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55.利用者から見たインターネット販売 (2004/12/18)

 12月18日(土)のSH情報文化研究会という勉強会が開かれたが、今回私が講師役を依頼され、 「利用者から見たインターネット販売」--アクセス数向上の秘訣--というテーマでお話をしてきました。

 この「SH情報文化研究会」は、以前よりお付き合いのあった飯箸泰宏先生(慶應大学・法政大学・明治大学・大正大学非常勤講師)が主宰されていおられる勉強会。以前にも、ネットの達人として紹介され、ボランティアサイト「癒しの島、マナ島」のアクセス数向上についてお話をさせていただいた。確か、その時にお話したのは、アクセス数向上には、3つのキーワードがあること。1つは「儲かる」、2つ目は「役に立つ」、3つめに「面白い」。この3つの要素のうち、最低1つでもないと、あまりアクセス数は増えないだろうとお話をした。

 ちなみに「儲かる」は、株投資、金融などにより、インターネットを使ってタイムリーに儲けること。身近な例では、オークションサイトや、楽天のアフィリエイトなども、これに含められるだろう。個人のサイトでこの要素を活用するなら、ちょっとしたものでもいいので「○○上げます」をやると、一時的にアクセス数が増える。私の場合も、フィジー関係の旅行社から、フィジーの写真入りのカレンダーを大量に貰ってきて、自分のホームページを通じて、プレゼントしたことがある。
 「役に立つ」は、日頃私も使っている”乗り換え案内”のような実用的なものが中心だろう。また、私のフィジーのホームページなどは、これから旅行しようという人たちの役に立ったようだ。
 「面白い」は、いろいろな形がありえるだろう。本来なら人に見せることなどないであろう若い女性の日記が公開され、同世代の男の子たちに読んでもらうとかまである。これは、仕掛ける本人のキャラクターそのものかもしれない。

 

 さて、上記 「利用者から見たインターネット販売」は、ゴルフ用品のショッピングを指している。現状、販売側は、大きく分けて3つに分けられるだろう。

1.ゴルフダイジェストがオープンしている「ゴルフダイジェスト・オンライン

2.「楽天」のゴルフ用品コーナー

3.老舗ゴルフショップのインターネット店舗、 の3つ。

 

 1.はリクルートのエービーロードに見るように、雑誌とインターネットが常に相互補完的に使われている。情報の即時性という意味では、週刊誌としえどもインターネットにはかなわない。反対に、仲間と話題にするとなると、パソコン+インターネット環境を持ち歩くよりは、雑誌1冊を持ち歩くほうがずっと楽。このように、インターネットというメディア(媒体)と印刷物というメディアは、相互補完関係こそあれ、片方を食ってしまう存在ではないようだ。
 その昔、インターネットの全身、パソコン通信が盛んになったころ、ある評論家が「これで新聞を取る必要がなくなる」と言っていた。これなどは頭でっかちの人の言いそうな空論である。実際に新聞記事をパソコンに取り込んでA4の紙に印字してみるといい。とてもではないが、大量の文章を読むのは大変。その点新聞は、大見出し、小見出しなど、レイアウトに工夫がされ、情報用語でいうところの「ランダムアクセス」が可能になる(つまり読みたい箇所だけを、つまり読み易い構造にしてくれている)
 本題に戻るが、出版物を持つところがネットサイトを持つと、相乗効果が出しやすく、ホームページへのアクセスが増え、また雑誌購読も増えるという幸循環(悪循環の逆)ができる。ちなみに、この分野(インターネットでのゴルフ用品販売)に新規参入したのが、パーゴルフを出版している学研だが、インターネットの世界では、先に手がけたものが、一人勝ちをするケースが多いので、よほどの努力をしない限り、逆転は難しいだろう。

※日経新聞12月29日(朝刊)、起業のコラムによれば、商社の人間がハーバード大学留学中にインターネット
   ベンチャーに魅了され、帰国後にGDO(ゴルフダイジェストオンライン)を起業したのだとか。

 

  2.楽天は、いまや巨大ショッピングサイトになっている。インターネットで物を買う時、一般の方が心配するのが、「お金を振り込んで、商品が届かなかったらどうしよう?」だろう。実は、無店舗販売を手がける側も同様で、「品物を送っても、お金が入金されなかったらどうしよう」という心配がある。楽天は、この橋渡しをする存在で、消費者保護の点からは、支払い方法から商品発送まで統一したフォーマットでお客様に情報提供をしている。また、それらを含め、さまざまな店舗運営のための教育をしているようだ。

 出展者側にとって、バラ色ばかりかといえば、そうでもない。インターネット販売の場合、他店舗との価格の比較が簡単に出来てします。ちょっとインターネットに経験のある人ならば、より安く販売している店をすぐに探してします。こうした競争に常にさらされているのだ。また、インターネットの即時性を生かすために、常にネット店舗担当を置き、問い合わせ、注文受付から、発送の連絡、そしてアフターケアまで、メールで頻繁にやりとりをする必要がある。東京世田谷のある店舗(楽天に出店)は、実店舗の担当とは他に、インターネット店の担当を置き、さらには、仕入れから販売まで個別にマネジメントしている。

 出店料もばかにならず、ある程度の販売高が出ないと手間ばかりが浮かび上がり、ペイしない、ということにもなりかねない。実際に楽天の店舗を見ていると、店じまいしたところもある。

例えば、こちらのお店(京都なですこ)は、現在はアクセスできない
http://www.rakuten.co.jp/nadesico/all.html

 

 3.老舗のゴルフショップが実店舗の他にインターネットショップも開店、というパターンである。一例を上げると、
      ・二木ゴルフ  ・つるやゴルフ  ・コトブキゴルフ  ・シントミゴルフ  ・有賀園ゴルフ などがある。面白いのは、この中のいくつかは、楽天にも出展していることである。老舗ゴルフショップといえど楽天の持つ集客力を無視できなかったということでしょう。別な言い方をすれば、実店舗に経験は大事だが、インターネットの特徴を知った上で、インターネット店舗運営をしないかぎり、成功は難しいという。また、もっとも規模が大事なファクターなインターネットショッピングの世界では、老舗といえどこの単独では規模を作ることは難しいからでしょう。

 

 今後、パソコンやインターネットを使いこなせる世代が広がっていくことから、インターネット販売がゴルフ用品販売に締める割合は増えることは確実だろう。そんな中で、従来なら不利だった小規模小売業、地方小売業がそのハンディをインターネットによって克服し、伸びていくことは十分可能だと思っている。

 実際には1時間半のお話でしたので、ここにご紹介したのは、ほんの一部です。こうしたお話でよければ、講演、お引き受けします。私宛に「メール」をお送りください。ちなみに私、本業(外資系ソフト会社勤務)をもっていますので、講師料は不要です。


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