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194. 日本人は言葉を大事にしない? ・・・ (2015/11/15) 


 「日本人は言葉を大事にしないね」とはハワイ大学のスピーチコミュニケーション担当の教授から言われたことでした。教授い わく、アメリカ人は高校生で「スピーチ」のクラスがあり大学生になると「ディベート(討論)」のクラスが必須となる。しかし日本では、大 学の一部の学部でスピーチのクラスがあるだけだと。(私は日本の実態を知らないのでなんとも反論出来なかったのだが)

 更に教授は「聖書の書き出しをご存じですか? ”始 めに言葉ありき”  とあるのですよ」。教授曰く、この国がいかに言葉を大事にしているかの原点なのだという。更にこの国(アメリカ合衆国)で はクロをシロと言い含めることが出来れば、クロもシロになる世界なのだそうだ。そういえば当時、バスケットボールだかアメリカンフット ボールだかの有名プロ選手の奥さんが殺され旦那に容疑がかかった。社会一般の予想では、旦那が殺したに違いない、との考えが多数だった。 が裁判の結果はシロとなった。事実のほどは知らないが、多くの人は、これはひとえに優秀な弁護士を雇うだけの金があったからシロになった んだ、と納得しようとした。




  かつての同僚に日系アメリカ人の女性がいる。彼女、カリフォルニア生まれの日系三世で、父は日系二世で軍属、母は日本人 という夫婦の間に生まれた。ある時彼女が私に持論を話してくれた。

 彼女曰く、言葉できちんと説明しても相手に伝わらないことが多々ある。言葉によって伝えることなくどうやって相手の理解 が得られるというのか、と。いわく、自分も日系人だから「言わなくても分かる」というニュアンスは理解出来るが、それは単に「美しき誤解」であっただけで、実際には相手が理解しているとは思えない。やはり人と人とのコミュニケーションは、きちんと「言葉」で伝えてこそ理 解が得られるのだ、と。

 どうやら「言葉にしなくても分かるはず」は、日本人の勝手な思いこみなのかもしれない。なにせ日本人は「リンゴの気持ち が良く分かる」とまで歌うほどの人種なのだからことはやっかいだ。







※ 始 めに言葉ありき ・・・・ 新約聖書、「ヨハネによる福音書」の冒頭の記述を日本語に訳した表現 
   創世は神の言葉からはじまった。言葉はすなわち神であり、この世界の根源として神が存在する、と解釈出来るのだそうです。


※ リンゴの唄. 作詞:サトウ・ハチロー. 作曲:万城目正. 歌唱:並木路子.


  
    赤いリンゴに 口びるよせてだまってみている 青い空、

    リンゴはなんにも いわないけれどリンゴの気持ちは よくわかる

    リンゴ可愛や 可愛やリンゴ









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