ホーム目 次 / 前ページ次ページ       


222. 「あなたにとって幸せって何ですか?」 と問われたなら、なんと答えますか。 ・・・ (2017/11/26)

幸せ何と ひと問わば
 
むすめは なにと答ふらん

珠になれとは いのらねど 

あくたとなるな 町なかの

よしや三坪の庭とても 

たのしみもてば 草々に

人生 植えるもの 多かり


これは吉川英治さんが、嫁ぎゆく娘さんに送った「むすめに与ふ」の一節だそうです。

 なにゆえこれを思い出したかというと、新居が出来上がるまでの半年間、仮住まいをしたのですが、引き渡し前の掃除をすべく夫婦で仮住まいのマンションに戻った際、まるで昔を懐かしむかのごとく、楽しい思い出が蘇ったからでした。

********************

 自宅を解体・新築する間の半年ほど隣の区にある集合住宅に引っ越しました。集合住宅に住むのは、新婚時代に練馬区で過ごした3年以来でした。6階建てのマンションは品川区民公園に隣接し、公園の木々が引っ越した際の夏場の日差しを和らげてくれました。また都会にいて土の上を歩くことが少なくなった昨今、落ち葉混じりの土の上を歩くのはなつかしい感触でした。

 ここにいる間にいろいろ探検してみようとばかりに夫婦で区の図書館も4カ所ほどまわってみました。それぞれに特徴があり、シニアのオジサンたちに混じって雑誌を読みました。

 JRの2つの駅、大森、大井町がほぼ等距離。いずれも我々夫婦には十分歩ける近さ。両駅とも駅前にスーパーだの電気屋さんだのがあり、新居用の家電製品もそこで調達しました。大森には映画館もあり、そこにも行ってみました。またチェーン店の焼き肉屋にも行ってみました。2つの駅前に同じ系列スーパーがあり、そこでマカダミアン・ナッツの乗った美味しいパンを見つけ、行く度に買って帰りました。




 大井町駅前で行った(米国系)サンドイッチ屋さんでランチをした際に、米国にIT関連の視察団を連れて行った際のエピソードを思い出しました。ほとんどの方が英語があまり得意ではない方々だったので、サンドイッチ屋で彼等を困らせることになってしまいました。というのも、このお店、米国流のサービスとしてお客様の希望を細かく聞いてくるからなのです。まずは、どの(ツナとかサラミとか)サンドイッチを頼みたいのかから始まって、パンの種類(日本の場合は長さは聞いてこないが)、トーストするかしないのか、挟む野菜の好き嫌いはないのか、ドレッシングはどれにするのか、、、、などなど。日本語で聞かれても面倒くさいのに、まして英語となれば、かなり会話慣れしていないと閉口すること間違いなし。(ちなみにこのサンドイッチ屋さん、ホームタウンの港区にも大門と広尾にあるのを思い出しました)



 大井町駅前からは品川水族館までの無料送迎バスがありました。何度か利用しましたが、水族館には入らず終いでした。一度だけ敬老の日にシニア向け低料金で公開してくれるというので行ってみました。小さな子供達がイルカのショーを目を輝かせて見ていました。この水族館に隣接してボート競技場があり、ボートのエンジン音が聞こえていました。

 仮住まいのマンション、近くにチェーンの牛丼屋さんが2軒、ピザ屋さんが1軒、イオン系列の小型スーパー、都市銀行のATMが1カ所。更に競馬場近くにはウィラ大井なるショッピングセンターがありました。京浜急行沿いに歩けば、OKストアなる安売りスーパーやドーナツ店が。そこから右にまがるとイオンシーサイド店があり、ここに行けば何でも揃う、という感じでした。

 更に足を運んで品川駅近くまで行くと新馬場という駅の前に、区民のための健康センターなるものがありました。存在は以前から知っていましたが、せっかくなのでこの区に住んでいる間にゴルフレッスンを受けようと申し込み、4ヶ月ほど通いました。週1回のレッスン日には、最上階にあるスポーツジムも使わせて貰えたので、ゴルフレッスンのあとはランニングマシンで一汗かき階下のロッカールームに行きシャワーで汗を流して帰るというのがパターンでした。

 私の住んでいたマンション最寄り駅から4駅程度の距離は健康を兼ねて徒歩で行き来しました。道沿いの商店街を観て歩くのも好きでしたし、偶然見つけた飲食店にも一通り(?)行ってみました。一カ所、運河沿いに公園を隣接した場所もあり、水辺のある景色を何度も写真を撮りFacebookに掲載したものでした。

 家内が大井競馬場横を過ぎ運河を越えた先には団地があり、そこにスーパーや図書館などもあるというのでそちらにも行ってみました。割と空いているのと小型家電の値段が安いので新居の照明はここで調達しました。行き帰りに通る運河を渡す吊り橋型の歩道橋から観た(羽田・浜松町間の)モノレールも車体もこの景色に溶け込んでいて好きでした。









 ここに住んで人生初の経験もしました。目黒から出るバスが(品川駅前経由で)大井競馬場行くのは知っていましたが(競馬には興味がなかったもので)一度も行ったことがありませんでした。それが、ある日の新聞ちらし広告にイベントの案内があり、その一部が無料入場券になっていました。競馬をやる(馬券を買う)つもりもないのに入場券を買ってまで入る気にはなりませんでしたが、どんな場所なのかだけでも観てみようということになり、夫婦で、人生最初(多分最後)の競馬場見学とあいなりました。初めてみた競馬場は新鮮な驚きでした。




 振り返ってみて、一番良かった点は?と自問自答すると案外こんな小さなことでした。マンションには共同アンテナが設置されているのですが、ビデオでジャンルを指定して録画をしていたところ偶然に録画されていたのがなんと”BS”チャンネルの1つDLifeでした。BSというと有料という感覚があったのですが、このチャンネルは視聴無料なのだそうですね。特に気に入った番組がER(救命救急)。そこに登場する医者、看護婦、患者とのやりとりが絶妙でした。マイケル・クライトンが監督なだけあって、本当にすばらしいTVドラマで、このドラマを通じて死に方考えさせられました。あと、NCISのギブス捜査官は私と同年代の素敵なキャラです。探偵もののキャッスルに登場するケイト・ベケット警部も魅力的でした。あとブラックリストなる大悪人とFBI女性捜査官の話も楽しく観させて貰いました。

********************

 まあこんな具合に半年住んだマンション、結構楽しく過ごせました。そこで思い出したのが、冒頭の吉川英治さんの詩、その中の以下の一節、
「よしや三坪の庭とても たのしみもてば 草々に 人生 植えるもの 多かり」でした。

 そうですよね、自分のまわりにある花鳥風月を楽しむ気があれば、より楽しく暮らせるのかもしれませんね。家内にとっては(蟻サイズの)ゴキブリが出ることと公園からやってくるのか小さなクモが部屋の中まで入ってくるのがイヤだったようですが。(笑)

 


ホーム目 次 / 前ページ次ページ  
 

inserted by FC2 system