皆さんがごく普通に持っていた名刺は「居場所」意識の象徴ですね。何という会社にいて、オフィスの所在地はどこで、そこの何という部署に所属しているのかが書かれています。まるで住居表示みたいなものですね。人それぞれにレベルは違うでしょうが、長年、名刺があるのがあたりまえだったので、定年後、名刺（居場所）が無くなると自分の存在までもが無くなったかのように寂しく感じる人もいるかと思います。
会社でそれなりの地位だった人、特殊技能を持った人などは、定年後に知り合いの会社からお声がかかり「顧問」的な名刺を貰うこともあるようです。しかしそのほとんどは、実質的な仕事はあまりしていなさそうですが、とりあえず「名刺＝居場所」が持てたことで、なんとなく落ち着くはずです。
さて、定年で会社を辞めたら家庭が「居場所」、と思っていません？昔聞いた落語の話のなかに「宿六＝やどろく」という言葉が出てきました。それによれば、週に六日だけ家に泊まりに帰るから「宿六」と呼ばれるのだ、などといっていましたね。あなたが何十年も職場こそが居場所と思っているあいだに家庭はすっかり奥さんの居場所になっています。まして子供が巣立った後は完璧に奥さんの「海域」ですね。ですから、あなたが定年になったからと言って大きな顔をして「食事はまだか？」なんて言おうものなら領海侵犯で「撃沈」されますよ。（笑）
定年後、私の家では夫婦がそれぞれの時間を別々に過ごせるようにしています。家内ですが、大学時代数学が専攻だったからか数字との親和性が良いようで、数独（ナンプレ）が得意。どんどんレベルアップし、ついには畳みサイズのものにもトライしたりしていましたが、最近は少し飽きてきたようです。すると今度は、なんと囲碁を習い始めました。娘が結婚して出たあとの部屋に碁盤を置いて睨めっこしています。どうやら囲碁では、数学的感覚とは違う世界のようで、苦労しています。私のゴルフ同様に、簡単ではないから長く楽しめるのだと思います。
普段の私はというと、母を迎えに来るデーサービスの小型バスに乗せたあと、オフィス（自営業）にて仕事を始めます。だいたい午前中で仕事は終わります。
中古車オークションに仕入れに行く日は、朝９時くらいに家を出て帰りは夕方、晩御飯前に戻るのが一般的です（まれに夜８時、９時に帰宅などということもあります）。昼食はオークション会場で提供してくれますのでそれを美味しく頂いています。
オークション会場を見ていると、どう見ても車の買い付けに来ているようには見えない高齢の人もいて、食堂で顔見知りと食事をしながら歓談しています。ランチのあとはしばし居眠りをし、起きると帰っていきます。どうやら、一般の人が図書館で時間を過ごすように、オークション会場で一日を過ごしているようです。彼は、ここに自分の「居場所」を見つけたようですね。
それで思い出したのですが図書館（特に雑誌コーナー）を見ると、ご年配の方を多数みかけます。どうやら、時間を過ごす「場所」にしているようです。夏は涼しく、冬暖かでとても居心地のよい場所です。１点注意が必要なのは居眠り。なかにはいびきをかいて寝ている人もみかけますが図書館のスタッフから注意を受けています。
振り返ってこの「５０歳からの手習いゴルフ」というホームページ、始めたのが私がゴルフを始めた５３歳の時。今考えても、あの時にゴルフを初めておいて良かったと思います。５３歳から始めても差ほど進歩もせずに、最近は１００すら切れなくなってしまいました。５３歳で始めてもこの程度、まして定年後始めたのでは、私の運動神経では今まで続けてこられたかどうか。今でも続けていられるのは、いっときでも９０前後で周れていた時代があればこそ。夢よもう一度と続けていられるのかもしれません。
ちなみにホームコース（茨城県の栗橋国際CC）のメンバーになっておよそ１０年たつことから（特に同じ曜日に行っているもので）顔見知り、知り合いの数も増え、一人でゴルフ場に行ってもそれらの人達と楽しくプレー出来ています。こうしてゴルフクラブの中で自分の「居場所」を確保するにもそれなりの時間は必要そうですね。
こんな具合に、定年を迎え会社という居場所がなくなることをあらかじめ想定し、定年後の居場所をどうするのかは考えておくと良いかもしれませんね。
＜編集後記＞
本日２月６日で、６５歳になりました。海外からもFacebookを通じて「誕生日おめでとう」メッセージが届き、なんとなく照れくさい気分です。
昼は家内と近場のファミレスでランチ。夜は中学時代の同級生から誘われて渋谷にあるおしゃれなレストランで食事。また週末は娘家族とランチを予定しています。
週明けには美食で増えた体重の管理に公園を”速足”で歩かなくては。（１周２５０ｍのコースを約２５分で１０周するとかなりの減量になります） これでまたいつもの日々に戻ります。