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81.老後は都会で 「刺激」と「変化」の中でイキイキと生きよう ・・・ (2011/08/28)

【著者情報】
山崎武也(ヤマサキタケヤ)
1935年、広島生まれ。1959年、東京大学法学部卒業。ビジネスコンサルタントとして活躍し、現在は六本木で暮らしているのだそうです

【目次】・・・ 2011年8月19日出版

第1章 老後に有利な都会生活
・老後は「便利な環境」がいちばん大事になる時期
・「街のにぎわい」を失うと、人生さびしい
・「過去の人」にはなりたくない、今を生きていたい ほか

第2章 老後の都会での住まい方
・老後になると、「広い住まい」を持て余す
・「広い庭の手入れ」は大仕事
・老後の「住まい選び」はあくまで安全路線で ほか

第3章 楽しい老後への道
・都会にあって田舎にない「自由」
・年を取ったら持っておきたい考え方
・地酒か、選りすぐりの美酒か ほか



 我々夫婦はいずれも東京生まれの東京育ち。お盆に帰る田舎もないゆえに、お金をかけず子供達を自然の中で走らせてあげる、といったことは出来なかった。反対に、お金さえ払えば、どこの田舎にでも行ける自由さはあったが。

 高校時代の友人で、深川育ちの江戸っ子がいる。彼の奥さんは新潟出身ゆえに、折りに触れ新潟に行っている。そんな彼だから都会と田舎、それぞれの良さが分かるのだろう。私が「年を取って働かなくなったら田舎へ移住しようかと思う」と言ったら、彼は順番が逆だと言う。つまり彼の意見では、若くて元気なうちは、田舎生活をエンジョイしてみるのもいいだろう。しかし、もっと年を取ったら病院通いも始まるかもしれない。その時は都会の方がいろいろな病院があって便利なのだという。確かに言われてみればその通りかもしれない。


 田舎に住んだことはなくとも、一時期、神奈川県も少々奥地に入った大学で働いていたことがあった。通勤の不便さもあり、都内から通うという私のような例はあまりなく、ほとんどがその近くに住み、車で通勤していた。何度か同僚の家に招待されご馳走になったが、感心したのは敷地の広さ。門を入って家の玄関前で車がUターンが出来るのだ。この面積だけで都心にある私の自宅がすっぽり入ってしまうのではないかと思った。

 東京の人なら家庭菜園をやるにも、ちょっと郊外に出た場所に、土地を借りなくてはいけないが、彼らは庭の隅で数種の野菜なども作っている。パセリが無くなれば、ちょっと待っててねと取ってきてくれた。また、景色、時に四季折々の草花の変化が素晴らしいのです。特に私が好きだったのは、秋から冬にかけての景色でした。雨が降ったあと、山茶花の赤い花びらが落ち、水たまり一面に広がる。まるで赤みの強いピンクの絨毯が引かれたようで、濃い緑の葉とのコントラストとあいまってなんとも美しい。また、冬になり葉の落ちた丸裸の木に、大粒の白い花をつける木蓮の美しさも格別だった。

 同僚にそれを告げると、いつも見ている景色ゆえに感動はしないという。なんと勿体ないことだろう。そこで言ってやったのは、もし、これだけの景色を都会に人工的に作ろうものなら、数億円は使わなくてはいけないだろう、とお金に換算して説明してみた。するとようやく、そんなに価値のあるものなのかとあらためて感じてくれた。


 そうはいいつつも、結局今に至るまで私は都会暮らしは捨てなかった。都会には都会の便利さがあるからだ。ちょっと歩けば国立自然教育園があり、その隣には美術館もある。もう少し駅に歩けば、飲み屋、レストラン、そして私の最大の趣味(夫婦共通の趣味)でもある映画館があるのです。つまり、まるで四畳半に住むように、コタツにいながらにして、ちょいと手を伸ばすとポットのお湯でコーヒーが飲め、本棚にも立ち上がらずして本が取り出せる、といった便利さがあるからなのです。

 反対に、都会はイヤだなと思う点について、この本の著者はこう書いている。1つめが歩道を疾走してくる自転車、2つ目が安直に犬を飼う飼い主、3つめが路上喫煙だそうだ。私も同感だか、しいていうなら、細い路地を横並びで闊歩し、すれ違い時にも避けようともしない小娘達を追加したい。


 さて、さて、この本を買った理由は実はこうしたことについて読みたかった訳ではないのです。今回の仕事のこと(放射能汚染で、出荷出来なくなった車両が発生したこと、そのことで事業の継続を思案していること)のヒントがあれば、と思ったからです。

 そのくだりをこの本からご紹介して本日のこのページの終わりにしたいと思います。


 老後期に入ってきたら、体力的な衰えを自覚して攻めて出ることを控えた方が得策であろう。それまでに培った常識とバランス感覚の力を大いに発揮して、「専守防衛」に徹するべきである。力もないのに攻めようとするのは、まさに「年寄りの冷や水」というほかなく、無謀のそしりは免れえない。



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