ホーム目 次 / 前ページ次ページ        


314. ブームが落ちついた今、「100年時代の人生戦略」を振り返ってみる ・・・ (2020/08/02)

  ようやく関東地方も梅雨があけたようですが、聞くところでは8月になってから梅雨が明けたのは13年ぶりなのだそう。(通常は7月20日前後?)

  新コロナウイルスの感染者が東京で400人越えになり、また昼間の日差しがきついので週末は自宅にいることにした。日頃から片付けをして!と家内から言われているもので、重い腰をあげて、書類の整理を始めた。そんな中で見つけたのが下の写真にある雑誌、週刊東洋経済(2017年7月22日号)。特集は、英ロンドン・ビジネススクール教授のリンダ・グラットン氏の著書「100年時代の人生戦略」を特集したものだった。

 
  グラットン教授によれば、100年人生をいうと多くの人が晩年の過ごし方に目が行ってしまいがちだが、長くなった人生の中で「仕事に集中する時期」と「自分への投資に専念する時期」とを持つ必要が出てくるだろう、ということだそうだ。

  私が見てきた範囲(昭和世代)では、女性にこうした生き方を実践しているケースが多いように思う。30過ぎて「自分はこのままでいいのだろうか」と思案し、結果、会社を辞めてアメリカの大学に留学するケース。またBSで再放送されていた番組「アフリカ縦断114日の旅」の参加者にも日本人女性の参加者がいたが、彼女の場合は、仕事を辞めただけでなく、夫とも離婚してこの旅行に参加していた。

  若い男性は別として、ある年代になった男性にこうした過去を一旦休止してあらたな飛躍に向けて充電しようという人が少ないのは何故だろうか。恐らくは、優秀と目されるタイプの男性は会社から海外留学の機会が与えられる場合があること。また、キャリアは一生同じ会社に勤めた上で作っていくものだと考えているからなのだろうか。

  私の場合、仕事と人生勉強が交互になった背景には、大学卒業後に入った会社の延長に描きたい未来が見えてこなかったことから、また、たまたま大学時代の同級生が留学から帰国したところでその刺激を受けたこともあり、26才になってアメリカに留学した。一旦永年勤続を競うような流れから離れてしまった私にしてみれば、長さを競う意味は消滅し、仕事・充電を繰り返していくスタイルがより自分らしいと思えるようになったわけだ。




  あらためて週刊東洋経済に特集されていた中から、リンダ・グラットン教授のインタビュー記事を読んでみた。それによれば、「まずは健康を意識すること」とあった。たしかにそのとおりで、100年人生を生きる可能性があればこその「提案」なので100才とは言わないまでも、そこそこ長生きできる健康がなければ、話しの前提が存在しないからだ。

  さて、その上でだ、「長くキャリアを続けるために、新しいスキルを学ぶ姿勢を持ち続ける必要がある」と。具体的には、

1.デジタルのスキルがますます重要になっているが、この分野の技術は変化が早いので意識してついていく必要があるのだという。

2.たくさん読書をすること

3.たくさん旅行をすること

4.自分と異なる価値観の人と接すること

とあった。

  余談ですが、自分で会社を起こしている知人と話しをしていて、「どんな人が起業に向くか」という話題になった際に、出てきた要素が2つあった。1つは、生徒会長をした経験のある人。もう1つは、一人旅をしたことのある人だった。私は生徒会長はしたことはないが、自らが多くの人を引っ張るリーダーになろう、ということと起業家とはあい通じるものがあると思う。
  もう1つの「一人旅」はもっと簡単な話し。自分で「計画」し、自分で「実行」をし、結果を自分のものとして「受け止める」、ということ。旅には想定外がつきもの、人によってはこれが面白いのだともいう(思い通りの人生なんて面白くない?笑)。まさに旅行は試行錯誤の連続で、何がベストなのかは事後になれば言えることも、その場その場では、ただ、ただ、今ある現実を受け入れるしかない。
  私が外資系IT企業を定年した後に起業したのは、この延長にある。別な言い方をすると、若い頃、自分はリーダーでいたいという願望などなかった人でも、一人旅をしてきた人であれば、十分個人事業者としてスタートする要素を持っていると断言できる。


  再び、話題を変えてみよう。新コロナウイルスの流行により、優良企業、大企業が必ずしも安定企業と言えなくなってきた。まずJALやANAは旅行者激減して四苦八苦している。大手百貨店しかり、大手自動車会社しかりだ。私はこうした時期こそ、学び直しに最適な時期のような気がする。我々の親世代のように大きな会社に入りさえすれば一生安泰だ、などいうセオリーは今や成立しなくなっている。
  今の時点では海外旅行は無理だが、永久に海外旅行が出来ない訳はない。いずれ落ちついてくる。ならば今はまず財政的基盤を固めておくと良いだろう。もしあなたが若く、独身であれば、ウーバーイーツで働くも良し、デリバリーピザ屋で働くも良し。こんなご時世でも、そこそこ儲かっている企業は必ずある。そうしたところで未来のために今汗水垂らして働いてみることだ。これはスキーや登山の好きな学生がアルバイトにせいを出すのとにている。つまり目的が明確ならそうした苦労も苦とは思わずにやれるはずだ。


 Boys, be ambitious(少年よ、大志を抱け)!



ホーム目 次 / 前ページ次ページ     
 

inserted by FC2 system