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310. 新型コロナウイルスの影響で店舗閉鎖となった日本企業 ・・・ (2020/06/28)
    (中古車販売のGulliver、ニュージーランドから撤退)


  かつての同僚(日本支社勤務)が、同じ米国本社企業のニュージーランド支社に転籍した。理由はニュージーランドに永住権を持つ女性と結婚したから。そんな彼が車を買う際に、手元にある日本円が使えないかと考え、相談した先が日本でも中古車販売で有名なガリバーのニュージーランド支社だった。日系企業ゆえ、円払いもOKということで、彼はベンツを買った。実はこの会社、注文を受けてから日本にある在庫車輌を船積してニュージーランドに送ってくる。その間が1月(船積前の整備、到着後の検疫他を含み)ほどかかる。彼も(また私も)感心したのだが、実車が到着するまでの期間、小型車(三菱コルト)を一台無償で貸し出してくれたことだった。

  通常、ニュージーランドで中古車業を営む会社は、まずは日本から中古車をニュージーランドに輸入し、それを店頭に並べそれを販売するのが一般的。しかしガリバーは日本にある在庫をニュージーランドのお客がネット経由で下見(画像で確認)出来るようにし、それで販売してきたのだった。これだとほぼ無在庫で販売出来るし、また大量に日本で持つ車輌在庫を販売対象に出来るというメリットもある。
  デメリットは、前述のように、お客さんが買った車をニュージーランドまで船便で運んでくるまでの期間、客を待たせることになること。それを代車の無償提供でクリアしてきた。さすがエンドユーザ向け販売に慣れた会社ならではのサービスだ。


  6月22日に、前述のかつての同僚からメールが来て、ガリバー・ニュージーランド店が閉鎖されることを知ったのだった。


  Google翻訳

  開業以来、お客様のご支援により、これまでもサービスを継続しております。
しかしながら、さまざまな理由により、またCOVID-19の影響により、残念ながら2020年6月22日月曜日の時点ですべての支店を閉鎖せざるを得ません。

 皆様からのご支援を賜り、大変なご迷惑をおかけしておりますが、何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。

 車のメンテナンスとサービスは、2020年6月22日からICHINEN AUTOS(N.Z。)によって提供されます。サービスや修理についてのお問い合わせは、以下のフォームから送信してください。

 この数年間、皆様のご支援に心より感謝申し上げます。

 

  このあたりの状況を現地の同業者はどう見ているのだろうか。かつて付き合いのあった中国人のディーラーさんに聞いてみた。小規模な彼のビジネスでも、3月、4月と2ヶ月間お店を休んだことは経営的に痛手だった、と。結果、この春、彼が販売出来たのは中古車8台だけだったそうだ。しかし店番にパートさんんを雇っているだけの小さな会社ゆえ、なんとか持ちこたえているのだという。



  かたやガリバーニュージーランド、中国人の彼に言わせると、オークランドにそこそこの規模の2店舗を構え、人も雇っている彼等は固定費(オーバーヘッド)がかなり大きそう。それが理由で持ちこたえられなかったと見ていると言っていた。
  しかし私にしてみれば、数年前から苦労して立ち上げたニュージーランド店、日本の本社が下支え出来なかったのだろうか。というのも間接的に聞いている話しでは、ニュージーランド店は、いずれ市場が開放されるであろうオーストラリア(かつてはGM他、トヨタも現地生産をしていたが、すべて撤退したため、新車、中古車ともに、ニュージーランド同様に全品輸入せざるをえなくなるからだ)への橋頭堡となるはずだったのに。つまりニュージーランドを諦めただけでなく、豪州市場も諦めた、ということなのだろう。


  話しを戻して私の事業について。私は固定費を常に意識し、売上が少ない時は、重箱の隅をつつくの例えのように小さなコストカットを積み上げてきた。定年後のお仕事ゆえ(食べていくためではない)、またすでに10年やってきた(一般的に定年後事業は3年程度で終了している)事業ゆえ、いつやめても構わないと思っている。幸いなことに、人脈に支えられたビジネス展開だったがゆえ、今でもアフリカから購入したいとの引き合いが来る。昨年もそうだったが、今年も年末までに数台輸出出来れば、それでまた首の皮が一枚つながった状態で年を越えることが出来る。そんな小さな商いでも、人には「今でも現役です」と偉そうに(?)言えそうだ。そう、規模が小さくて良いので、止めずに続けることが、私の事業の取り柄だと思っている。


  今回は新型コロナウイルスの影響によるものだったが、私が10年、中古車輸出をやってきて感じたのは、中小零細企業であるか、大企業かに関係なく、相手国の政治的状況の変化、相手国の経済政策の変化、そして今回のような自然災害のような原因で、いとも簡単に淘汰されてしまう世界だということだった。



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