ホーム目 次 / 前ページ次ページ       


270.  「定年 3.0」 を読んでみて 大江英樹 著、日経BP社 刊 ・・・ (2019/03/03)

    推薦度: ★★★★☆


 この本、 「定年3.0 」は大江英樹さんという元証券マンが定年を機に書いたもの。読んでみて共感する部分が多かったもので、紹介させて貰います。

 まずタイトルに3.0と付けた著者の定義は、

定年1.0 1960年〜60年代
 高度成長の真っ只中、平均寿命は70歳前後で「老後」はそれほど長い時間ではなく会社を退職した後はまさしく「余生」、のんびりと暮せた時代だった。

定年2.0 
 1990年代になり国民の老後生活を支える経済制度が大きく変化、企業年金制度の廃止など老後生活に波乱が訪れた。つまり老後のお金に関する常識が大きく変化した時代。

定年3.0
 人生100年時代といわれるほど平均寿命が延びて「お金の問題」に加え、「健康」さらにこの著者が考えたのが「孤独」という3つ目の問題が発生した時代、だそうです。

 そして著者が考えたキーワードは「互助」「共助」から「自助」への変化だという。つまり、”人の言う通りに生きるのではなく、自分の頭で考え、決断し、すべて自分でまかなう”なのだという。
 このあたりも私が共感するところ。私が定年後の自分を作ってきた考えのベースが26歳でアメリカ留学をした時代に始めて親元を離れ、気が付いたことが”自分の人生は自分で作る”だったので。



第1章 老後資金と年金のホントの話

 サラリーマンは「老後破綻」しない、退職金という大金を手にして浮かれて海外旅行などで一気に大金を使ってしまわない限り、、、で。その通りだと思う。著者が年金の受け取り方をいくつか提示しているので、これから定年を迎えようという人は読んでおくと良いかもしれない。

 私の場合で言えば多少の蓄えも用意していたこともあり、あとはある分を上手く取り崩しながら生活していくしかない。つまりあるがままでやるしかないと考えている。プラス、著者の考えとも通じるのだが「働けば健康や精神面にも良い影響が」という部分。ただ、私は、定年後も働くのがあたりまえと考えていたのであって、老後の足しにとまでは考えていなかった。


第2章 老後不安を解消する働き方の話

 著者いわく、働けば氏の言うところの3つの不安、「お金」「健康」「孤独」が解決するという。私の場合、孤独を解決するために仕事を始めたつもりはないのですが。というのも、(若い頃は人見知りだった私も)年とともに、知らない相手に話しかけることに抵抗感がなくなってきていて。たぶん定年後起業で更にそれに磨きがかかったかもしれませんが。

 以前にもどなたかが書いておられたが、勤め人時代は、収入が安定しているので「不安」はないが、組織論理に不自由と感じることも多いことから「不満」を持つことも少なくない、と。かたや自営業は、自分の考えてビジネスを進めているので「不満」は無くなる。しかし、収入が安定していないので「不安」を感じるだろう。なるほど、その通りかもしれない。

 この章で次に共感する部分がこれ。著者は40歳代に早期リタイヤ出来ないものかと考えていたが「一切働かないでのんびりすることが果たして充実した人生なのだろうか」と考えたそうです。まあ私はこの著者ほど生真面目ではなかったので、ただ単に自分をヒマにしたくなかっただけなのですが(私の造語ですが、老人閑居して不善を成す)。で、著書は「仕事とは人のために何かをしてあげること。報酬は、いわばその会社のしるしとして貰えるもの」だという。なるほど〜。
 実はこの部分が大事なように私には思えます。単に人のために何かをしてあげるだけなら、ボランティアでも良いではないか、ということになる。しかし私の考えでは、相手からの感謝という目に見えないものではなく、お金という具体的数値にして貰えた方が実感が持ちやすい気がする。

 余談ですが、世の中には公益法人という形態がありますが、ビジネス法人は営利だけが目的で、公益法人は公益のためにだけ活動していると思うのは単なる思いこみに過ぎないかもしれませんね。世の中には公益法人という名のもとに公益活動をしていない法人はいくらもありますから。ちなみに私は30代、財団法人、学校法人、そして40代には社団法人でも働いた経験を持ちます。私が在籍した法人はまともでしたが、財団法人設立時にいろいろ調べ、政府による公益法人改革が必要な理由が良くわかりました。

 さて、この本の項目で思い出したのが「70年代は定年が55歳だった」でした。なるほど〜。私の記憶では、定年を60歳にしようという動きがあった中での反対意見は、「55歳で定年を迎えればまだ体も動き、気力もあるが、それが60歳定年では、あらたな人生を作るには遅すぎはしないだろうか?」ということ。
 これを現代に言い変えてみると、「60歳で定年を迎えればまだ体も動き、気力もあるが、それが65歳定年では、あらたな人生を作るには遅すぎはしないだろうか?」ということかも。たぶん、あと10年もすると、70歳定年になるかもしれない。果たしてそれが良いのか今の私には分かりませんが。体力といったものは、個体差があり、更に言えば、その人の若い頃からの体つくりとも関係あるだろうが、自分の体力の変化(低下)ポイントをある程度予測しておく必要があるのかもしれない。私自身の実感では、60歳半ばからゴルフボールが確実に飛ばなくなった感がありますが、皆さんはいかがですか?



・ 定年後起業、立ち上げのコツは「ギブオンリー」から



 もしかしたら著者はこちら「GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代 [ アダム・グラント ] 、を読まれたのかもしれませんね。 

 この本を読んだ時に感じたのは、ビジネスの極意のような気がしました。あなたが事業を始めたばかりの時、相手はあなたのことを何も知らないのですから、まずは相手に何かを提供出来て始めて関係がスタートする、そんな気がします。

 そんなあたりを具体的に、体系的に説明してくれるのがこの本、事業主として事業を始めようとする方は一度読んでおかれることをお薦めすします。 






 さて、本の章建てとしては6章まであるのですが、私が共感したポイントが前の2章に集中しているので私のコメントはここまでとして、興味のある方は、ぜひ 「定年 3.0」 を読んでみてください。



ホーム目 次 / 前ページ次ページ    
 

inserted by FC2 system