ホーム目 次 / 前ページ次ページ       


295. 老人閑居して不善をなす  ・・・ (2020/02/09)



 こちらの画面は日経ビジネスから送られてくるメールニュースの一画面です。これによれば、昨日もっともアクセスが多かったのは「暇すぎる老後が生む「ネットクレーム」と「正義」マン」というコラムだったのだそうだ。ならばとその詳細を読んでみた。

 内容をかいつまんでご紹介するとこんな感じ。ある製品を買ったシニア男性から、メーカーに対してクレームの電話があった。メーカーが確認してみると確かに自社製品の不具合のよう。でメーカーとしては新品と交換する旨提案したが受け入れられなかった。相手のシニア男性は、あくまで自宅まで「わび状」を持ってくるよう要求して譲らなかったのだそうだ。
 最終的にはメーカー側の担当が「わび状」を用意し相手のご自宅を訪問。で、驚いた。なんと壁一杯に「わび状」が並べられていたのだと。



 確かに現代の製品というものは、どんどん新製品が作られ十分な検証を経ずして世に出るためか、不具合が出る可能性も多いようだ。かつて拙宅で使っていた洗濯機でも同様なことがあった。ある日洗濯水の排水が出来なくて困ると家内から言われた。定年までの仕事は事務屋だったり営業だったりと製造とは関係ない仕事をしてきたが、若い頃はアマチュア無線をやっていて、多少は電気製品についても分かる。で、洗濯機の裏ぶたを外して調べてみた。
 分かったのはソレノイドコイルで操作する排水弁のヒンジが断裂していた(金属疲労?)。これを交換すれば直ると理解し、近場にあるその洗濯機メーカーの販売店を訪ねた。年式、型番などを伝え部品を取り寄せて欲しいとお願いした。数日して部品が届いた旨の連絡があり、部品代を払って小さな紙箱に入った部品を貰って帰った。

 帰宅して、箱を開け、部品を見てオヤ?と思った。断裂した旧型ヒンジと新品とで構造が変えてあるのだ。どうやら同様な故障が私の家以外でも出たようで、新しい部品はその問題箇所を改良していたようだった。たまたま私は自分で直したからこうしたことが分かったが、修理を販売店任せにしていたら、ただ黙って修理代を取られたであろうと感じた。

 メーカーとしてはこのあたりをどう考えているのかと思い、そのメーカーのお客様相談室に写真を添えた手紙を出してみた。恐らくは関係部署を探して私の手紙が彼ら社内の旅したようだった。およそ1ケ月ほどして相手先から連絡があった。それによれば、その企業の関連会社(下請け?)の人間を伺わせるので、ご自身(私)が修理された箇所、断裂して取り外した部品を見せて欲しいと。
 数日後、技術担当の人が拙宅まで来てくれた。私の修理を見て、素人が良くここまで出来たと感心してくれた。で、補修部品を購入した際の領収書を見せて欲しいと言われたので見せたら、その担当者が全額返金してくれ、その代わり断裂した部品を持ち帰っていった。なにっ?これって証拠隠滅?(笑) しかし私はこれ以上の追及はしなかった。



 ちょっと話をそらしてしまったので元に戻しましょう。日経ビジネスの解説によれば、壁には、数十通を超える「わび状」がまるで表彰状のように飾られていたのだそうだ。

 自宅などを見る限り、“謝罪文コレクター”さん、経済的にはそれなりに裕福であることが見て取れた。「多分、他にやることがなく暇で、人を謝らせることが趣味になっているのではないか」。そう感じたという。その後、冒頭の小言をたっぷり述べた氏は満足げに男性を見送った。

 「趣味や再就職などを通じて“再デビュー”ができなかったシニアが、疎外感や孤独感を紛らわせようと、自己確認のためにクレーマーになるケースはもはや珍しくないのだ、と。

 私は定年後に苦労と楽しみの中、中古車輸出の仕事を(10年に渡って)してきたことを、とても良かったとあらためて思った。というのも定年後自分で仕事を始めた理由の1つがこれ、自分を「老人閑居して不善をなす」にしない為だった。シニアに限らず人間というものは、暇を持て余すとろくでもないことを考えたりするものだからだ。

  本来の言葉は「小人閑居して不善をなす」で、本来の意味はこちらに。


 先週で私は70才になった。東京都に居住しているシニアはシルバーパスが貰える(別途発行手数料がかかる)。また居住区である港区民は、地域バス(ちいバス)のフリーパスと、さらに希望すれば銭湯の無料券まで貰える。なんとも至れり尽くせりだ。今の時代の元気なシニアには、なんとも手厚い福祉だと思える。



 最後に。「老人閑居して不善をなす」を減らす意味で、区のシルバー人材センターに登録し、さらにカルチャー教室で講座をやらせて貰えないかと提案している。従来からカルチャー教室にはスマホやパソコン教室がある。区の施設を使ってやる講座として適切なものかを審査する人にとっては、私がやりたいと考えている「スマホ(パソコン)を使って不要品を売ろう!」という講座が従来のスマホ教室、パソコン教室とどう違うのかがピンとこないようだ。

 もしかしたら、あなたが製造業関連の人であるならば「用途開発」と言えば分かって貰えるのかも。

  用途開発とは、既に存在している技術や商品を別の使い方に適用する道を拓くことだと。


 この講座を提案したのはこんなことから。

1.定年後、何をやったら良いのか自分で見つけられない人に、比較的安全性の高い「ジモティ」でもやってみませんか?という提案だ。(メルカリ、ヤフオクでは、トラブルや事件が多発している)

2.SNSの類を使って不要品をやりとりするにしても、適切な日本語が使えないといけない。それは相手が見えないから。見えないからこそ丁寧な言葉でやりとりをしないと誤解が生じる。つまり不要品販売を通じてコミュニケーション力をアップして欲しいからだ。(ジモティの場合は、最終的には対面で品物を相手にお譲りする形になる)

  ※ 参考:「世界一孤独な日本のオジサン」・・ オバ様達よりむしろオジサン達に参加して欲しいと思う理由。

3.ボランティア=ただ働き、という印象かもしれないが、金額は少なくとも、れっきとした商売と言える。売り上げが伸びることに多少なりとも喜びを感じて貰い、少しでも長く続けて貰えるのでは?と期待している。

4.こうしたことを区が提供する施設でやる意味は、これ。
  こちらを見ると分かるように1年間に港区役所が対応、処分する粗大ごみの量は、なんと55,000トンにもなるというのだからだ。




 私ごとだが、5年ほど前に母が亡くなって、雨漏り修理を繰り返していた自宅を建て替えることにした。その為には、まずは不要品を処分しなければならない。捨てれば単にゴミでしかないが幸い半年ほど準備期間があったので、その間にジモティとメルカリで処分した。あるもの(例えばベットなど大型家具)は無料で引き取ってくれる相手を探し、古くなっていた冷蔵庫、洗濯機、ガス台、換気扇などは綺麗に掃除してサイトに掲載してみたら、すべて処分(販売)出来た。その額(一点数百点から数千円程度でも)なんと20万円超にもなった。

 多少なりとも身入りがあり、しかもそれが環境にやさしいのだとなれば、これはもうやらない手はないと思うのだ。



<編集後記>
 今回はシニアが問題の対象だったが、実際にはこうした問題は年齢には関係がない。振り込め詐欺などの話しを聞いていると思うのは、そんなに知恵があって行動力もあるのなら、なぜもっと創造的なことに使わないのかと腹が立つ。
 シニアも若者も、自分が持つ可能性は、創造的、生産的なことにこそ使って欲しいと私は思う。



ホーム目 次 / 前ページ次ページ     
 

inserted by FC2 system