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2月6日(月)は私の誕生日 ・・・ 1950年(昭和25年)
 
 その昔、六本木クローバビルの地下に「コルザ」という名前のステーキレストランがあった。キッコーマンの直営店で醤油の原料ともいえる「もろみ」をまぶしたステーキが売りの1つだった。鉄板ステーキレストランの特徴に、シェフのパフォーマンスがある。最後のデザートがアイスクリーム。お皿に乗せて鉄板の前まで持ってきてくれる。「お客様、焼き加減はいかがしますか?」と聞く。客は一瞬、ん?という顔をする。それに構わずアイスクリームを鉄板の上に乗せる。ブランデーをかけるとさっと照明を落とす。すかさずマッチを摺って火をつける。ボッという音とともに青白いほのかな炎があがる。薄暗いレストランに幻想的な明かりがともるわけだ。 

 ふと、このレストランを思い出した。今あのレストランはどうなったのだろうか?こういう時にインターネットというものは便利なものだ。調べたら今でもこのレストランは存在していたのだ。もっとも場所は六本木ではなく銀座。ソニービルから少し新橋寄りに歩いたところにあった。

 事前にインターネットで予約をしておいたが、その時のメッセージ欄に誕生日のディナーであること、またその昔、六本木時代に何度か行ったことを書いておいた。そうしたら当日支配人が挨拶に我々夫婦のテーブルに来てくれた。なんでも当時も六本木店に勤務していたのだそうだ。

 六本木店のことを思い出してのご来店、有難うございます、と。


 ここで不思議な出会いがあった。我々の食事が終盤になった頃、ご年配の男性と若い男性が来店した。聞いているとこの年配の方も今日が誕生日だという。同じ鉄板を囲んでいるのも何かのご縁。ではとお声がけをした。お聞きすれば82歳なのだとか。お互いビールのグラスを上げて誕生日の乾杯をした。支配人が「この方は30年ほど前、第一勧銀六本木支店の支店長をされていた方」だと教えてくれた。

 しばらくすると、メモが私のところに廻ってきた。この82歳の方からだった。それがその時のメモ。奇しくも同じ誕生日の我々が、六本木時代を思い出して同じ日に食事に来たのだった。記念にと大切に持ち帰った。私も82歳の誕生日にここに来ているだろうか。


 

 


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