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 すわっ、ニセ税務署員か? ・・・ (2019/08/18)

   定年後、個人事業を始めた関係で、開始3年目に税務署から職員が検査のために拙宅に来た。今回はそれから5年目、2度目にあたる。


 ご存じのように、「特殊詐欺」も高度化してきている。ある時は銀行員を語ったり、役所職員を名乗って「還付金」があるからと訪問してきたり、はては警察官を名乗るものまで現れている。まさに手を変え品を変えと騙しのテクニックのバージョンアップを繰り返している。私はこの署員を疑ったが、その理由が以下のとおりだった。


1.「名刺」が印刷屋さんで作ったものでなく、手製だったのだ。

 今回の税務署員、最初から怪しかった訳ではない。きっかけは名刺だった。私は仕事用の名刺を印刷会社には頼まずに「名刺倶楽部」というパソコンソフトを使って自分で作成している。この名刺の特徴はA4サイズの名刺専用用紙に印刷し、出来あがったものをミシン目で名刺大に切り離し、使用する。
 恐らくはこうした経験のあった私だから気が付いたことで、一般の人であれば気がつかなかった特徴だろう。その特徴とは、名刺カードのフチがミシン目から切り離しているために、ザラザラしているのだ。まずここが気になった。なので事業を始めて3年目に来た税務署員の名刺はどうだったのか調べてみた。その時の名刺を見てみると、ざらざらしていないのだ。つまり、きちんと印刷会社に頼んで作成しているのだ。税務署なる組織が、こんな簡易な名刺など使うのだろうか?というのが最初の疑問だった。


2.前回拙宅に来た税務署員と調査の仕方が違った

 一度税務署員による調査を経験しているので、それと比較した。前回の担当官は年配のベテラン税務署員で、帳簿を丁寧に見て、いろいろ質問してきた。しかし今回の若い税務署員で、何を調べたいのか明確にしなかった。ただ、静かに帳簿ファイルを眺めていたのだ。この訪問の目的が明確にされなかったのが、私がこの職員を疑った理由の二つ目の理由だった。


3.行動が怪しい

 銀行が発行する「取引明細書」 (私が取引している銀行は通帳はなく、毎月、取引の明細を郵送してくる) が見たいという。たまたま今年1月以降の分しか手元になかったが、一昨年のものが見たいと言う。「取引明細書」は家内がファイルしてくれているが、外出していたタイミングなもので、どこにあるのか分からなかった。
 もしや寝室にある棚にそのファイルがあるのかもと探していたところ後ろから声がした。「こちらが寝室ですか?」と。えぇ〜、寝室を覗いている〜。この男性、トイレに行く時も「トイレをお借りしていいですか?」と聞くのに、自分が書類を閲覧しているテーブルを離れ、私の後ろに立って寝室を覗いていたのだ。これは気持ち悪かった〜。これで一気に、ニセモノ?と疑いを深めた。


4.身分証明の真偽のほどは一般の人には分からない

 昨今の振り込め詐欺で、警察官を名乗った男は警察手帳を見せたようだ。しかしだ、見せられた警察手帳が本物かどうか一般の人には分かり得ない。そんなもの、見なれていないからだ。そのあたり、役所の人はどうも理解していないようで、身分証明書の提示が絶対的なもので、これを見せさえすれば本物であることを疑う人などいないはずだ、と勝手に思い込んでいるようだ。
  

 どうもおかしい???と。彼が「まだ見たい書類があるので、一旦ランチをしてまた戻って来てもいいですか?」というので、「どうぞ」と返事をした。彼がランチに出ている間に、税務署に電話してみた。電話口に出た人が「出張してます」と返事した。どうやら”少なくともこの名前の人は”在職しているようだ。

 どうやって最終確認をしようか?場合によっては最寄り警察署に届けられるよう、とりあえず上記画像(インターフォン、名刺、本人の横顔を盗み撮りしたもの)をいつでも提示出来るようにだけしておいた。

 夕方、税務署に電話して、本日お見せ出来なかった2年前の「取引明細書」、家内が帰宅して聞いたところ、収納棚の奥から引っ張りだしてくれたので、そのコピーをお届したい。ついては明日午前中、税務署に届けに行っても良いか?と尋ねた。
 翌朝、税務署に行き、本人を呼び出して貰った。まもなく出てきた人物は、昨日拙宅に来た人と同一人物だった。ここで始めて、本人確認が出来たわけだ。

 こうした疑いを持って来たことを本人に話したが、どうやら自分がニセモノと疑われるなどと考えもしなかったようだ。そこで、どこが怪しかったのかと説明して差し上げ、この情報は税務署内で共有した方が良いのでは?と説明しておいた。その後、何の話もないので、私のこの経験が生かされたのかどうかは分からなかった。
 

 冒頭の話しを繰り返すが、特殊詐欺のたぐいも、どんどん高度化してきて、役所の職員であったり、銀行員であったり、はては警察官まで成りすましている。つまり、何にでも成りすまして、目的(お金をだまし取る)を達成しようとしている。そんな知恵があるのなら、どうしてもっと創造的なことに使わないのかと腹立たしく思う。
 皆さんも、相手が、どんな立場を名乗ろうとも、「もしかしたらニセモノ?」とまずは疑ってみた方が良いのかもしれませんよ、ご参考までに。


 ※ 警察庁の「特殊詐欺」に関する情報ページは「こちら」です。



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