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73.買う側の論理、売る側の論理 (2005/05/21)

 「義理を欠く事なかれ?」。あるメールニュースでこんなタイトルのメッセージがあった。何かと思ったらこういうことだった。あるショップの人、「相手の身になって相談にのってあげ、納得するまで検証を繰り返して買ってもらう」という販売方法を身上としてきた。いつものように親身になって相談にのってあるお客さんがお薦めした商品を他店にて買ってしまわれた、というお話し。更にその後日談があり、何日かして偶然その人とゴルフをすることになったら、話していたクラブがその人のバッグに入っていたのを見てしまった。相手はそれに気がついてもまったく悪気も見せず「これ、やっぱり最高でした」とまで言ったのだそうだ。そこでこのタイトル「義理を欠く事なかれ」となったわけだ。ずいぶん純真なセールス担当だなぁと思いましたね。ちなみにこの方は経営者ではなく、販売の担当者だそうです。

 私もゴルフ用品の価格情報を拾っては紹介している。(もっともこれをこのホームページのウリにするつもりはなく、客寄せ・HPへの訪問者を増やすためでやっているに過ぎないのだが。そんな中で感じたのですが、、。

 1.大量生産品、つまりどこででも同じものが買えるようなものを差別化するのは難しい。価格勝負になるのは大量生産品の宿命ともいえる。だからこそ賢いショップは、他店にはない、独自ブランド品を揃えたり、シャフトなどの選択肢を用意し、更には客に対しアドバイスという付加価値をつけて、自店で買ってもらうよう努力している。

 2.セールスサイドで付加価値を付けるにはその製品の性格にもよる。もしアフターケアが必要なものであれば、サポート力で差別化、ということも可能だが、買った後は特にメンテナンスといったものが必要のないゴルフクラブのようなモノにはなかなか難しいだろう。ちなみにクラブの場合、不良品はメーカーが保障するからショップも購入者も安心して値引き販売・購入が出来ている。

 3.購入の際、どれにするかといった選択にアドバイスする、ということは大いにありうる。ここは買ってくれそうなお客かどうかの見極めが大事だろう。ようは普段からお付き合いのある常連さんか、もしくはこの客は買いそうだ、という「目利き」がセールス側に必要だろう。

 4.私の知っているケースでも、大きなショップで試打だけさせて貰って、気に入ったらインターネットで買う、という人がいた。でもこの人、あくまで試打程度で、このメールに書いてあったような「納得するまで検証を繰り返して、、」というところまで図太くはない。この販売担当の場合、これだけやって裏切られるというのは、自分にはちょっと人を見る目がなかったと思うか、自分にはセールスのプロとして足りない何かがあったのかを自分に問うてみた方がいいのかもしれない。


 私は若いころ、ハム(アマチュア無線)をやっていたこともあり、秋葉原には中学生の時代から通っていた。そこで得た経験は、販売店は「良いものを売る」のではなく、「売りたいものを売る」のだ(勿論それが良いものである場合もある)、ということ。特にそれが分かったからと言って失望したりはしなかった。売る側の論理としては当然なのだろうと納得したからだ。だからこそ、買う側は「買う側の論理」でしっかり情報を収集し、値段の比較もしっかりとやるべきだと思う。その上で、場合によっては多少高くてもなじみのショップの方から買う(安心を買う・何か付加価値を買う)、ということもあっても良いと思っている。

 考えてみれば、ゴルフクラブ販売は「夢を売る商売」だと思う。恐らくベテランゴルファーほど同感と感じてくれるだろう。これを使ったら「○○ヤード飛ぶ」とメーカー/販売店は言うが、いったい誰がそれを保障出来るのか。使う側(人間の能力)のバラつきが大き過ぎて、誰も保障など出来るはずはない。それを理解して、販売・購入のやりとりを楽しんだら良いのかもしれない。


 


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