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東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長 ・・・ (2021/02/14)


 
 私の理解では、森喜朗氏にしてみれば特段今回の発言が女性蔑視と取られることなど考えてもみなかったのでしょう。こうした考え方は森氏に限らず、この世代で権力を持つ人(特に国会議員)に共通した認識なのでしょうね。その一例が、自民党の二階俊博幹事長が記者会見(2/8)で、大会ボランティアに辞退を申し出る動きが出ていることについて「そんなことですぐ辞めると瞬間には言っても、協力して立派に(大会を)仕上げましょうとなるのではないか」と述べたことからも推測出来ます。

 振り返って、多くの公的決定機関、諮問機関に留まらず、大企業、株主総会が俗にいうシャンシャン大会(何も発言せず、単に賛同だけしてくれることを期待)になっている。それらは多くは男性が作るルールで動いているからこうなる。男の作ったルールなど感知しない女性がメンバーに加わると、几帳面にその職責を全うしようとするから、分からないことは分からないと言い、おかしいと思うことはおかしい、と言う。これが森氏がいうところの「女性が発言すると時間がかかる」ということなのでしょう。

 少なくとも、国会議員は国民による投票で選べるのですから、若い世代の人は、早いこところこの老人世代を引退させて、より若い世代、女性と交代させなくてはいけませんね。




 2月21日の日本経済新聞で、芹川洋一論説フェローが、今回のこの件について、絶妙にまとめられていました。

 発言を撤回し謝罪することでとりあえず乗り切れると森氏と周辺は踏んだに違いない。しかしことは鎮火するどころか燃えさかるばかり。そこには日本政治の姿が凝縮されている。首相経験者の森氏は政界に限らず今も多方面に影響力を持つ。その調整力に期待をして東京オリンピック・パラリンピック組織委員会会長になって貰った。こんな背景があるがゆえに、自民党から辞任を求めることなど出来ようがない。
 森問題は旧世代の男性社会の感覚をはしなくも露呈した面があるのは否定できない。あわせて、そのうえに成り立っている日本政治の姿もあぶりだした。


 つまり未だに長老支配が続いている日本の政治家は、大きく替わってきている世の中を完全に見誤ったようだ。インターネット、特にSNS利用の広がりは、国内問題と国際問題との「境」を無くした。
 思い出したのは、同時通訳の草分け、故、國弘正雄氏の言葉「インターメスティック・エイジ」だ。国際問題(インターナショナル)と国内問題(ドメスティック)はメビウスのバンドのように表裏が相互に入れ替わったりすることを表していることから氏が考えた造語だ。始めてこの言葉を聞いたのは私が30歳になる前(つまり40年前)、いかに日本の政治が時代の流れから取り残されているかという証明のようだ。

 繰り返します。 少なくとも、国会議員は国民による投票で選べるのですから、若い世代の人は、早いこところこの老人世代を引退させて、より若い世代、女性と交代させてください。でないと、あなた方の世界は明るい未来とはなりませんよ!



余談:
 アルペンの創業者で代表取締役会長が、わいせつ容疑で逮捕され、結果会長職は辞任したという。ここまで行くのは例外として、一般的な大企業でそれなりの権力を持っている人は、ややもすると勘違いしやすいので、今回のことを他山の石として心にとめておくと良いだろう。いまのようなインターネット時代、何気なく発言したことが(発言のもととなる、その人その人の考え方の基盤が問題なのだが)、SNSなどによって一気に世間に広がり、糾弾されることになることを。その時になって「何故だ〜」などと言わぬ事に!




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