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263. 世界一孤独な日本のオジサン (角川新書)  岡本 純子  著 ・・・  (2019/01/01)  

    推薦度: ★★★★★

 素人の私が言うのもなんですが「世界一孤独な日本のオジサン」 を読んでみて感じたのは、良く調べて書いてるなぁということ。

 シニアについての本は多数出版されていますが、ややもすると後半はページ数を増やすために書いたのではないかと思うような本もありますが、この「世界一孤独な日本のオジサン」は最後まできちんと内容が盛り込まれているという印象でした。

 振り返ってみれば、昔の仲間と酒を飲んだ帰りに、遅れた電車に腹を立て駅員を殴ったりするシニアの話しを新聞などで読むにつれ、自分の気持ちを言葉にして表現するのがヘタなのだろうなと、また日頃から孤立して鬱積したものがあったのだろうな、と推測していました。

 タイトルも具体的で、内容もとても読み応えのある本でした。


 
 
 定年後、試行錯誤の中で、勤め人時代(外資系IT企業)とはかけ離れた分野、中古車輸出を自分の仕事とすると決めて8年がたった。いつも頭の片隅にあったのは自分以外の定年退職者はどうしているのだろうか?ということだった。それを知るべく「定年」「起業」などといったキーワードで本を探し、何冊も読んできた。そんな本の中で定年退職した男性の気持ちを分析し、代弁してくれている貴重な1冊に出会った気がした。

 はじめの方のページにあった次の一節、”肥満より、大気汚染より、・・・、お酒より、おあなたの健康を蝕み、寿命を縮めるものがある、それは「孤独」だ”は、先日のNHKの特番でも伝えていた健康寿命(身体寿命ではなく、元気に暮らしているか)に、”週4日以上友人と会っている”、が大きく関係しているという解説からも頷けた。もとより人間という生き物は孤独の中では生きていけない動物なのだと思う。



 定年後の8年を振り返って私がやってきたビジネス、個人でやろうと企業としてやろうとも「貿易」と名がつくからには、相手国の政治情勢、経済情勢による浮き沈みには余儀なく巻き込まれる。さらに市場拡大ともない、より大きな企業が参入してきて個人事業者を駆逐していくのも市場原理として珍しくはないのだろうと思う。そんな中で、前述の通り勤め人時代(外資系IT企業)とはかけ離れた分野、中古車輸出を仕事に選び、なんとか8年サバイバルしてきた。そのたった8年、私がこの仕事を始めた頃名刺交換した3〜40名はこの仕事から撤退していた。なにゆえ私が、かろうじてであっても生き残れたのか。もっと言えば、なにゆえ、定年後迷うことなく個人での起業を選択したのかを考えてみた。
 
 ヒントはこの本のおわりの方にあった。死に近づいた患者の世話をしてきた人が、その8年間の経験の中で接した人たちに聞いた「死ぬ間際の後悔」、その中の1項目「他人が自分に期待した人生ではなく、自分が全うしたかった人生を送る勇気を持ちたかった」というもの。


 ここを私がクリアしていたことに気付かされた。単純に言えば私は我が儘だっただけなのだが。ただ私の我が儘は、他人に対してでなく自分の生き方に対してだった。誰かが私に「人生○○なのだから、こう生きるべきだ」などと言う人がいたとしたら、こう反論するだろう。「あなたの助言通りにしたら、私は幸せになれると補償してくれるのか?」と。自分が子供を持って感じたことだが、どれほど自分の子供達を愛したとしても彼等の一生を補償することなど出来はしない。なぜなら、生物の法則は先入れ先出し法で、先に生まれたものは先に死ぬのが自然の摂理だからだ。あとに残る最愛の子供達の一生を例え私が彼らの親であったとしても補償してやることなど出来るはずがない。であれば他人が私の生き方にどうこういうのは無視して構わないと思っていた。つまり、自分の人生、自分の生き方は自分で決めるべきものなのだと思ってきた。


 幸いにして「孤独」を感じていない私が言えるものがあるとすれば、

・”開いている”自分を演出すること。開いている自分を実感出来るのは、道に迷った人があなたに道を聞くかどうかでも判断出来ます。相手はあなたがオープンに受け入れをしてくれる人かどうかを瞬時にして感じているはずだから。

・自分を「より良く」変えたいと日頃から思っているのか?変わりたいと思っていてもなかなか変われないだろうが、変わりたいと思わなければ自分を変えることは難しいだろう。

・他人(特に異性?)との付き合いでは褒める言葉をけちらないこと。まずは身近な奥さんに「愛している」と素直に言えるかどうかが大事。

・奥さんを、自分の一番の良き理解者として味方につけているかどうか。

 こんなことかも。




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