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323. 起業なんて誰にでも出来ると言ってきましたが、、、 ・・・ (2020/11/01)

 
 最近感じたのは、大企業で培った常識は、個人が起業するこの世界では非常識なのかも?ということ。そこで思い出したのが、竹村健一氏の言葉「日本の常識は世界の非常識」でした。(自分が属してきた企業を“日本”、社会全体を“世界”と読み替えて)


 以前「区」が主催した創業セミナーに参加しました。私がこの「区主催」の創業セミナーに参加した理由は、次回、東京しごとセンターから講演のご依頼があった時のために、分かりやすい説明はどうしたら良いのかを聴講者の立場で経験したかったからでした。 
 受講期間は数日と短かったのですが、グループに分かれ、様々な意見交換をしてきたことから、中にはその後メールのやりとりをするようになった人もいました。その中のお一人、某電力関連会社にお勤めの方がいました。まだ定年時期までには間があるようですが、定年後、何もしない状態に自分を置きたくない、とのこと。定年後にも何か仕事をしていきたいと思っているようでした。(つまり、現状に”不安”はないが”不満”があると?)

 それほどの頻度でメールしていた訳ではなかったのですが、私からするとこの方、感覚的にどこか私が考える個人起業者とは違うなあと感じることも。言葉がどこか役人と話をしているような感じだし、私との言葉の遊びをしているだけで行動する意思があるのか見えてこなかったこと。違和感で決定的だったのが、この人、いつも会社のメールアドレスからメールをしてくること。私の理解では企業のコンプライアンス上、こうしたことは望ましくないことと理解していましたが、この人はそれが自分の属する会社が何も言ってこないのだから問題ないのだという認識のよう。


※ 法律の専門家による企業メールの個人使用の問題点とその解説

 https://roudoutrouble.net/shiyou_pc_mail/ 


※ 実は逆も同様に問題をはらんでいます。前回の大統領選で、当時国務長官だったヒラリー・クリントン氏 が個人メールアドレスを公務に使ったと指摘されたことが大統領選で大きなマイナスとなり、落選したといわれています.。

 

大企業の常識は、個人起業の非常識?

 私のこのホームページで、定年後起業なんて誰にでも出来ますよ、とお伝えしつづけてきましたが、大企業を定年し、個人で事業を始めたいとお考えの人は、よほど今までの自分が40年近く属してきた「会社」と「社会一般」の違いを理解しておかないと起業が難しくなるのではないかと思うようになりました。

 一例でいうと、以前もこのホームページに取り上げ、また日経ビジネス誌の読者欄への投稿が取り上げて貰ったケース。

 私は、起業時の法人の形は(料理の内容に合わせて盛り付けるお皿の種類を選べば良いように)やる事業の種類によって考え、必要なら株式会社としてスタートすれば良いし、別に個人事業でも実質的に問題がないのであれば個人事業で構わないものと思っていました(自分で経理処理をやるなら個人事業の方がシンプル)。




 私が10年やってきた中古車輸出の事業を例にとれば、大手の中古車オークション主催企業(皆さんに分かりやすい例で言えばトヨタオートオークション、通称TAA)からも、個人事業者だからという理由で差別?区別?されたことはありませんでした。むろん私の方でも、個人事業者だからという甘えを持たず、支払いは迅速にし、約束事はきちんと守り、信用を得るように配慮はしてきましたが。


 しかし、ある中古車輸出事業関連セミナーで出会い、私に声をかけて来た方は、どうやら大企業を定年退職をしたばかりの方のようで、私に「中古車輸出をやろうと思うのだけれど、どうなのだろうか?」と相談してきました。私にしてみれば、この方の名刺にあった株式会社〇〇という法人形態からみて、登記時に定款で何をやるかが定義してあるはずですので、なんともおかしな質問だな、と感じました。この考え方のズレはその後もこの方のビジネスにずっと影響してきているようでした。

 中古車輸出事業って小規模なりと言えど貿易、相手国の政治・経済事情にはじまっていろいろな環境変化に左右されるビジネス。私もそうした状況から判断し、ある時を境に、それまで加盟してきたソフトバンク系の仲介サイトTradecarviewを退会し、独自で顧客を掴み輸出をする方向に転換し、売り上げを伸ばしていきました。

 しばらく時間もたち、この方のことなど忘れていた頃に電話がありました。「実は半年前にTradecarviewに加盟したのだけれど全然売れない。あなたの方はどんな具合ですか?」と。どうやら私がTradecarviewを見限って退会した後に、この方、加盟した様子。こうした質問をしてくること自体、この方は中古車輸出世界の環境変化を理解していない感じでした。

 

 振り返ってみて、私が定年後起業出来た背景って何だろうかと考えてみました。

・一旦就職したあと、26歳アメリカへ留学したこと。それをきっかけに、自ら変化を作っていろいろな世界に移ることで自分を実現してきたこと。

・自ら変化を好んで、外資系新興企業(小規模の会社)へ転職してきた。その方が個人の裁量権の幅が広いこと、古いしがらみがないことから自分にとっては働きやすいと感じたから。

・私のやってきた仕事は「セールス」で、売るもの(ソフトウェア)と得るもの(お金)が明確だった。難しいことを考えず、やるべきことをやっていけば良いだけの世界。

・幾度か転職した中でセールスとしてのタイトルはほぼ同じようなものでしたが、客先の人脈を大事にしてきたお陰で、売り上げ、そして会社から貰う年俸は特に交渉することもなく毎年着実に上がっていった。(さらに当時の外資系IT企業の特徴の1つ、ストックオプションも付与された)


 こうしたことを振り返ってみると、「(人に頼らず)自ら行動を起こすこと」「人との繋がりを大切にする」「環境変化にも柔軟に対応すること」が、個人で事業を開始する上で役に立ったのかな?と思っています。

 補足すると、「相手が年下であろうと頭を下げて教えを請えるか?」「知らないことを知りたいと思う積極性があるか?」「人をあてにせず、自ら考え、行動に移せるか?」ということかと。これ、大企業を定年した人には結構難しいのではないかと思うところ?


 大企業出身の人たち(井の中の蛙)の考えは、当人がいた企業こそが標準的で、それを知っていれば、どこででも通用すると思っているフシがある。そこで思い出したのが、冒頭の武村健一氏の「日本の常識が世界の非常識」という言葉だった。本当にあなたが常識として体に沁みた慣習は、外でも通じるの?





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