍では、客が減り売り上げも減る。しかし、コストだけは儲かっていた時代のまま。これでは早晩店を閉めざるをえなくなるのはあたりまえだろう。こんな具合に事業ならばなお更事業(コスト)内容の見直しは常に必要だ。

  ********

 繰り返しますが、私のやっている事業、中古車輸出の領域でも、過去11年でいろいろなことがありました。2011年の東北大震災による影響。これは単に私の仕事領域でという話しではなく、日本中がひっくり返るような大変な出来事でした。
 特に私の仕事領域でという意味では、輸出しようとしていた車が輸出直前の検査で放射能が検出され、輸出差し止めになる、という事象が大量に発生したのだ。市場は大混乱。輸出不可となった車をどうするか。多くの人が、なんとその車を買った中古車オークションに再出品したのだった。放射能汚染は目に見えないことから、中古車オークションは「ババ抜き」の様相を呈した。

 更に悪いことは重なるもので輸出先が決まってあとは船積みをするだけという車が追突事故にあって輸出できなくなった。私が運転していた訳ではなく、港湾の作業員が運転していたので、私の過失割合はゼロだった。それにも関わらず事故を起こした加害者側の保険会社から高圧的な対応をされ、腹を立てた私は電話越しにどなったことがあった。かなり精神的にストレスだったが、のちにそれが引き金となったのか心筋梗塞を発症し入院した。しかし、入院中に考えたことは、中古車輸出事業からの撤退しようと思わず、退院したあとは、どうやって以前より上手くやってやろうかと考えた。問題点で一番大きなポイントは「在庫」の扱い方の工夫、だった。

 事業を始めて11年たった今思うのは、事業を始めた際の「覚悟」が仕事を続けさせてくれたのかもしれない、と思っている。




ホーム目 次 / 前ページ次ページ     
 

inserted by FC2 system