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307. 何のために?誰のために? ・・・ (2020/06/07)


 2010年、東京しごとセンター主催の「創業寺子屋塾」を受講し、その後定年起業へと至った。東京しごとセンターには永く「起業相談」をされてきた城戸先生がおられ、この「創業寺子屋塾」も先生がコーディネートされている。私が始めて受講した「創業寺子屋塾」の中での城戸先生のお話しの1つが、もしかしたら私のその後の考え方の原点を作ったかもしれない。ここで得たヒントを元に、その後6回(6年)に渡って私が「創業寺子屋塾」で事例紹介として講演を頼まれた際には、必ずお話ししている。それが標題の何のために?誰のために?です。


 昨年、港区の創業セミナーに受講者として参加し周りを見渡してみた。多くの人は「これで(What)起業しよう」というテーマを見つけて参加してこられる。セミナーに参加している数日の中で、いろいろな人脈を得、ヒントも得、どうやって?(How to)を獲得するようだ。だが、彼等の起業は「何のために?」「誰のために?」(Why)を考えている方はあまりおられなかったように見受ける。


 さて、今回は創業寺子屋塾の話しではなく、広い世界の話し。例えば香港の一国二制度に対する中国の強行姿勢を見ていると、これはもう中国人民のため(まして香港市民のため)ではなく、ひとえに中国共産党のための行動だということが分かる。どうやって中国共産党を体制を維持していくかに掛かっているように見える。

 私はこう考えている。もう少し時間はかかるかもしれないが、東ドイツが崩壊して統一ドイツが生まれたように、いずれこの一党独裁体制は綻ぶと思っている。今はインターネットの時代。インターネットの中でもHTTPだのHTMLだのという仕組みは、もともとCERN,(the European Organization for Nuclear Research)で生まれたもの。各国の研究者が集まった時、それぞれ使っている言葉が違い、コンピュータ(OS)も違う。それをなんとか共通化して”情報共有”をする為に作った仕組みなのだ。現在の中国共産党は、党に逆らうような発言を潰しているようだが、これにはかなり手間がかかっているはず。というのも、もともと共有するために作られた仕組みを、本来作られた際の目的とは180度違う、”情報共有させないようにしよう”とするのだから大変なのはあたりまえだ。


 中国全人代、香港への国家安全法制の導入を決定。ユダヤの法則では全員一致は無効にするのだそうだが、この投票結果は、全員一致といっても良いような気がする。photo by bloomberg


 振り返って日本のことを語ろう。安倍政権になって流行った言葉が「忖度」。これは国に対する言葉ではなく、政治的な代表者である総理大臣に対する言葉。どうやら安倍総理大臣の取り巻き達は「日本の為に?」を忘れてしまって、「安倍総理大臣の為に!」をやってしまっているようだ。一見一緒のようだがまったく違う目的だ。安倍総理の為になることが、イコール、国のためとはなっていないからだ。取り巻き達は、安倍総理に尽くすまえに、「自分のやっていることって本当に日本のためなの?」と自問自答して欲しいところだ。それがなされていれば、以下のような問題は起きなかったはず。

 ・学校法人「森友学園」への国有地売却で財務省が決済文書を書き換えていた問題

 ・文部科学省は長年獣医学部の新設を認めなかったが、2017年、安倍内閣によって国家戦略特別区域に指定され,、結果「加計学園」に認可されることになった。

 ・「桜を見る会」問題

 私は日本語としての「忖度」という言葉は知っていたが、実際に生きた(?)形でこの言葉が使われた事例は、安倍総理にまつわる問題で始めて聞いたかも。これなども、日本という国のため、ということと、安倍総理のため、というのがごっちゃにされているから起きること。どうやら人は「人事」や「お金」がからむと、同時に人は目もくらむのだろうか。


 さて、こうしたことは会社や学校でも同じ。創業家が実権を持っている会社、学校はいくつもある。これらの組織でも、トップに尽くすことがイコール会社、もしくは学校のためだと信じている人も多い。そしてそれらの人のトップに対するおべんちゃらが、会社、学校の存続を危うくしている。

 どうやら人間の性として、時々リマインドさせてやらないと「何のために?」を考えるのを忘れてしまうようだ。






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