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191. 論理的に考えなければいけないのは、何も彼女と別れる時ばかりではなさそうだ ・・・ (2015/09/27) 

 サイモンとガーファンクルと言えば「明日にかける橋」で有名なデュオ。その片割れのポール・サイモン(Paul Simon)が歌った歌の1つに「 50 Ways to Leave Your Lover 」、つまり恋人と分かれる50の方法。

 紹介したいのはこの中の以下の文句、

She said to me
The answer is easy
If you take it logically

 つまり

彼女は僕に言った
論理的に考えてみれば
答えは簡単でしょ

 となっていたが、以下とは別に脈絡は無く、ただ思い出しただけ。


 さて、何故この曲の歌詞を思い出したかと言えば、昨今の日本人はあまりに感情論に走り過ぎるように思えるから。ちょっと前の話しで、蓮舫議員が予算の無駄を省くための「仕分け」での発言、「なぜ一位でなければならないのでしょうか、二位じゃだめなんですか?」と言ったことが問題になった。これ、英語に訳して考えてみると、この歌詞同様、論理的に考えて答えれば良いだけのこと。つまり、一位でなければいけないということを、科学の非専門家である蓮舫議員に説明すれば良いだけのこと。この質問があっただけで憤慨するのは、ちょっと感情的になりすぎている気がする。


 安保法案となると、更に複雑に感情論が絡んでくる。大前提となる「国って何?」「平和ってどうしたらそうなれるの?」をこれを機会に国民一人一人が考える機会にしたら良いのにと思うのだが。


 ユダヤ(イスラエル)の人にとって、「国」を持たないことがどれほど筆舌に尽くし難い辛いことだったのだろう。普通の世界での話しならば、とっくに時効?と思えるような古い時代の話を持ち出して、「ここは昔、我々の国だった」と戦い、その末1948年に国家として樹立した。ちなみに、政治学者に聞いたところ、こうした世界の概念には「時効」という言葉はないのだそうで、その意味ではイスラエルの主張も有り得る、ということになるのだろう。

 日本という国は、とりあえず建国記念日は設けてはいるけど、実際にどこかと戦って得た独立でもないもので、日本人にとってはなんとも国を作ったという実感がない。良い機会なので、今一度、「国って何?」というところを考えないと、何を議論しているのか分からなくなってくる気がする。


 平和については、学生時代の英語の授業を思い出す。Peaceをある学生が「平和」と訳したら、教授が「ここは平和というよりは”平時”と訳すべきでしょうね」と教えた。もしかしたら、今の日本人が考えている「平和」も、「平時」というレベルにすぎないのかもしれない。

 また30年ほど前の話しだが、フィンランドの若手国会議員の国内視察をアレンジし、日本各地へ同行したことがあった。旅行中いろいろ話しをする時間があった中で聞いた彼女の意見の1つ。ご存じフィンランドはスウェーデンとロシアという二大大国に挟まれている。それが故になんども蹂躙され、国土を割譲(一国が領土の一部を他国にゆずり渡すこと)せざるを得なかったという経験を一度ならず何度もした。こうした歴史的な背景から、ヘルシンキ・オリンピック(1952年7月)は国威発揚のためとしての意味合いが強かったと聞く。
 また、国家機構の中で、外務大臣は国際問題については一国のトップである大統領をも凌ぐ権限を与えられているのだとか。理由は、外交問題でミスをすることは、一国の存亡にかかわるから、だそうでした。

 その彼女が言ったことは、「平和って、何もしないで得られるものではなく、戦ってこそ得られるもの」でした。この場合の戦う、は何も鉄砲を撃つことだけを意味していないことは確か。




 私は過去40年ほど日本経済新聞のみを購読してきた。1年ほどアメリカに住んでみたとき、田中角栄が逮捕されたというニュースを聞いたが、それ以外の社会面的内容は(当時はインターネットは普及していなかったので)ほとんど知らないで過ごしてきた。
 帰国して、この1年のブランク(?)が人生にマイナスに働いたかと言えば全く問題なし、だった。つまり社会で起きるほとんどの些事は知らなくても良いことと言えるのかもしれない。その意味で、新聞各紙の中ではあっさりとした三面記事の日経新聞が適当と考えた訳だ。

 それが今年から東京新聞を取り(購読し)始めた。きっかけは外国特派員協会が「報道の自由推進賞」を創設し、その第一号の最優秀出版賞に東京新聞が選ばれたことがきっかけだった。二紙を購読していみると、真実を報道しているといいつつも、二紙の取り扱いには大きな差があった。こうした違いを知ることも、問題を感情論ではなく、より正確に知ることへの第一歩という気がした。





 こちらは、先日家内と広尾へランチ兼散歩をした際に立ち寄った本屋で撮影したもの。すでに3冊とも読んでいたが、奇しくもそれがBEST1から3になっていることに驚いた。


 BEST1は、芥川賞を取った、又吉直樹氏の「火花」。家内が読んでみたいと言っていたのを思い出してインターネットで注文したもの。勿論私も読んでみたが、芥川賞を取った作品を私が感想を言うのは遠慮しておく。面白かったのは言うまでもない。


 BEST3は、曽野綾子さんの「人間の分際」という本。最近、曽野氏の本だけでも7〜8冊読んだ中の1冊。何が面白いかというと、私とは考えのベースがまったく”違う”点。彼女の、(私を含めた)普通の人との考え方の違いは、どうやらクリスチャンであること、聖書について深く勉強されたこと、そして海外邦人宣教者活動援助後援会(JOMAS) を通じて、支援した先であるアフリカへ何度も足を運んでいること。それも首都、大都会というのではなく、恐らくこんな奥地まで危険な思いをしてまで行くのは、海外邦人宣教者と曽野綾子さんくらいかもしれないという場所へだ。そこで得たものが考えのベースになったようだ。


 さて、BEST2が最近になって読んだ本、話題の人、百田尚樹氏の「大放言」だ。安保法案に関連したニュースが連日続いてきたが、その中の1つに、百田氏が自民党の勉強会での「沖縄の新聞社2社は潰さなくてはいけない」という発言のニュースがあった。ずいぶんと乱暴なことを言う人だなぁ、と感じた。ただ、彼は政治家ではないので、まあ基本、自分の意見を言うのは自由なわけだ。

 ちょっと待てよと思ったのは、この発言の前に彼の作品、「永遠の0」という映画を見たからだった。それからすると、どうもこの人が”戦争すべき”と主張する人だとは思えなかった。そんな違和感を持っていた時に「大放言」が新刊書籍として新聞に紹介されているのを見つけた。感情論で、百田は「けしからんヤツだ」という前に、まずはこの人の主張を読んでみようと思ったわけだ。

 まあ、私がどういう印象を持ったかどうかは別にして、反対意見を冷静に聞いてみることも大事だと思う1冊となったことだけお伝えしたいと思います。どうやら論理的に考えなければいけないのは、何も彼女と別れる時ばかりではなさそうですね。



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