ホーム / 目次 / 前ページ / 次ページ


78.シニアの仕事創造術  (2005/07/02) 

  このホームページはゴルフに関するホームページですが、ゴルフ初心者の私が皆さんにお教えするものなどありませんで、むしろ教えて頂きたいくらいだと思っています。そんなことでこのホームページの趣旨は、ゴルフを話題に、同世代間のメッセージ交流の場となればと思っています。

 さて、我々夫婦には3人子供がいますが、末の息子が大学4年生。就職を意識しだし、そんな相談も来るようになりました。

・ヤング(息子)   経験はないが、選択肢は山ほどある。何が出来る?何をしたいの?などと聞いても本人も良く分からない様子。しかし自分を振り返って考えると、当時自分にも判断基準がなく、反面、可能性ばかりが広がっていて、分からないなりにも迷ったものだった。

 昨今、フリーターだのニートだのとが社会問題化しそうな気配がある。余談だが、アルバイト先のフリーターのお兄さんが言ったそうだ。「就職なんてやめちゃえよ、仕事って楽しくないんだぜぇ。だって見てみろよ、通勤電車に乗ってるおじさん達の顔を。暗い顔をしているぜ。きっと楽しくないんだよ、仕事って」だそうだ。それを聞いて、息子も確かにその通り、と思ったかどうかは知らないが、私に「就職って、しなけりゃいけないものなの?」と聞いてきた。このあたり、暗い顔をみせてしまった大人の責任でもあると思う。

・シニア(私)  かたや私はというと、経験はあっても、仕事の中での選択肢は狭まってきている。人間それぞれ人生のピークを迎える時期が違うが、高齢化して死ぬ直前がピークだった、などという人はまれだろう。多くは、定年、もしくはその前の数年がそのターニングポイントになっているはず。そんな時、使わない「筋肉」が退化していくことにあせりを感じるように、自分ではもっと出来ると思ってはみても、会社に求められない「能力」が退化していく自分にあせりを感じる人は少なくないはず。

 さて、更に余談ですが、私がいるIT産業(私は米国系ソフト会社にいます)にからんだお話を1つ。 最近はテレビのドラマ(恋におちたら〜僕の成功の秘密)の舞台にもなっていますが、IT産業などでは(スポーツの世界も同様なのかもしれないが)20代、30代でピークを迎えるケースも少なくない。 一例を上げると「社長失格」という本を書いた板倉雄一郎 氏などは、当時ベンチャーと名のつく賞を片っ端から貰ったほど彼の会社"ハイパーネット社"はすごい会社だった。当時のメンバーの中には、その後 携帯電話の i-Mode の世界で活躍するなどしたわけであるから、結構な役者が揃った会社でもあったのだろう。

 ちょっとしたきっかけで会社が傾き始めた頃の話が、彼の著書「社長失格」の中で印象的だった。そんな時にこそ慰めて欲しかったのに、同棲していた彼女からは「今月のお手当てを貰っていないのだけれど、、、」と言われ、更に落ち込む彼が、身から出た錆とは言え気の毒だった。たまたま、彼女が欲しがった犬を飼うために借りた一戸建ての家が、私の自宅近く。フェラリーだかのスポーツカーに乗り、2匹の犬と美人の彼女。近くにあるブルーポイント(レストラン)にちょくちょく立ち寄っていたのだとか。

 ちょっとしたきっかけでご本人とメールで連絡が取れ、そんな中で読後感想をお伝えした。確か私が言ったのは、「安らぎとトキメキは二律背反、あなたはトキメキを求めた結果、肝心の時に安らぎが得られなかったのでは?」と。ご本人もまったく同感だそうです。ただ、まだ30代だった彼は、「それでもトキメキが欲しい(仕事も女性も?)」と言っていましたが。(ちっとも懲りてない、、、笑)

 さて話を戻して、第二の仕事の話をちょっと。定年退職したら、毎日好きなゴルフが出来るぞ〜とはゴルフ好きの誰もが思うこと。ところが定年退職した方に聞くと、だいたいはこうおっしゃる。「忙しい仕事をやりくりして、ようやく週末になってゴルフが出来ることが喜びだった。毎日、いつでもゴルフが出来るようになると、なんだが意欲が減退した」と。
 ならば、金を稼いで家族を養うというステージから、趣味のゴルフに張りが出るように、ゆとりある仕事を持つというのが理想形なのかもしれない。ゴルフのアドバイスは出来ませんが、転職(再就職)のアドバイスなら、何か参考になる話が出来るかもしれません。とういのも、私は転職経験が豊富ですから。

(一般的な転職のコツ)
・離職してから次を探すな
 現職があるうちに、次を決めておかないと、条件が悪くなります。これは理解は難しくないと思います。よしんば第二の人生における職だとしても、早めに自分が見つけられれば、それだけ安心してゴルフが出来ますよね。

・輝ける自分を作れた時が次の仕事のお話をするグッドタイミング
 人間、長くビジネスマンを続けていると、何度か辞めたい、と思う時があるものです。私が転職経験豊富なのを知ってか、大学時代の同級生ばかりか、現在の仕事で知り合ったお客様までが私のところに転職相談に来られます。私の場合は、大学を卒業して最初に勤めた会社を3年半ほどで辞めてアメリカ留学をしてしまっているもので、いまさら永年勤続などというものに期待は持っていません。そうなると、自分の仕事を変えていく中で自己実現を図るしか方法がないのですが、せっかく新卒として採用され現在に至る友人・知人には、"辛抱しなさい!"と言うことにしています。
 それで話を戻すと、人間辞めたいと思う時は次が決まらないものです。皮肉なものですが、今の仕事に面白さを見つけ、がんばり出すと次のお仕事の声がかかるものです。「色に出にけり我が恋は」の逆で、仕事?上司?に違和感を感じている時は、言葉も前向きさがなくなってきていますので、面接を受けても、まず決まりません。ここは辛抱して、何か楽しみを見つけ、それにのめりこむようになると、不思議と次の声がかかるものです。

・自ら行動を起こせ
 私が30歳代の頃がパソコンの黎明期でした。ソフトバンクの孫さんやアスキーの西さんがいて、とても夢のある世界でした。私は当時はITとは全く関係のない世界にいましたが、彼らの夢の世界へ入れないものかと考えていました。あるパソコン雑誌を読んでいて、あまりに内容が薄かったので、読者カードに批評を書きました。そして、私ならこう書けるのに、と伝えると、なんと編集部から「ならば書いてみませんか?」の声が戻ってきました。そうこうして雑誌に私の原稿が掲載された。そんなある日、昼休みに通りがかったパソコンメーカーのショールームに飛び込んで、「こういう文章を書いているものなのですが」と自分が書いた雑誌を見せてみました。そしてパソコンを無料で貸し出しして貰うことにも成功しました。
 まったく素人の私でも、こうした活動が出来たわけで、そうした活動が背景となって、なんと無謀にも40歳にもなってから異分野のIT産業に転職を果たしました。誰かがなんとかしてくれるだろうは、期待出来るのであれば、それはそれでよいとして、普通は、やはり自らが切り開かないと、次が見えてこないのだろうと思います。

・仕事との出会いには、「見合い型」と「恋愛型」がある
 「見合い型」とは、履歴書からお話がスタートします。ここでのコツは、市販の履歴書に頼らないこと。シニアの豊富な経験が、あんな紙面で語れるはずはありません。ワープロで自作してください。永年勤続を誇れるような人の場合、自分のアピールの仕方をご存知ない方が多いようです。俗にキャリアとは"転職した職の数"と思われていますが、本当は"越えてきた苦労の数"がキャリアです。ぜひ、自身が経験したこうした苦労を簡潔(A4、1〜2枚)にまとめ、アピールしてください。
 また、案外自分が得意と思っていることが、所詮ローカルルール(たまたま大企業にいたために、世間一般にも認められたルールと錯覚?)の中だけでしか通用しないものであったりします。一度、自分の経験の中から、"資産のたな卸し"をやって、グローバルルールの中では、何が評価されうるのかを知っておくといいでしょう。
 なお、「お仕事は何をされていました?」という質問に「部長をしていました」はダメです。部長は職位であって仕事、つまり何をやってきたかの専門性についての質問の解答にはなりませんからお気をつけを。こういう場合は、せめて「品質管理部門」の部長を、というべきでしょう。

 さて。恋愛型の場合は、知り合って、お付き合いをしていく中で良さ、能力を知って貰う方法です。相手にしてみれば、すでに人柄も能力も分かっているのですから、こんな安心なことはありません。ちなみに恋愛型の場合、人脈勝負です。その為には、自分が相手に何かしてあげられる時には、せいぜい面倒は見てあげると良いでしょう。いつか、自分に戻ってきますから。こうした付き合いをするには、会社という看板をしょっていてはだめです。一人の人間として、魅力を磨いておく必要があります。また得意のフィールドを持つことは必須でしょう。


・最後に。現実と夢を単純に秤にかけてはいけません。
 現実は、今目の前にあるもの。それなりの重さがあります。かたや未来はこれから作るもので、現時点で重みはありません。単純に秤にかけてしまうと、未来にかけてみようという意欲がそがれかねません。未来は自分が作るのだという気概を持ち、重み付けをしてやらなくてはいけません。幸いなことにシニア世代は子供の教育とい資金的、精神的負担が軽減される時期。あとは自分と奥様との時間を楽しくすごせる範囲でなら、何をやってもいいはず。納得のいく仕事を決め(勿論、自分でビジネスを始めることも含め)、ゆとりある気分と、楽しい時間のやりくりが出来る中でゴルフを楽しめたらいいですね。


 ご意見は「こちらへ」。(ペンネームでの紹介もお受けしますが、私宛のメールにはお名前、年齢、プロフィールも添えてください)

 


追加配信:2006/03/26



 こちらは日本経済新聞の別刷りとして配られたものです。パソナは人材派遣をビジネスにしている会社ですが、その会社の元社長(現、プロフェッショナルバンクの社長)の話として紹介されていました。

 まずタイトルが面白かったですね。「定年後の再スタートは55歳から準備を」です。私なりに理解したポイントは以下です。

1.今後輩出されてくる、団塊の世代を対象とした職の流動性を作り出したい。

2.まずは団塊の世代の人の対象となるプロフェショナリティを明確にする必要がある。

3.未完成な部分があれば、それを補完してスキルアップをヘルプする。

 私自身転職経験者ですが、未経験者に欠けているのは、自分の能力のたな卸しが出来ないこと。何が世の中で評価され得るもので、何が評価されないものなのか、一度自分の経験、技能を洗い出してみることから始める必要があるが、プロが関わってくれると良いのは、それを客観的に見て、自己評価を客観的に、かつ適正に行うことを手助けしてくれるから。転職経験者は、ここを経験から自分でたな卸しが出来るようになることでしょう。

 転職された方は分かるかと思いますが、新しい会社で働く際、提出した書類、面接などで話したことから、自分が再評価され、値踏みされるということ。ここで、相手が納得するアピールの仕方が出来るかどうかが、その後の新しい仕事への満足度と関係してくる。

 更に上を目指すなら、この人の言われるように、プロフェッショナリティと呼ぶのには未完の部分があれば、それを定年までに完結させておこう、というもの。つまり60歳になってから考えたのでは遅く、その前からやっておくべきことをやっておく必要がある。この社長いわく、それには55歳から、ということなのだそうです。

 まあ、55歳からでなければダメか、といえば必ずしもそうでもないと思っています。むしろ、定年で辞めてから考えるのではなく、その前から、定年後のあり方をしっかり考えておこう、とうい提案と受け止めれば良いのだと思います。


ホーム / 目次 / 前ページ / 次ページ  

inserted by FC2 system