ホーム目 次 / 前ページ次ページ  


332. なにゆえに「防災士」の講座を受講したの?  ・・・ (2021/02/07)


 昨年、私のこのホームページ上で私のゴルフのホームコースで中ほどで倒れていたプレーヤーを目撃した話をしたかと思います。結局、その方は亡くなられたのだとか。

 心筋梗塞、高血圧の持病の方がプレー中に倒れた。(聞いた話しでは)ランチタイムにビールを飲んだのだとか。
 午後の後半をプレー中、急に苦しみだして倒れてしまった。同伴プレーヤーは何をしたら良いのか分からず、ただ見守るしかしていなかった。
 救急車が到着したのは15分ほどしてから。胸骨圧迫をしたりAEDで心臓に電気ショックを与えたりしたものの、心臓が再起動することはなかった。倒れてから時間が経ちすぎていたのかもしれない。
 後日お聞きした話しでは、この方、病院に運ばれたものの息を吹き返すことはなかったのだと。




 それをきっかけに、私も救命の方法をどこかで習っておきたいと思っていまし た。(技能を証明するものがない人が、いきなり他人の救命をする訳にはいかないだろうと思ったもので) 

 たまたま区報でみた「防災士」講習会募集の案内に申し込みました。 港区の場合は区が負担してくれているので教材も講習もすべて無料でしたが、通常は数万円の受講料がかかるようでした。

 受講申し込みをしたら、まずは分厚い教材が送られてきて、課題も提出するようにと。 以来、教材を読み、問題集を解き、まるで学生に戻ったような感じでした。(救命技能だけを教えて貰えれば良かったので、ちょっぴり後悔、汗)



 教材が届いて後の10日ほどの事前学習、さらに土日の2日間、田町駅近くの某ビル内で朝9時から夕方6時過ぎまで講習(約50人程が参加)。座りっぱなしで講座を聞くというのも久しぶりで、結構疲れました。 まずは「救命技能」は初日の半日の講習だけで「認定証」が貰えました。(右の写真)

 一部勘違いをされる方がいるといけませんので補足しておきますが、「救急救命士」は救急車に同乗するような方々のことで、私は「防災士」講座の1つ、胸骨圧迫による心臓マッサージ法(救命技術)を習ったにすぎません。この方法は、以前にも地元消防署の防災講習の一端で習ってはいたのですが、何か「修了証」のようなものがないと、いきなり他人の中に分け入って、俺が心臓マッサージをするから、と言っても周りの方に怪訝な顔をされそうだったので、この講座の中で「認定証」が貰えて良かった、と思っています。



 講習の中では、NHKの元記者の方が語った「被災の状況から何を学ぶか」は特に参考になりました。 死者に聞くとしたら何を語ってくれるだろうか。あの時、どうすれば本人は死ななくて済んだのだろうか、と。しかし日本では、こうした視点からの考察は、死者を責めるのか!と、なかなか周りの方の理解が得られないようでした。(石巻市大川小学校で児童の7割が亡くなったことで、父兄が学校と市を訴え勝訴しました。しかし市長は、死者となった教師を責めるのかと控訴したのだとか)

 さて、「防災士」、私自身も、以前はあまり明確なイメージがなかったのですが。簡単に言えば、スーパーボランティアで有名なオジサン、尾畠春夫さんをイメージして貰うとよいかもしれませんで、けっして倒壊した建物の中に入って人を救い出したりする訳ではありません。 消防、警察、自衛隊などが危険な場所に分け入って人命救助をしたあとのお手伝い(瓦礫の整理、家の清掃など)をする形となります。ただ、地震・崖崩れが起きやすい場所、天気がどう変わるか、などを知識として知っておかないでいると、自分自身が被災者になりかねません。まずは自分の命を守る方法を知っておき、その上で被災地の長い復旧の道のりの一部でもお手伝いできればということです。

 私自身は今週で71歳、大言壮語はするつもりはありませんで、まさかの時に人様のお手を煩わせず、自分たち夫婦で協力し、生き延び、もし余力があれば、周りの人の手助けもして差し上げよう、という小さなレベルです。(菅総理の好きな言葉”自助”の部分です)

 ※阪神淡路大震災の時、被災範囲があまりに広すぎて、(公助)自衛隊、警察、消防が救えたのは1割以下だそうでした。残り9割の人は、自助、そしてご近所の方との共助で助かったとのこと。


 最終日の最後に「防災士」のまとめとしての試験を受け、ちょうどこの日「介護福祉士」の試験監督をしてきた奥さんと田町駅前で合流し、以前から一度行ってみたいと思っていたお店で二人、晩御飯を食べました。

 夜間に食事場所を探して歩くことなど皆無だった私には、シャッターを閉めた飲食店が多数目に止まりました。田町の駅前、三田図書館に通じる通りはまあまあ賑やか。また、駅反対側のバスロータリーのある通りも、焼き肉ライクなどには沢山お客が入っていました。しかし駅前ビルPiata内のエスカレータを降りて行き、地下鉄通路へ出る地階フロアは地下鉄出口近くの2軒を除き、10軒以上シャッターが閉まっていました。この中には既に店を維持することもあきらめた店舗もあるのでしょうね。 

 コロナ禍にあって、一人のシニアが、自分にやれる何かがないかを探して行動に移したのがこの「防災士」講座受講でした。




<補 足> 釜石の防災教育で伝えていること3点。
 1.自分の頭で考えろ
 2.想定さえも信じるな
 3.出来る限り全力を尽くせ

 歴史の中でも古くから津波の被害が語られている東北で「てんでんこ」という言葉があるのだそう。これは(命を守るのは)めいめいだ、という意味だそうです。








ホーム目 次 / 前ページ次ページ     
 

inserted by FC2 system