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183. シニアを舐めるなよ、ワカゾー! ・・・ (2015/06/07) 

 「見える化」という言葉を初めて聞いたのは2007、8年頃だったと記憶している。恐らくは英語のVisualize(可視化)から来ているのだろうと推測しているが、私がいたIT関連ではクライアントに複雑なシステムから生まれる分かりにくい効果を、クライアントに”分かった気にさせる際に”使われていた。

 さて、世の中の動きは明らかに「見える化」とは真逆の方向に動いている。身近な例が請求書、支払い明細書のWeb化だ。我々消費者、利用者からすれば、郵送で届く請求書・明細書は製品・サービスの購入・利用状況が把握できて便利。しかし提供する側にしてみればWeb化してしまえば、印刷、封入の人件費、切手代を払わなくて済む。それゆえ、紙で送ってくる請求書、明細書に、折に触れ、Web明細に切り替えてくださった方の中から抽選で○○をプレゼント、などと甘言をつくしてWeb明細へと誘う。しかしこれがクセものなのだ。
 紙で届く請求書、明細書はいわばプッシュ・テクノロジー、あらためて求めなくても自動的に届くが、Webで請求書、明細書を見たいと思えば客側が能動的に動く必要があるプル(引っ張る必要のある)・テクノロジーだからだ。パソコンの電源をオンにしブラウザーを起動しインターネットにアクセスしないと見ることは出来ない。ほっといても受け取れるもの(紙)と、意識して取りにいかないと手に入らない(インターネット)ものとでは、違いはとても、とても、大きいのだ。


 最近私の身近で起こった例をご紹介しましょう。例えばスマートフォン、契約時の説明の中にさまざまなサービス・オプションがある。一部は、いる、いらない、を最初の段階で指定出来るが、その他いくつかは開始して1カ月経過しないと解約出来ないものがあったりする。さて、1ケ月たったかどうかをカレンダーにでもメモし、その日に携帯電話サービスの営業所へ行けばよいが、多くの人がそれ忘れる。せめて請求書、明細書が紙で届けば、それがリマインド(思い起こさせること )となるのだが。ところが昨今のインターネットがらみのサービスは、当然のことのように請求書、明細書は紙で届かないのがデフォルト(初期設定)になっている。
 ある日気がついて、あらためてWeb明細を見ようとするが、これが結構大変。ようやく該当ページにアクセス出来て請求書、明細書を見、それを印字してみる。(我々の世代、どうしても画面ではなく、紙で見たいと思うものだから) そこでハタと気がつく。この○○サービス料って何ですの?いろいろ調べてみると、特定のサービス、コンテンツを見るためのもの。若い人ならいざしらず、シニアにはこんなものいらない。さて、解約しようにもその手順が良く分からない。結果、あらためてスーパーに行ったついでに携帯・スマホを買った店に行って聞いてみる。ここでようやく不要なサービスを解約出来るが、その間に無駄なお金をチャリン、チャリンとこぼしながら暮らしてきたことになる。

 インターネット接続会社(サービス・プロバイダ)も同様だ。ある時オークションでゴルフクラブを買う、もしくは売ろうとすると、自動的に○○プレミアムなるサービスを利用することになる。そもそもインターネットの請求は紙では来ない。当然のことのようにWebから見てください!という対応。何か分からないことがあって、問い合わせ先と明示された電話番号に電話してみると延々と音声自動応答から1を押せ、2を押せと指示を受け、あげくのはてに、只今大変混みあっていますのでおかけなおしください、となる。普通の人ならここで血圧が急上昇すること間違いなし。オペレータの人件費を削減するため極力人数を減らし、あわよくば問い合わせ者が諦めてくれないかと、まるで期待しているかのようである。
 とにもかくにも、インターネット接続会社の当該ページにアクセス出来たとする。ここで○○プレミアムなるサービスを停止依頼出来るページに辿りつく。停止とボタンを押し、これで完了と思ったらそうではなかった。確認して良かった〜。実はページ下に「次へ」というボタンがあって、次のページに行く。すると、あなたが止めようとしている○○プレミアムはこれこれの内容で、とっても面白いのですよ、とダメを押してくる。当然のことながらここでも「いらない」と返事し、次ページへと進む。そこでまた、○○プレミアム、本当に止めるのですか?と聞いてくる。ここで「要らない」と返事をして、ようやく○○サービスを停止することが出来る。まことにしつこく止めさせないための仕組みを作りこんでいる。




某転職サイトに出ていた書き込み


 私の知っているインターネット関連企業、働いているメインは30代のワカゾー。彼らは上司に褒めて貰いたくて、手を変え、品を変えて、こうした重箱の隅に小銭をため込む仕組みを作る(加盟者全体ではかなりの金額になるはず)。我々シニアとしては、それと戦うすべを知っておく必要がる。相手が、客の気が付きにくいところで小銭を、チャリン、チャリンと落とさせる仕組みを考え「見えない化」をしてくるならば、それを自分で「見える化」して重箱の隅に残っている小銭を払わないで済むようにしないといけない。

 今のブラウザーには、ID、パスワードを記憶させる機能がついているので、契約内容の確認変更が出来るページをきちんとブラウザに登録し(ID、パスワードも同様に)、毎月一定の日に、請求明細を確認しよう。それで不要なサービスが請求されていたら、内容を確かめ、サービスの停止をしておこう。


 それにつけても昨今のワカゾーは、シニアを「騙して」金を取ることばかり考えている。そんな知恵が働くなら もっと"創造的"なことに使え!  と言いたくなる。とりあえずは、ワカゾーが作るトラップ(罠)にひっかからないよう、知恵を働かせて対抗しよう。シニアを舐めるなよ、ワカゾー!




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