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河東 哲夫 著、「ロシア皆伝」 ・・・ (2022/06/19)
河東さんとはずっと以前、ある勉強会で知り合っていた。久しぶりに河東さんのお名前を目にしたのは、Newsweek3月22日号でした。
読んでみると、どうやらNewsweekのコラムニストとして連載しているようでした。そんなことで河東さんのあらためて著書を読んでみたいと思ったのでした。
読んでみたのがイースト新書より出版された
河東哲夫 著 ロシア皆伝 (イースト新書)送料無料
」 972円(税別)
ご存じない方のために略歴をご紹介するとこんな感じ。
1947年生まれ、東大をご卒業になり外務省に入省。ハーバード大学大学院のソ連研究を皮切りに、モスクワ大学に留学、その後外務省東欧課長になられたようだ。
本を読んでみると、モスクワ大学で学生をしていた時代もあり、さらに後年はモスクワで(ロシア人学生を相手に授業をしていたこともあったのだとか。そんな経験を通じて、世代を広くロシア人接して、彼らの考え方を知ることが出来たようですね。
そんなことから私が考えたのは、文庫本ながら読みでのあるこの本で、1年間かけで授業をやって貰ったら面白いのではないかと思いました。というのも紹介されている事例は山ほどあり、他民族国家ロシアの全体像、文学から芸術まで説明してくれているので、文字だけではなく、言葉でそのストーリーの裏話など聞けたら、さぞ面白いだろうなと思うのでした。
本を読んで感じるのは、河東さん、ロシア人の欠点も知りつつ、広い意味でロシア人を愛している印象を受ける。日本とロシアが友好的に交流するには、双方の考え方を熟知している河東さんのような人がいてくれることはとても心強い。
例えばロシアの人は欧州にあこがれを持っているのだと。またアメリカに対しては羨望とともに恐怖心を持っているのだそうだ。この本2015年の12月ですので、昨今毎日テレビ、新聞等で報道されるロシアによるウクライナ侵攻の話しは出てこない。しかし、クリミア半島侵略の背景に触れており、ここが分かれば本年3月からのロシアによるウクライナ侵攻の背景も見えてくる。
それによれば、ウクライナはロシアから離れEUにすり寄っていく。(本心ではロシア自身もそうしたいところなのだろう) ウクライナがEUにすり寄るとロシアとしては面目をつぶされただけでなく経済的利益も失うと考え脅迫行為に及ぶ。するとウクライナはEUだけでなく、NATOやアメリカにすり寄って安全保障を求め、それによってロシアとの関係をさらに悪化させるという悪循環にはまりがちなのである。
いかかでしょう、河東さん、2015年の時点で、現状のロシアによるウクライナ侵攻が起こることを予測していたかのような書き方ですよね。何かが起こった時、今だけを見るのではなく、その背景はどんなものがあったのかを紐解かないと、実際のところは分からないかもしれませんね。もしあなたが、今回のロシアによるウクライナ侵攻が起こった訳を知りたければ、この本は一読の価値有りと私は思います。
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