153.キレる中高年男性が目立つ?
・・・ (2014/01/12)
近年、駅や空港、病院などの公共の場で、ささいなことでキレて駅員や職員らに手を出したり、
言い寄ったりする中高年男性が目立つのだそうです。例えば、
「例1」 首都圏にある私鉄の駅で、駅員のAさんは激高した中年の男性乗客からいきなり顔面に平手打ちを受けた。
最終電車に乗り遅れた男性客に「申し訳ありませんが、もう電車はありません」と頭を下げた瞬間の出来事。非は乗客側にあるはずだが、この男性は乗り遅れた怒りを駅員にぶつけたのだ。
「例2」 「1席くらい空きがあるだろう。なぜ乗せないんだ!」。今年3月、羽田空港の国際線ターミナルで怒声が響いた。航空会社のカウンターで中年の男性が
激高し、カウンターの壁を蹴って損傷させた。男性は予定より早く空港に到着したため早い便への変更を求めたが、あいにく満席だった。「残念ながら席がございません」と謝る空港職員に腹を立てた末の蛮行。
結局、この男性は10万円近い修繕費を支払う羽目になった。
「例3」 「指示に従って入院しているのになんで治らないんだ」。
都内の大手病院に乳がんの疑いで入院した患者の夫(50代)は回復しない妻の容体にイライラを募らせ、担当医と看護師に怒りを爆発させた。医師が病状を説明しても納得せず、次第にエスカレート。2時間以上も医師と看護師を拘束し大声で怒鳴り続けるなど、常軌を逸した行動を取った。
私の理解では、例1と2は、あくまで本人への対応に対する不満。しかし例3だけは種類が違うように思う。私が40代の時、フィジーのマナという島を扱ったホームページをたちあげた。10年運営して、30万アクセスという高アクセスのホームページであったもので、(私も単なる旅行者の一人なのだが)業者のホームページと勘違いし、いろいろ不満を伝えてくる人がいた。
その時の経験からすると、子供連れの30代の人にキレる人が多かった。せっかくの休み、そこで子供、奥さんを楽しませたいと必死に思えば思うほど習慣が違うフィジアンのノンビリした対応に苛立ちがつのり、更に言葉(英語)が出来ないことで、それがエスカレートしていくようだった。まあ、私の印象としては、日本時間は忘れ、現地ののんびりさに馴染めばイライラしないで済むはずが、そう出来ない働きバチの悲哀、という感じだった。
さて、なぜ中高年男性はキレやすくなったのか
。
40〜50代の場合は、職場でも家庭でも軽んじられて居場所がない中高年男性は増えているらしい。彼らは自信がないから他人の視線が気になって被害者意識が強まり、ちょっとしたことでも自分がバカにされたと思い激高する、ということのようだ。
キレる現象は現役世代だけでなく、退職者の間でも広がっている。この分野に詳しい方の解説によれば、「地縁や血縁が薄くなった昨今、昔に比べて親戚や他人と話をする機会が減った。対話能力も低下しており、不満があってもなかなか口にできない。そのストレスが限界点を超えた時にキレるのではないか」とのこと。
同僚がいなくなった定年退職者には、「同僚と赤ちょうちんで一杯」という機会は無くなった。誰か身近な人に話すことで解消出来るストレスも多いが、それすら無くなった人間はどうすれば良いのだろうか。
私はこの分野の専門家ではないので、明確な方法など提示しようもないのだが、自分自身にあてはめてみた。私がやっている中古車輸出という世界、相手は主にアフリカの人たち。まず、日本とは住んでいる世界が全く違う。例えば、銀行預金口座を持つ人が人口の2割、もちろんクレジットカードなどというものは持たない。車を買える層の人たちだから、住む家もあり、食べるものにも困らない人たちだろう。しかし、彼らが育ったのは、日本で言えば戦後の荒れ野原から立ち上がった人同様の苦難(彼らの場合は内戦、虐殺)を身近に経験してきた人たち。我々とは育った世界があまりにも違うのだ。価値観が違って当然だろう。そんな人たちと交渉するのだから苦労することも多い。
それらから来るストレス。当方が日本流の真面目さでやろうとすればするほどギャップが出来てしまうことがある。ある意味、彼らの価値観にフィットした、ある種のおおらかさ(別な言い方をするといい加減さ)も必要になってくる。1件、1件はたいしたストレスではないもの、それらが続くとオリが溜まるようにストレスが溜まる。そんな時、同業者と体験を話せるだけで解消出来る。
あらためて、組織を離れ、一人で仕事をすることの意味、重さ、逃れ難いゆるやかな苦悩を体験することになる。ただ、「艱難辛苦は汝を珠にす」とまでは言わないが、これを経験すると人間、強くなれる気がする。
最後に。このキレる状況を「医学的な見地」から分析した結果もあるそうだ。脳科学の観点からの分析では、人間の情緒を安定させる脳内物質のセロトニンが中高年男性の場合不足して、それでキレる人が目立つのだという。
ならばこのセロトニン
の分泌を促すにはどうしたら良いか。それは「運動、日光浴、ふれあい」の3要素が大事なのだそうでだ。最初の二つは、一人で出来るが、最後の”ふれあい”となると、人との繋がり、関わりがどうしても必要になってくる。一番てっとり早いのは、ボランティアでも商売でも良いから、元気なうちは「働き」続けていくことだろうと思うのだが、どんなものだろうか。お金を稼ぐということは、自制することも必要になってくる。また、個人事業主といえど、業者であったりとの関わり無しには成り立ち得ないだろうから。
オマエは仕事をしているからそんなことを言うのだろう、と言われるかもしれない。人生、2つを同時にやっていく訳にはいかない。たまたま私は定年後も仕事をしているという方を選択した。その視点から離れ得ないし、またその視点からみて、こう思うわけだ。
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