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265. 「シニア起業」で成功する人・しない人  片桐実央 著  ・・・  (2019/01/20)  

 
● 教科書ふうにいえば、シニアの起業はこうであるべき、と

 第1章 私にも起業はできる?
 第2章 起業までの下準備、カギは「やりたいこと重視」
 第3章 「やりがいのある起業」に向けての進め方
 第4章 成功のためのシニア起業の実践法
 第5章 成功するシニア起業家はここがちがう
 第6章 シニア起業は優遇。行政の制度を積極活用!

 著者は「銀座セカンドライフ」という会社の代表取締役。つまり著者自身がシニア世代で起業経験を本にしたわけではありません。この会社は、定年後のセカンドライフとして、50代・60代の方の定年前後での起業をサポート。シニア起業支援会社として、起業セミナー・交流会の開催、レンタルオフィスの運営、さらに御社の事務をサポートをしています。
 つまりこの沢山の会員からヒアリングした情報をもとにまとめたものがこの本。これがこの本を読んでみた印象ですが、これだけ網羅して考えておけば起業は問題なく進むでしょう、というもの。逆に考えると、こんなに多くのことを考えないと起業出来ないの?というくらいの内容でした。


● 私自身は逆のアプローチ(新しい経験が出来ることこそがシニア起業の醍醐味)

 まずは行動(アフリカに視察旅行に行く)から入りました。そこで見えてきたものの中から自分にやれそうなものを考える。帰国した後、いろいろ調べたら、中古車輸出分野が案外整理されていて新規参入がやさしそう、という印象。具体的に言いますと、中古車を入手する先として(それまでは知りませんでしたが)日本国内に多数の中古車オークション会社がある。ここで買付が出来さえすれば、あとは中古車専門の陸送会社があり、中古車を専門に扱っている乙仲さん(船積手配を代行してくれる)があり、さらに中古車専用船まであるという、なんとも有り難い環境が整備されていたからでした。

 実際にビジネスとしてやろうとすると、まずは最寄りの警察署で「古物商」という中古品を取り扱う資格を取っておく必要がありますが、犯罪歴など無ければ取得は難しくないようです。次は、いくらネット時代といっても個人が立ち上げたサイトにアフリカなどのバイヤーさんが来てくれる訳ではありません。そこで市場、たとえばアフリカ東海岸市場向けに広告宣伝をしてネット訪問者を増やしておいてくれている企業をみつけそこに加盟する必要があります。

 あと会社組織をどうするかですが、多くの人が思い込みで株式会社でないとダメ、と考えているようですが、少なくともこの中古車輸出の世界では個人事業主という形態がハンディとなることは全くありませんでした。ということで私も個人事業者としてこの仕事をスタートしました。

 こんな具合に起業を進めましたが一般に経営とは「人」「金」「モノ」と言われます。スタート資金と最低100万円程度、あとは信用が必要でした。具体的に信用とは、オークション会場に加盟する際に、保証人が1名ないし2名必要となります。まわりにこうしたことが頼める相手が必要となりますので、日頃からお付き合いを大事にしてきたかどうかが大事ですね。

 まあ、ざっというと私の起業はこんな感じなのです。つまり、机の前に座っていろいろ考えた訳ではなく、まずは行動してみて、そこで見えて来たこと、課題を1つ1つクリアしていくといった感じで進めて来ました。貿易という競争の激しい世界で、それも個人事業としてなんとか8年が過ぎ、9年目に入りました。振り返ってみると、1つの市場(最初は東アフリカ)が3年くらいで大手に奪われ、あらたな輸出対象地(ニュージーランド)、もしくはあらたな輸出対象(例えば自動車から建設機械や農業機械といった対象品目への転換)を見つけないと継続出来なくなるという状況がありました。



● シニアの事業、パッションの維持がカギ?

 私の考えでは、ここで一番大事なのは「仕事を続けたい」という意欲・情熱だと思っています。そもそも私の場合で言えば60才からのスタートですから、順調な時はまだしも、ビジネスが沈み込んで来た時、そんな状況でもなんとか続けたいと思えるのかどうかが課題。つまり自分の「事業意欲」をどうキープし続けていくのかが課題という気がします。現にアフリカ市場のあとに、縁あってみつけたニュージーランドの代理店。そことの取引が今終わろうとしている段階で、ならば次をどうするかが課題なのです。私のように70才が近づいてくると、何も無理しなくても年金生活をしながらゴルフ三昧でも良いのではないかという考えが脳裏を横切ります。それでもなお事業を続けたいとするならば、やはり自分の中に続けようという「情熱」のようなものが必要かと思います。

 別な言い方をすると、定年後に事業を始めるのは良いけれど、終わりはどんな風にするのかも併せて考えておけるといいですね。ここまでやったら終わりにしよう、といったことですね。そのためには足かせを無くしておくこと。具体的には「人を雇わない」「オフィスを借りない」ですかね。こうしておけば、自分一人の問題として対処出来ますから。 さっ、楽しく始めましょ!!




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