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245. 何のために私は仕事をするのか? ・・・  (2018/06/24)  

 「与信」という言葉をご存じだろうか。中古車オークションで車を落札したとする。私の場合でいえば300万円の与信枠がある。このお陰で300万円以下の車であれば、落札したと同時に搬出、つまりオークション会場から持ち出し(多くの場合であれば横浜港へ)出来る。反対に もしこの「与信」の枠がないとオークション会場が、私からの入金を確認出来ない限り会場から持ち出しを認めてくれないことになる。

 今回、知り合いから(実際は知り合いのまたその知り合いから)日本のあるインターナショナル・スクールで働いている外国人が帰国に際し日本のタクシー車両を買って帰りたいと言っているが買い付けをお願い出来ないだろうか、と。その際紹介者は「直接の知り合いではないので相手がどんな方か分からないので、あなたに無理のない形でやってくれればいいですから」と配慮ある紹介だった。

 結果は、とにもかくにも私としては扱ったことのないタクシーの調達に(過走行車が多く質の良いものが見つからず)苦労しながらようやく個人タクシーとして程度の良い車をみつけ彼のために(10万円で)購入して差し上げた。



 インターナショナル・スクールで働いていた彼、かなり神経質で、時としてマシンガンのようにメールを送りつけてきて、あれはどうなの?これはどうなの?と心配しどうしだった。相手にとっては母国語だろうが、こちらにしてみれば外国語の英語で返事をしなければいけないので大変だった。1週間ほどやりとりをし購入が終盤に近付く頃にはそれもなんとかこなせるようになってきた。最後の最後に、彼の言葉に私が反応した。簡単にいうとムカッとなったのだ。多分、これまでの彼とのやりとりに私がかなりストレスを感じていたからだろう。そもそも神経質な人には中古車購入はむかない、新車を買うべきなのだ。中古車の場合、いろいろな問題が潜んでいたとしてもおかしくない商品、どこかで自分の求めるものと購入金額とのバランスを考え”折り合いをつけて貰う必要”がある。(ヤフオクでは中古車売買でも、購入後はノークレーム、ノーリターンで、と最初から逃げをうっている)

 定年後に仕事を始めたのは、生活のためというよりは「自分をヒマな状態にしたくなかった」のと「仕事を通じて人様に喜んで貰えれば」という気持ちからだった。今回のアイルランドから来た彼に対しても、彼がまだ気が付いていない、ここから先、彼が遭遇するであろう戸惑いを最小限にすべく情報提供も続けてきた。そんな思いが相手に伝わるわけもないのだからイラついてみても仕方がないのだが。

 とまあ結論的に言えば、コミュニケーションが不十分ということもあるが、単純化すれば私と客としての相手の相性が良くなかったのだろう。それにしてもなんとまあ、私は我儘な売り手(中古車輸出業者)であったのだろうか(苦笑い)。今後も体力が続く限り仕事を続けるだろうが、多分この青臭い理想はキープしたままで仕事をするのだろう。


<後日談>
 彼にはイライラさせられたと私が感じたとすれば、彼も私とのやりとりに同様にイライラしたであろうと推測。そこでこんなメールを送ってみました。「今回の貴殿からのタクシー車両の買い付けに際しては(車種選定などで)辛抱強い協力を有難うございました」と。 彼から感謝のメールが届いた。

 また追伸で、船積み部分を担当しているカリブ海出身の業者から届いた輸出前検査項目の妥当性について私の意見を聞きたいと相談してきた。私もこの業者さんと会ってみたが、当初は彼がタクシー車両の調達を頼まれた様子。しかし、彼にはアイルランドから来た先生に納得して貰える車両を調達出来なかったようだった(で、私にお鉢が回って来たのだった)。
 結果、カリブ海出身の業者さん、船積み部分だけでは儲からないとばかりに、船積み前にあれも、これも、部品交換をしておくべきだと提案したようだった。私が点検・交換リストを見て、仕訳をしてあげた。現在故障している訳ではないので、帰国して必要になってからでも直せるものはそのままにして、日本にいる間に部品交換をしておいた方が安くつきそうなものだけ交換しておけばいかがですか?と。こうした私のアドバイスも、結果として、彼の私に対する信頼を増したようだった。

 振り返ってみて、彼の住所からGoogleMap でご自宅を確認してみたのだけれど、アイルランド北部の大きな家が実家のようでした。あまり人に頭を下げたりすることがない人なのかもしれない。まあ、そんな彼にそこそこ満足して貰えたようなので、結果オーライであった。





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