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71.自分で仕事を始めていなかったら、きっと気がつくことはなかっただろう ・・・ (2011/03/27)

 サラリーマンが責任を取る相手は、経営責任ではなく、いったとしても社長に対して止まり。自分でやってみると、たとえ個人事業であっても、経営のすべての責任を自分が負うことになります。社員ならば、最悪でも辞表を出せばすみますが、経営者となるとそうは行きません。ちょっと大げさな書き方かもしれませんが、今まで経営なるものはしたことがなかった私には、実際やってみると、今までとは視点そのものを変えなくてはいけないことに気づかされました。

 一例をあげてみましょう。皆さん、オークションってどういうイメージをお持ちでしょうか?テレビで有名なところでは、ササビー(Sotheby's)における絵画などのオークション。また、身近なところでは、築地のまぐろの競り、といったあたりでしょうか。

 私の場合は、中古車をオークション会場で仕入れます。ありとあらゆる車、国産、外車、事故車、などが競りにかけられます。事前に下調べをするのは、割と好きだし、自分ではこうした作業は得意だと思っていました。さて、資料を手に会場へ行くのですが、なかなか買えないのです。だいたい1台の車がテレビ画面に登場して売られるまでにかかる時間は、長くても30秒、早いと10秒程度で終わってしまいます。つまり簡単に言えばオークションってそーめん流しのようなもの(?)。あらかじめ決めたこれを買おう、と思っていても、その一瞬に躊躇してしまうと、さっと目の前を通りすぎてしまうのです。
 では、どんなシチュエーションで躊躇するのか。例えばある車を10万円までなら買おうと事前に考えていたとします。10万3千円だったらどうでしょう。買いますか?買いませんか?いつも終わってから思うのは、3千円くらいの差ならば、無理してでも買ってしまえば良かったと。つまり、買わずに後悔するより、買ってみる方がいい。なぜなら買って失敗するのだったらそこから学べますから。

 ここで面白いのが、サラリーマン時代、人の金を数百万、数千万単位で動かしていた人が、いざ自分のお金となると、たった10万円のお金を使うことを躊躇うのを見て、まあ、人間って誰でもそんなものなのだろうと思いました。

 こんな具合ですから、オークション会場へ行き始めた当初は、1日ねばって、結局1台も買えなかったこともありました。つまり、釣りで言えば「ぼうず」という言い方になるのでしょうか。「内心忸怩たる思い」なんて言葉は、事業を始めるまでは、自分にとってほとんど死語だったのですが。

 仲間と話しをしていて、本業を別に持つ人で経営者たちは、よしんば個人事業主でも、さらりと競りで買っていました。彼らは経営者なので日頃から「リスクを負って決定をする」ことはあたりまえなことなわけです。前へ進もうと思ったら、失敗も大事な経験の1つ、と言っていました。なるほど〜。

 そんな時に、偶然であったのがこの本。もともとは息子に
と買ってきたものですが、私にとっても、面白い内容でした。
君がオヤジになる前に」 堀江貴文 著

目次
・  起業という選択
・  本当の働き盛り
・  趣味と仕事の境界
・  結婚と保険
・  「待つ」という言い訳
・  マイナス感情の克服
・  クリエイティビティとは
・  人脈とスキル
・  情報を得ることの意味
・  利益を生む経営
・  友人と包容力
・  充実した人生の定義


その中から、一部を抜粋して紹介します。
 
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 適切な言い方ではないかもしれないが、起業はスピーディーなバカほど成功するのだ。バカは頭が良くないから躊躇しない、というか躊躇という概念がきっぱりない。

 会社を立ち上げて、まあまあうまく回せている起業家を見てほしい。いい意味で、結構バカな人が多いだろう?バカは全力ダッシュのまま、ハードルを越えられる。ハードルを倒したときの怪我とか怖さを知らないから、ためらったりはしないのだ。躊躇する人の大半は、「そこそこ」できる人たちだ。何でもこなせて、頭がいいから、失敗したときの悲惨は未来も予測できてしまう。ひとことで言う
と、小利巧なんだ。

 ビジネスでは、この小利巧な人がいちばん損をしている。理解力も学力もあるけれど、ためらうから突き抜けられない。突破したければ、ある程度バカになるのも必要だ。
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 ここでは堀江貴文が好きかどうかは別にして、書かれていることは、その通りだと実感しています。振り返ってみて、なんと自分は「リスクを負って」ことを決めてこなかったのか」と思いましたね。

 どうりで最近、仕事で接する人たちの対応がなんとももどかしく感じた訳です。何かたずねた時、明確に返事が出来ない人がなんと多いことか。つまり、彼らは経営者ではないので、責任者である上司、社長に怒られはしないかと気にし、自分で明確に返事出来ないでいるのでしょう。私も、サラリーマンだけの世界で終わっていたら、今のように自分で事業を興していなかったら、ついぞ体験することがなかった領域でした。

 余談ですが、先日、久しぶりに先輩と飲んでいて、「○○君は変わったねぇ〜」としげしげと言われてしまいました。どういうことかと聞くと、「かつでは僕が酒の席で一席ぶっていても、ふんふん、と黙って聞いていてくれた。それが、最近は、どんどん反論してくるようになった」と(笑)。これも私の中の変化の表れでしょうか。


 昨年の創業寺子屋塾で講演した方が笑いながら言った言葉、「起業をして以来、幾度となく”心が折れそうになった”」を思い出しています。これから起業しようという方は、そうしたことにも必ず出会うのだということを知っておいた方がいいでしょうね。そしてそうした状況において心の支えになって貰える伴侶、仲間を持つことは、とても大事ですね。


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