ホーム目 次 / 前ページ次ページ  


344. 「知らないと後悔する定年後の働き方」 木村 勝 著  ・・・ (2021/07/04)



 こちら出版社「フォレスト出版」のこの本についての説明ページです。もし本の概要が知りたければ、こちらの「目次ページ」をご覧になれば、全体像が掴めるかと思います。


 著者は大手企業で働き、とても几帳面にその後の解説されています。この本はご自身でお読み頂くとして、別途、私はこの本を読んで(個人で事業を立ち上げた身として)の差異を列挙してみました。 



<定年後、年金・預金についての私の考え方は、

- 基本はあるだけで暮らすしかない

- そこにもう少しだけ”ゆとり”を追加出来るとさらに良い

- (作家、曽野綾子さんいわく)有史以来、人間は死ぬまで働くのがあたりまえだった。同感です!

- 仕事から人生を見つめるのではなく、人生にとって(あなたにとって)仕事って何?を考える。

私の場合、贅沢しなければそこそこ楽しく生きてゆける程度の蓄えはあった。
※人によっては私程度の蓄えでは不十分と考える人もいるだろうが(笑)。

 私の定年後起業は、人生の楽しみ、人生のハリを優先に考えたもの、あくまで楽天的な(なんとかなるわよ、という考え方の)奥さんありきで出来た考え方です。

 この本を読んで感じたのは著者の身に起きた不遇。同様に私にも、サラリーマン人生に不遇な時代が無い訳ではないが、(私の考えは)もし納得がいかないのなら、仕事(会社)を変えるしかない、そう思って幾度か転職してきました。

 ただし、私の経験からすると、イヤダイヤダと思っている時は転職はうまくいきませんでした。開き直って、今の場で何かを成し遂げずに辞めたくないとがんばっていたら、外から声がかかり転職が成立したことが数度ある。人生は皮肉なものだ、と当時は考えていました。


さて、この本と考え方が符合する箇所をあげてみます。(青文字部分がこの本の著者がおっしゃられていること

第2章 定年後の生活レベルは60歳までのすごし方ですべてが決まる

・あなたの実際の市場価値、、、
 転職はあらためて自分の価値を外から値踏みされます。何度か転職を経験すると、自分をアピールするそのやり方が分かってきます。例えば私の英語力レベルなど、たいしたことはないが、よしんば少々誇張したとしても働く場所は所詮日本国内、難しい英語を使う機会はそうそうあるものではない。

・不遇なときこそ、キャリアを見直す
 自分をホールケーキ(まるごと一個のケーキ)と考えると、切り分けかたはいろいろあるはず。働いてみたい組織が求めているであろう要件をくみ取り、それにあった自分というケーキの切り分け方を考えれば良いと思う。

・自分のキャリアは自分で決める
 もとより、私の考えは「自分の人生は自分で作る!」だった。

・一定期間で部署が変わるのは日本企業に勤務する最大のメリット
 私はこれを外資系の中小零細企業で得た。私が幾度か転職した先は30〜40人規模の外資系企業だった。いわば大企業であれば、一部署相当のサイズだった。


第3章

・自分のポータブルスキルを意識する


 著者の書いているようなマネジメントの領域といったこととは違いますが、私が定年起業した際に考えた、起業する際に使えるであろう自分の技術というのを考えました。それは、

- 英語力(海外との貿易で生きてくる)

- 経理事務経験(経営状態を数字で捉える必要が)
(青色申告事業者として自分で経理を行う方が仕事の状況がより分かるはず)

- 営業経験(モノを買って貰うためのコミュニケーションスキル)

- パソコン、インターネット利用に関する知識、経験
(レベルはともかく、これからはすべてのビジネスで必要となるはず)


・安価なシェアオフィスを借りて、退職後のシミュレーションをしておく

 このあたりは、著者が大企業出身者だなと感じる部分。こうした方に多いのは、起業するなら株式会社があたりまえ、と考えること。
 起業といってもいろいろなレベルがあるので、私のように、オフィスは借りない(自宅でやる)、株式会社にすることに拘らない、方が楽な場合だってあるということだ。法人成という言葉があるように、事業規模が大きくなる段階で、個人事業から法人(株式会社)にすることだって可能なのだから、最初から外枠だけ大きく決めなくても良いと思う。

・個人事業主の視線を持って目の前の仕事に取り組もう。
 これは大賛成。企業に勤め続けていると(自分もそうであったが)なかなか自分を経営者としての視点に持っていくことが出来ない。しかし、小なりと言えど、一国一城の主となると、すべてを自分で決めなくてはいけないし、すべての結果責任は自分一人にかかってくる。
 経営者としての視点が持てることこそが、自分で事業を始めることの意味だとすら思える。自分で事業を始めてみて、勤め人だけで人生を終わっていたら、けしてこうした貴重な経験は得られなかったと感じたのです。


第4章

・絶対に必要なキャリアの「棚卸」
 大会社を定年退職された方とお話ししていて、おやおやと思ってしますのが、その視点。何をされてきたのですか?と質問すると「部長をやってました」と。部長というのは仕事ではなく、肩書のこと。せめてマーケッティング担当部長でしたと言うのであればまだ分かるのですが。そもそもこういう視点で語る人は、起業というのは無理な気がします。
 で、棚卸という意味でのものは、前述の英語、経理、営業、パソコンという部分で自分が何が出来るか見えていたので、その点では苦労はしなかった。

・定年後にイキイキ働くシニア全員に共通する「不遇の過去」
 この著者もそうであったようですが、大きな組織に属していると、必ずしも自分の意図した(想定した?期待した?)流れではないほうに押しやられることもありそうですね。私しの場合も、長い勤め人時代にそうした出来事も無くはないのですが、前に進むのに、ことさら過去を意識したことはありません。(前に進むのに忙しいと、過去を振り返る必要がなくなる)

・人との話を聴けない「パワハラ系シニア」は絶対に成功しない
 恐らくは、そもそもそうした人は自分で起業など考えないだろう。
 で、私の場合だが、60歳で新しい仕事(中古車輸出)を始めた時、自分は教えを請う立場でまわりはすべて自分より年下ばかり。仕事を始めるにあったって最初にしたのは、新たに取引する乙仲さんの事務所に手土産を下げて挨拶に行ったこと。相手はそうした挨拶を受けたのは初めてと、とても恐縮されていた。

 ビジネスゆえに、当たる当たらないもあるだろう。また、うまく行っていても事業が落ち込むこともあろう。そうした時こそ経営者の能力が問われる。ダメな理由探しをするような人ではあらたな道を見つけるのは難しいかもしれない。


<編集後記>
 起業というと、株式会社にして、オフィスをそれなりの場所に借りて、、、となるのは、えてして大企業出身の人。最初から「固定費」を膨らませてしまうと、利益が出るようになるまでが大変。むろん取引相手によっては、こちらが株式会社でないと取引して貰えない場合もあるだろうが、可能な範囲で小さく産んで、大きく育てるパターンにした方が、成功への敷居が低くなるような気がする。




ホーム目 次 / 前ページ次ページ   inserted by FC2 system