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112.50代は豊かに 蟹瀬誠一著「4つの資産」より  (2006/11/05)

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 先日本屋に行ったら、どうやら新刊本らしく、この本が平積みしてあったので、手に取ってパラパラとめくり、購入して帰った。理由はまず蟹瀬さんという著者に興味があったこと。また、内容が我々世代が直面しているであろうことに対しての提案、特に「資産形成」といった内容であったことからだった。

 著者の蟹瀬さんについては以前から興味を持っていた。というのも、以前から"50歳を過ぎてゴルフを始めた人"を捜しているが、少なくともインターネットで検索し見つけたのは1件だった。それがこの人だったこと。実際に本を買って奥付を読んでみたら、奇しくも私と同じ1950年生まれだった。

 さて、本のタイトル「4つの資産」については、本にはこう書かれていました。
1.隠れ資産: 公的年金・個人年金保険など
2.金融資産: 預貯金、株式、債券、投資信託など
3.住居資産: 住居、家具など
4.個人資産: 教育、知的資産、健康など

 と分類が出ていた。で、この本を読む私の世代にとっては、少々手遅れ的な部分もあるが10年の区切りの資産形成のテーマが書かれていた。

1.20代は、ただひたすら貯める
2.30代は、インフレヘッジが出来る資産に投資
3.40代は、資産を「築く」とともに「使う」
4.50代は、「自分の好きなこと」に投資する
5.60代以降は、とにかく「健康を買う」

 のだそうだ。この線に沿って著者自身の体験を交え、それぞれの意味と方法を解説してくれている。詳しくは本を読んでいただきたいが、私にとって違和感なく受け止められる内容だった。余談だが、最近、団塊の世代の退職金を目当てにしてか、銀行、信託、証券会社からセミナーの案内が届く。行ってみたが、どれも理解するのには専門的な知識が必要そう。もっと心配なのは、彼ら金融機関にとってのメリットが、必ずしも我々預金者にとってもイコールなメリットなのかどうか疑わしい点である。そんな意味で、個人の視点から、体験談(失敗談も交え)からアイデア提供してくれることは、大いに参考にできるはず。

 更にもっと大事なのは資産形成をなぜやる必要があるのか、という視点の持ち方についてだ。

 「人生は旅のようなもの」といわれるが、ふつうの旅行との大きな違いは、目的地にたどり着くことが目的ではないということ。なぜなら、目的地はみな同じ。そこに「死」が待っているだけのことだ。したがって、旅の仕方が大事になってくる。どういう旅をしてきたかによって、幸せな人生だったかどうかが決まってくる。
 そう考えると、やはり日々、自分がやりたいと思うことをどうやって実現すればいいか、あるいはそのために必要な資金はいくらで、どうその資金を集めるか、ということを前向きに考えていくべきではないか。20年後、あるいは30年後の豊かな老後のみに目標を絞って、我慢に我慢を重ねる人生ではちょっとおもしろくない。


 

 さて、もともとこの本に興味を持った理由が「50歳を過ぎてゴルフをはじめる」なので、最後に、そのくだりだけ紹介しておきたいと思う。50歳代になって子供が親から独立し離れてくる段階で、夫婦の良好な関係が何にも増して大切なことは多くの人が語ってくれているところ。蟹瀬さんも、そう言い、自らも実践している。共通の趣味としてゴルフを始めたのだそうだ。

 50歳を過ぎてから2人ではじめたのだが、これがけっこう、お互いの"接着剤"になってくれている。単にプレーの話をするだけでなく、コースの話、使っている道具の話など、いろいろと会話も広がりやすい。ゴルフはおすすめだ。
 ただし、これは僕も一度、失敗したことがあるのだけれども、夫は絶対に妻に教えてはいけない。教えだすと必ずケンカになる。せいぜい「ナイスショット!」と言う程度にとどめておこう。

 世の中一般には、夫だけがゴルフ狂で、さんざん一人でゴルフ三昧をしてきた後からでは、接着剤というには難しいのかもしれない。やはり、本来的には、共に初心者、というところから一緒にスタートするのが理想的なのだろう。

 

 じつはわが家では、50歳になるまでゴルフ禁止令が出ていた。これは、子どもが親といっしょにいたい時期であるにもかかわらず、ゴルフに興じてしまったら、家族を放ったまま休日もゴルフ漬けになる恐れが強いと妻が踏んだからだ。

 この本が10年単位で、その世代でやっておくべきことを分類し説明してくれているが、ゴルフなんていつだって始められる、ということは現在の私が実感しているところ。30代で、もしくは40代でなければ出来ないであろうことがあれば、それはそちらを優先にすべきでしょう。


 そんな理由もあって、僕は51歳からゴルフをはじめたのだけれども、もし、もっと若かったら、自分の性格からしてもゴルフを純粋にスポーツとして位置づけて、スコアを伸ばすことにすべてを懸けるようなプレーをしていたに違いない。でも、51歳からはじめたスポーツなので勝ち負けは二の次。大事なことは、友人と楽しくラウンドすることに尽きる。

 これも同感である。その昔テニスに打ち込んでいた時代もあったが、目標は、誰とでも、そこそこ一緒にプレーが楽しめるレベルというものを目指した。ゴルフも同様で、まあコンスタントに90台で回れればそれで十分と思っている。(実際には、このコンスタントに90台で、というのが運動神経の無い私には恐ろしく達成が難しそうなのではありますが、、、)


 ゴルフが出来る幸せとは、夫婦仲が良いこと、ゴルフが出来る精神的・金銭的なゆとり、そしてゴルフに必要な体力あたりなのかもしれない。

 


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