218. 創業寺子屋塾 3日目・創業への取り組みについて(私の創業体験談) ・・・ (2017/10/25) 1
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※以下は10月25日、東京しごとセンターからのご依頼で私が講演した際に使用したスライド(右半分はその際の説明)です。
屋号の「ローガン」は、定年後起業であったことから「老眼」にしました。
ここからも分かるように、悲壮な覚悟で起業したわけではなく、楽しみながらで、いわゆる「ゆる起業」と言えるかもしれません。
起業当初は東アフリカ向け輸出を手掛け、現在はニュージーランド向けに中古車輸出を手がけている。いずれも右ハンドルの国。(右ハンドル国は世界の3割と言われている)
*左ハンドルの国、ガーナにも輸出したことがある。米国留学時代の友人がハンドルの付け替え業者を探してくれ、実験的に数台輸入してくれた。現時点では本格的な事業にまでは至ってはいない。
シニアの起業の3要素は、経験・人脈・低リスクといわれる。起業に際しては、300万円が無くなったら事業を諦める、という撤退のシナリオも用意しておいた。シニアが借金をしてしまうと万が一の時には持家を処分などということになりかねません。無理は禁物と思ってのことです。
左記項目で大変だったのは経理・税務業務だ。起業家が経理に詳しいとは限らない。大学の簿記の授業程度の知識でスタートしたが、中古車輸出に関した経理業務は難解で、本業と比較しても経理業務にかなり負担感があった。
解決には「東京都中小企業振興公社」の相談窓口(経理のみならず、輸出業務相談、更に貿易用語・英語講座も利用させて貰った)
何事もあきらめず、まずは公的な無料支援を探してみることから始めるといい。
私の起業の特徴は「行動」を重視すること。いままでやったことのないことをやろうとするのだから、机の前に座って悩んでいるだけでは、何もスタート出来ない。行動をしてみて始めて、次になにをしたらよいのかが分かる。
中古車輸出というアイデアに至ったきっかけは、ガーナ(西アフリカ)へ行ったことが大きかった。
http://ghanachocolate.web.fc2.com/index.html
日本の高い品質管理のもと大量生産された製品は、中古車に限らず、発展途上国への輸出品目が多数、いわば宝の山ともいえるだろう。
「中古品」の輸出をと考えるところまではアイデアが煮詰まったが、そこからは調査、調査の日々だった。そんな中で活用させて貰った先の1つが、東京しごとセンター
の「創業寺子屋塾」でした。
シニアの人の特徴は経験が豊富なことだが、反対に頭でっかちで、考えてばかりで、なかなか行動に踏み切れない傾向がある。
中古車輸出の仕事を手掛けてみて知り合ったシニアの人がいた。一人は、株式会社を設立していたが、何もしていなかった。つまり料理メニューも決まらぬ前に、お皿だけ用意した感があった。
もう一人は私にこう言った。「シニアのあなたなら分かって貰えると思いますが、1日フルには働きたくないんです」と。
確かに分からなくはないのだが。起業は飛行機が離陸するのと同様、滑走路の端から全速力で走ってきて一気に飛びあがろうとしなければ飛行出来ないですよ、と返事しておきました。
こうしたことを私のゴルフ仲間、50歳で不動産会社をスタートした友人に話したところ、そうした人たちに欠けているのは「”覚悟”が不足しているのでしょう」と言った。そうなのかもしれない。
さて、一般の人には、ネット経由で中古車を海外に販売するなんてあまり身近なものではないと思うかもしれないが(日本語でやりとりをするのか英語でやりとりをするのかの違いはあるが)基本、不要品販売のメルカリと同じだった。
買い手を見つけるために、商品の特徴を写真だけで説明出来ることに工夫をした。買い手からの値引き交渉へなどへの対応には、誠意ある巧みな言葉のやりとりが必要です。
売れた場合は、仲介会社が一旦お金を受け取り、売り手が発送したことを証明して後、仲介会社から始めて売り手にお金が振り込まれる。こんなあたりもメルカリと同じ。
左図は、私が加盟していた海外向け中古車販売サイト。この会社とは4年ほどお付き合いしたが、私の自慢はユーザ評価が高かった(5点満点で4.7だった)こと。
長く良い仕事をするには、こうした買い手との信頼関係を大事にすることだと考えたのだ。
話しを戻して。
さて、中古車輸出にどんな業者との付き合いが必要になるのか。
最初が最寄り警察に「古物商」の申請をする必要があるが、ここは前科などがなければ取れるようだ。
次に車を調達する先、中古車オークション会社に加盟する必要がある。スライドにあるように、加盟には、申請者が不動産の所有をしていること、そして保証人が必要となる。ここが敷居の高いところで、ここで中古車輸出ビジネスををあきらめてしまう人もいた。
どんな仕事でもそうだろうが、お金だけあればなんとかなるというものでもなさそうだ。いざという時に保証人になって貰えそうな知人・友人もいないのでは起業などおぼつかないのかもしれない。人脈づくりは、日ごろから心がけておくべきことだろう。
輸出の場合、船会社との間にたって船積みの手配をしてくれる「乙仲」さんとの関係も大事。
私の場合、仕向け地(アフリカ?ニュージーランド?)によって、それを得意にする乙仲さんとお付き合い都度、乗り換えた。
売り上げが伸びにくい時にこと、コストカットが大事になってくる。なぜなら、利益=売上ーコストなのだから。利益の要素は2つ、売上を伸ばす、コストを減らす、この2つしか要素はないのだから。
スライド下部のクーリエ便(輸出書類を買い手に送るため)について。会社を数回変えた。1通、数千円の話だが、チリも積もれば、である。
常にコストの見直しは必要です。
こちらを見て欲しい。たった7年というのにこれだけの変化があった。最大のものは東北の大震災。勿論、私だけがということではなく、日本全体が困難に直面した。
輸出業界は放射能汚染問題で振り回された。船積み輸出となった段階で放射能検査が行われ、この段階で輸出不可とされるのはショックだった。
この時期、各社に輸出出来ない車が続出し、困った業者はそれを国内で転売し始めた。放射能汚染は目にみえないだけに、中古車オークションの世界は、いわばババ抜き状態だった。
悪いことは重なるもので、ようやく困難な状況が落ち着いた時、私が輸出手配した車が港で追突事故に合った。私が運転していたわけではないので私の責任負担は0だったが、対応してきた損害保険会社の営業担当がお粗末で、電話でどなりつけた。その後未解決のまま時間が過ぎたが、しばらくして「心筋梗塞で入院
」することとなった。
ただ、これでこの仕事の懲りたかといえばそうではなかった。入院中は時間がたっぷりあるので、退院後、どうやったらうまくやっていけるかを考えた。
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私が創業したのは定年後。そんな私が若い世代の受講者になにを伝えたらよいのか思案した。
そんなことで若い世代が読みそうな経営者の著書を読んだ。その一人が堀江貴文氏の本。これを読んでみると、彼が考える大事なこと、も私が考える大事なこと、も一緒だった。
それは行動に起こせるのかどうか、だった。
★
好きなことだけで生きていく 堀江 貴文
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創業寺子屋塾の開催案内によれば、対象は起業したいと考えている人、ですので左記の3番、自分で起業するには?というテーマに絞っています。
定年後の仕事の選択には、3つある。創業することだけが幸せへの道とは限らない。創業するには?というテーマで話しているが、けして他の道がダメと言っているわけではありませんので。
※
はじめてのハローワーク
何度かの転職経験があるが、そのほとんど(特に後半は)行き先の社長から請われて転職した。立上と建てなおしを交互に4社経験もした。
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先日、東京しごとセンターが行っている新卒向きの資料を拝見したが、就活基礎セミナーの自己分析というものだった。自分の強み、弱みを書き出すというものだった。
これは仕事(経験のない若者に限らず)経験のあるシニアにとっても、案外出来ないものだ。
しかし、ここが分析出来ると次のステップ作りがとても楽になる。いわば羅針盤の針の方向が分かるようなもので、どっちへ進めば良いのか分かる。
私の場合、中古車輸出の仕事以外にもう1つ考えていた。それがキャリア・デベロップメント・アドバイザー。CDAの受験講座を受講
した際に授業の教材としてこれを使った。(結果、CDAの道には進まなかったが、自分を知るためには役にたった)
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定年してまず違和感を感じるのがこれかもしれない。初対面の人に対して、自分を表す「名刺」というものが無くなる。別に人格まで無くなるわけでもないのだが、結構これが本人の自尊心にマイナスの印象を付け加える。
私が定年前に想定していたものの中で、一番違っていたのがクレジットカード。年金時代になると、新規にクレジットカードは持てないと思っていた。それが、楽天カードを始め、いくつでも作れた。
クレジットカードの申込書に限らず、書類を書く際に「職業欄」というのがある。ここに「無職」と書くのに抵抗感を持つシニアも少なくない。そうした不安感がシニア世代のストレスの1つになっているかもしれない。
「小人閑居して不全をなす」という言葉があるが、私はこれを「老人・閑居して不全をなす」なのではないかと思う。
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居場所の社会学 生きづらさを超えて 阿部真大
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さて、実際に定年後に起業してみたものとして、これから起業する人にアドバイスするとうれば、それは伴侶の理解。手伝ってもらわないまでも、チャレンジしている自分を暖かく見守って欲しいものだ。
もし奥さんとの関係を改善したいと思うなら、相手への接し方を変えること。まずは本日帰宅して「愛している」と言葉に出して言ってみることからスタートしてみてはどうだろうか?
あと、シニア起業後の課題に2つある。
1つは、シニアのお仕事は、情熱を維持し続けることが結構大変。ちょっとしたトラブルがあると、ややもすると”もういいか”と思いがち。
もう1つは、理由は別として、どこかで仕事を終わらせるタイミングがある。始め方を考えるなら、終わらせ方も考えて始めておく必要がある。撤退の道筋を考えずに突撃すると、自分がいなくなったあとの人達に大いに迷惑をかけることになりかねない。
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創業寺子屋塾という起業のための講座を受講したわけなので、あとはご自身の決心、そして行動あるのみ。
聞いている話しでは、創業者の皆さん、起業時が一番大変だったが、その時代が一番楽しかったかもしれないとおっしゃる。
自分が何を仕事にしたいのか、どれくらいの規模まで大きくしたいのか、など楽しみながら考えていただきたい。
補足: 成功哲学
<参考書籍> GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代 [ アダム・グラント ]
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