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227. 100年時代の人生戦略 (100年時代の幕開け )  ・・・  (2017/12/31)  

LIFE SHIFT(ライフ・シフト)
100年時代の人生戦略
[ リンダ・グラットン ]

 
従来の(寿命の長さの時代)の生き方は、

  教育→仕事→引退、

という3ステージだった。もしこれが寿命が延びるとなるとどう変化するだろうか、というのがこの本のテーマ。この本では、教育と引退はこのままとしても、仕事のパターンがいくつかに変化して長くなるというもの。これは人生が長くなれば、老後資金を獲得するためにも、働く年数を長くせざるをえないからだ。確かに私の世代(1950年前後の生まれ)の人は、定年後にも何らかの仕事を続けている人が多いが、1つには老後の資金、もう1つは元気でヒマを持て余すことを良しとしないからのようだ。

 今後もっと人生が長いものになるとすると、人生のパターンはどうなるのかというと、

 教育→仕事(PartI)→仕事(PartII)→引退

といった形にならざるを得ないだろう、と。未来を過去の延長と捉えるのではなく、従来の3ステージから脱却し、マルチステージの人生を送る必要が出てくるという。

 またあらためて書きたいと思っているが、実は私の人生、振り返ってみると既にマルチステージの人生を生きてきている。大学を卒業して3年半働いたのち会社を退職し米国に留学している。そこから私の人生は大きな変化をしながら現在に至っているからだ。ゆえに、この本を読んでいても違和感は感じない。

 タイトルの「100年時代の人生戦略」というニュアンスから、私はこの本はシニア向けかなと思ったが、そうではなかった。一般的な終身雇用の中で人生を過ごしてきた人が、あらためて今この本を読んだとしても、既に人生は終盤、いまさらマルチステージへと転換などやりようがないだろう。この本を読むべき対象の人は、今まさに教育を終わった若者、もしくは仕事人生に入ったばかりの人が読むべき本。彼ら、彼女らであれば、今から十分にマルチステージの人生をスタート出来るのだから。



  この本にも指摘があったが、発展途上国に比べ先進国の寿命が長いのは単に幼児の死亡率が高いかどうか、つまり統計の取り方による違いが大きいと理解していた。かならずしもそうではないようだ。自分でも、この本の著者が参照した米UCバークレー校のデータ(http://www.100yearlife.com/the-challenge/)を見てみた。

 まずはこちら、2007年に生まれた子供の50%が何歳まで生存しているかの予想 (Oldest age at which 50% of babies born in 2007 are predicted to still be alive) した図

 

 同じ先進国と言われる国でも、例えばドイツは102歳であるのに対して日本は107歳と5歳も長寿ということ。この2か国のあいだなら、乳幼児の死亡率はさほど違いはないはず。違いは生まれて以降の生活環境による違いなのだろう。

 こちらは生まれた年度ごとに何歳まで生きることが想定されるかを示した図(Best practice life expectancy)

 これでいくと、1950年に生まれた私は85,6才まで生きると考える(あくまで統計上の予測であり個別な問題はあてはまるとは限らない。ちなみに大正9年生まれの私の母は95才まで生きた)

 私と丁度30才違う娘(次女)は1980年生まれゆえに94才まで生きると想定されることになる。さらに娘はこの2月に第2子を出産予定。とすると、この子は110才まで生きると考えるのが妥当ということになる。

 こうして見ていると世代が若返るごとに余命はどんどん伸びているのが分かる。

 
 こちらの図(左図)縦長だが、これだと自分の人生100年未満の変化にしては、あまりに急激に寿命が延びているように見えてしまうので、試しに(下の図)では、自分の人生の長さに比べてもう少しゆるやかに寿命が延びているように変形させてみたがどんなものだろうか。

 私の場合1950年生まれだから、当時の統計では75才が平均余命だったが、50年超の人生を送っている間に(食生活の改善?医療の進歩?)85才まで統計上の寿命が延びている。
 私の母は晩年でも自分の足で歩くこと心がけていた。また常備薬といったものは持たず、それが幸いしたのか95才まで生きた。かたや私は62才で心筋梗塞を経験しているので、とても母と同じ長さ(95才)まで生きるとは思えないが。
 



<編集後記>
 今私がこの原稿を書いている横で、家内がカレンダーを多数並べ、どれをどこに提げようか思案している。それを横目で見ながら思ったのだが、人生終盤が近づくと加速的に時間が進んでいると感じるのは私だけだろうか。

 この本にもあったが、「人間は基本的に行動を通じて学習する生き物であり、新しいステージは、実際に行動し、その行動について自己分析する絶好の機会になるのだ」と。日ごろ私が考え、誰かと話をする時にも伝えている重要な項目が「行動」。その意味でもこの本で著者が言っていることにとても頷ける。そんなことから、今回私のこのホームページのタイトルも、この本にあやかって「100年時代の人生戦略」(私の場合)と変えてみた。

 私が作ってきた人生の変化がどんなものか、皆さんの参考になるかどうかは分からないが次回以降、少しづつ紹介してみたいと思っています。


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