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172.  異文化間交流ってこういうこと? ・・・ (2014/12/14)

 日本に留学してきた人たちが会社を立ち上げたことは、先にご紹介したとおりです。その彼らの支援をしていて、我々にとってはごくフツーのことが理解できていないことがある。例えば、会社なのに固定電話がない、FAXがない。彼らにしてみれば、代表者が外出がちなもので、携帯電話を代表番号にしている。また仕事のやりとりのほとんどがメールなので、パソコンとスマホがあればFAXはいらない、と思っている様子。

 私が言葉で説明はしたものの、いまひとつ分からない様子。ならばとネットで探してみたらありました、「こちら 」が。

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 今時携帯があるから固定電話をわざわざ持つことに何の意味があるのかと思われるかもしれませんが、業務用の電話番号は必須です。
事業の形態にもよりますが、クライアントさん側からするとSOHO事業者に仕事を頼むのはリスクを覚悟しなければなりません。

 つまらないことのように思えますが、実績も肩書きもない個人事業者こそ,,片手間SOHOで実力のない業者と思われないようにきちんとした電話番号が必要です。また使用頻度が低くともFAXもないと不便ですし、名刺にFAX専用番号があれば仕事慣れしている印象を与え、信用度が上がります。
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 またFAXは日本の漢字、手書きの長い歴史と関係がある。私の友人で不動産会社社長をやっている彼に聞くと、FAXが多様されているとのこと。また私が加盟している中古車オークションからは、頻繁にイベント案内がFAXされてくるし、また請求書も手紙やメールではなく、すべてFAX。つまり仕事をしている限り、FAX無しではなりたたない。

 そんなあたりを説明したのだが、それもイマイチぴんとこない様子だった。彼らにしてみれば、例えばセミナー開催案内後の返事をメールなり、ホームページから登録して貰えば登録が簡単。なのにわざわざFAXで受取り、それをパソコンに入力し直すなんて非効率、ということらしい。


 そこで私の、昔の経験を話してみた。

 1997年にイスラエル人と知り合い、彼のいる会社(Mercury Interactive Japan)で一緒に働くことになりました。当時、この会社には General Manager である彼と、もう一人イスラエル人チーフエンジニア、そして派遣社員でセクレタリーの日本人女性の3人が虎ノ門の小さなオフィスでの立上げをしていました。私が採用されて、まず気がついたことがありました。朝、出社してもドアは閉じたまま。また、セクレタリーの女性が電話に出ると話すのは英語、Mercury Interactive, May I help you? でした。

 そこで、派遣のセクレタリーの話しを聞いたところでは、彼女が採用された当初は日本のお客様からの問い合わせは皆無で、来るのは米国本社からの電話だけだったので英語で対応していたとのこと。また、ドアを開け放しておくと、お客様は来ないで、来るのは売り込みセールスだけだったようで、それで出社してもドアは閉めておいたそうでした。

 彼女は上司であるGeneral Managerから、何のために(Why)日本オフィスをオープンしたのかの説明は受けておらず、自分の判断で、ひたすら上司である General Manager に忠実につくそうとしたようでした。つまり、視点が異なると、行動も異なる、という典型なのかもしれませんね。


 そこで私が General Manager にこう説明しました。対象とするお客様は日本人、そのお客様を受け入れたい、と考えるのであれば、朝、スタッフが出社したらドアは開け放し、来訪者がいたしたら迎え入れられるようにしませんか?と。また、問い合わせしてくるのは日本人のお客様ですので、May I help you? はないでしょ。「マーキュリージャパンでございます」と返事をしましょう、と伝えそのようにして貰いました。

 いずれも我々日本人にはあたりまえのこと。しかし日本人には、何故そうするの?とあらためて言葉にして説明することが必要ないだけに、言葉にするには多少の努力が必要なのかも。



 さて、冒頭のタイトル、異文化交流なんて自分には無縁と思っていませんか?ほんとうにそうでしょうか?実は案外身近なところに異文化交流ってあるのです。考えてみてください、夫婦って異文化交流の典型だって思いません?

 以前読んだ本にあったのは、夫は油揚げの入った味噌汁が好き、かたや奥さんは茄子の入った味噌汁が好き。彼女にしてみれば油揚げの入った味噌汁はなんとも生臭くてイヤだったのだそうだ。同様に夫の方はと言えば、味噌汁に入った茄子は、噛むとスポンジのようで食感がイヤだったそうだ。しかし、何十年と一緒に生活しているうちに、それぞれ相手の好きな具が美味しいと思えるようになった

 これもまた異文化交流でしょう。


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