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223. シニアの起業は失敗すると言いきっている人がいたが  ・・・  (2017/12/03) 

 たとえ小さな起業でも構わないじゃない。大きな企業だって最初は小さかったのよ。

 ネットで「シニア」「起業」という2つのキーワードで検索したら、たまたま見つけたサイトに、シニアの起業は失敗すると言いきっている人(会社?)がいた。その説明を読んでいると、文の最後に「ネットで儲ける方法が分かれば成功出来るので(弊社の)有料教材を利用して」と。
 つまりシニアであっても、所定の条件がクリアできれば成功出来るのだと明言したようなもの。では、具体的に何をすれば良いのかを、この有料教材ではなく、私なりの経験から分析してみた。

 この「サイト」を読んでみて感じたのは、別にシニア起業だからではなく、すべての年代に共通する失敗のような気がしました。

1.サラリーマンの場合、仕事で失敗しても個人で責任を負わされることはありませんね。最悪の場合でも、会社をクビになって済むわけです。

 これはその通り。会社勤めをしていれば、責任を取ると言っても(法律違反でもしない限り)最悪会社を辞めればそれで済む。謝る相手も上司もしくは自社の社長で終わり。ところが自分で経営してすべて自由に出来る代わりにすべての結果の責任を取る必要があります。でもね、もとより自分の人生の結果は自分で取らざるを得ないのですが、、。とまあ、サラリーマンは気楽な稼業なのは確かなようです。


2.当たり前ですが、起業の失敗はすべてあなたの責任です。なので、莫大な借金を背負ってしまって老後の生活プランが全部吹き飛んでしまう、なんてことも普通に起こります。実際、シニア起業をされた方の多くがこのような悲惨な状況に陥っています。「思いつきで起業なんかしなければよかったのに。」


 まず最初に、思いつきを「発想」と受け取るなら、思いつくことは良いこと。思いつかなければ何も始まらない。思いついたことをどう実現するのか考えるのが経営とも言える。次に冒頭の「起業の失敗はすべてあなたの責任」も事実。そもそも仕事以前に、自分の人生の責任を取る覚悟と認識の必要なのはあたりまえだと思うので、わざわざこんなことを言って脅すのはいかがなものだろうか。

 「老後の生活プランは全部吹き飛んで」とあるが、そもそもシニアのお仕事は「経験」「人脈」「小資本」であるべきだと思う。いわゆる「ゆる起業」をお薦めしている。ゆえに借金してまで起業することが必要なのか十分考えた方がいいだろう。若ければ失敗しても、肉体労働をするなり水商売をするなりで借金も返せるかもしれないが、シニアが失敗すると、せっかく買った自宅を売却せざるを得ない、といった状況に陥りかねない。シニア起業なら、自己資金でやれる範囲のビジネスを考えてみると良いだろう。私の場合、当初用意した資金は300万。その多くをアフリカ市場の調査でアフリカ旅行 した費用など。設備投資(パソコン、ネット環境の整備)は50万くらい、あとは仕入れ資金。何年かは苦労したが、それでも起業7年目(H28年)決算は2000万円を超えた。今は仕事にも慣れたので、仕事をしているのは一日のうち半分程度と楽。でも、苦労した起業初年度が懐かしい。


3.長年サラリーマンだった人が起業しても失敗する理由は単純です。ずばり!考え方が全然ダメなんです!

 それはその通りだと思う。例えば、「土日はしっかり休みたい」とか、体力のせいにして「毎日フルタイムで働くのはイヤ」とかいう人がいる。私もシニアだから気持ちが分からないではないが、起業初期は飛行機の離陸にあたる部分、楽して飛びあがろうというのは絶対に無理。飛行機が滑走路の端にまで来て、エンジンを全開して一気に加速し、大地を蹴って空に飛びあがる。のんびりするのは起業が軌道に乗ってからにしましょうね。

 ただ、年金が貰える個人事業者で、人も雇っていないしオフィスも借りていない。つまり固定費(毎月自動的に出るお金)を低く抑えておけば、かなり融通もきく。(起業後しかるべきレベルで仕事がまわっていれば)今月は野暮用があって半月しか仕事が出来ない(稼げない)としても、なんとかなるだろう。


4.会社から与えられた仕事をただただこなしていくだけで、毎月自動的にきっちりお金がもらえる

 その通り。だから私はシニアになるまで、起業は考えなかった。子供に教育費がかからなくなり、住宅ローンも終わっている。年金が出るようにまだ5年あるが、その程度の期間だったら預金を食いつぶして行っても問題はない。そうした背景があったから起業したのだ。
 起業してみて、自分で稼ぐのは楽しかった。会社勤めしていると、会社が有名であったり、とても個人では開発出来ないような製品を販売することが出来たりする。こうしたことは、とてもじゃないが個人でどうにかなるものでもない。ただ、セールスをやっていると、企業の力を使って仕事をすると、そのうち何分の一が、自分だけの力なのだろうか?と思うこともあった。個人で仕事をした場合、100%自分で稼いだと実感出来る。これは本当にやりがいがある。定年後、自分で仕事を始めてみて心底良かったと思っている。



5.もちろん、サラリーマンにもいろいろ大変なことだってあるのでしょう。でも、どうしても嫌な場合は会社を辞めて逃げ出すことだってできますよね?会社を辞めれば責任も何もかもすべてチャラ!という感じで、サラリーマンは実に気楽なもんです。

 個人で事業を始めるには、終わり方のシナリオも準備しておくべきだろう。今はビジネス用語として使われる「ストラテジー」はもともと軍隊用語。軍隊では、常に撤退するケースも想定している。撤退のシナリオを準備していないと、第二次大戦中の日本軍のように玉砕するしかなくなる。好きで事業を始めたのだから、せめて辞める時に家族に大きな負担をしいらずに綺麗に終われるようにしておきたい。



6.これからの人生は趣味や大切な人と過ごす時間を思いっきり楽しんでください。

 俗に定年退職後の時間は8万時間と言われる。趣味だけではこの時間は使い切れない。私の好きなゴルフでも、次の週末が待ち遠しいと思っているからこそ週末のゴルフが楽しかったという人が多い。ゆえに、いつでも自由にゴルフが出来るようになって、面白みがなくなったとゴルフを止めてしまう方もいる。事業が立ち上がるまでは、精一杯走り、軌道にのったと思えたら、メリハリの効く時間配分をしたらいい。そうすれば、ゴルフも仕事も楽しいと言えるようになるから。ノドが渇くからビールが美味しい、、、、みたいな(笑)



7.今のご時世、ネットを使わない起業なんてありえないですから。最低限の知識とスキルがなければ話になりません。起業しても100%失敗します。

 私がやっている事業、中古車の輸出ではネットを使わないなんてありえない。ただ、すべての事業についてそこまで言いきれるかどうか私には自信はありませんが。ただ、せっかくのネットの時代、使えるものはなんでも活用すべきなのは確かですが。

 あと、最低限の知識とスキル、まあこれもその通りだろう。しかし、コンピュータについてもそうであったが、インターネットでもリテラシーが大事かと思う。つまり、インターネットで出来ること、インターネットでは出来ないことの区分はしっかり知っておくことが必要だろう。

 若い人を中心にネットショッピングがどんどん使われるようになったら、ボトルネックはなんと物流(アナログな世界)だった。つまり情報(ビット)で処理しようとしても、かならず「モノを運ぶ」という部分は残る。とまあ、こうした部分を指して「知識」と「スキル」というのならイエスですね。





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